大判例

20世紀の現憲法下の判例を掲載しています

最高裁判所第二小法廷 昭和28年(オ)1439号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人葛西千代治の上告理由について。

地方自治法第八五条第一項によれば公職選挙法中普通地方公共団体の選挙に関する規定は村長及び村議会議員の解職請求及びその投票に至る一連の行為に関し準用されるけれども地方自治法施行令第一一六条の二、第一一三条、第一〇九条によれば公職選挙法第八九条第一項但書、第二項及び第三項の規定は特に右準用から除外される。従つて国又は地方公共団体の公務員は在職中普通地方公共団体の長又は議会の議員の解職請求代表者となることができないものといわなければならない。而して村農業委員会委員は村の公務員であるから赤石村農業委員会委員である石田粂太郎は同村長及び同村議会議員の解職請求代表者たり得ないことはいうまでもない。よつて右石田粂太郎が解職請求代表者の一人として求めた本件赤石村長兼平清衛及び同村議会議員戸沼英一の解職請求者署名簿の署名はすべて法令の定める正規の手続によらない署名として地方自治法第八一条第八〇条第七四条の三第一項第一号により無効であると言わなければならない。そして、委員在職中の者が請求代表者の一人として名をつらねている以上、たとえその者が直接署名のしゆう集に従事しなかつたとしても、委員在職中の者が請求代表者のうちに名をつらねていることが署名のしゆう集に影響を及ぼす可能性は常に否定し得ないところであるから、在職中の委員を請求代表者となり得ないものとする法意にかんがみれば、かような手続によりしゆう集された署名は、すべて正規の手続によらない署名として無効と解さざるを得ない。また、請求代表者の資格証明書を付与する選挙管理委員会が誤つて農業委員会委員在職中の者に右の証明書を付与したとしても、これにより右委員は請求代表者の資格を取得するものではないから、本件において選挙管理委員会が誤つて証明書を付与した事実は、右の結論を左右するものではない。

論旨は、右と反対の見解に立つものであつて、すべて採用に値しない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条により、全裁判官一致の意見を以て、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山茂 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

「大判例」は20世紀で日本国憲法下の裁判例のうち,公刊物に掲載されたものをまとめたインターネット判例集です。原則として公刊されたものをそのまま載せています。

憲法により判決は公開とされており,法曹および法律研究者に利用されているものです。その公共性と平等主義の観点から,送信防止措置または改変には一切応じませんのでご了承ください。

©daihanrei.com