大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和28年(オ)155号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人野村均一、同森田和彦の上告理由について。

原判決において適法に確定された事実関係によれば、被上告会社は、昭和二一年七月一〇日頃、高圧バルブ口金三〇万個を同月以降毎月三万個づつ製作して上告会社に引き渡す契約を締結したが、その数日後、上告会社の申出により個数を一〇万個に減らすことを約定し、他方、被上告会社は、訴外小池下請工場に依頼して右バルブ口金の製作に着手したところ、間もなく上告会社から更に二万個に減数方の要求があり、被上告会社としては、すでに右訴外工場において一〇万個の製作を開始し三万個余は出来上つていたため、右要求に応ずることができず上告会社に対しその製品の受領方を求めたが、上告会社は、これを拒絶して契約履行の意思のないことを表明したので、被上告会社は、上告会社において翻意して右製品を受領するといえばこれを引き渡しうる状態においてその引渡しの準備をした上、上告会社に対し昭和二二年九月二九日、二週間内に右製品三万個の受領方とその代金の支払を催告し、若しこれに応じないときはこれを条件として契約を解除する旨の意思表示をしたけれども、上告会社において遂にこれに応じなかつたというのである。

すなわち本件においては、上告会社は、二万個以上の製品を受領するの意思なく、出来上つた当初の製品三万個の受領も拒絶して、被上告会社との間の本件契約の履行をあらかじめ拒絶しているのであるから、このような事情のもとにおいては、被上告会社が右のごとく製品につき引渡しの準備をなし受領の催告をした以上、上告会社は、自己の債務につき不履行の責を免れることを得ないものであり、従つて、被上告会社の契約解除は、その効力を生じたものと解するのを相当とする。されば、これと結論を同じくする原判決は、結局正当であつて、論旨は理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 池田克 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)

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