大判例

20世紀の現憲法下の判例を掲載しています

最高裁判所第二小法廷 昭和31年(あ)900号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

被告人の上告趣意第一について。

原判決の維持した第一審判決は第一審公判における被告人の自白の外に、被害者又は関係人の第一審公判における証言、検察官、司法警察員に対する供述調書、被害届を挙示し、以上を綜合して本件各詐欺の事実を認定しているのであるから、所論引用の判例は本件に適切でない。また、本件につき適法な手続による証拠調が行われたことは、論旨の自認するとおりである。されば、論旨はいずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

同第二について。

論旨中罪刑法定主義をいう部分は犯意を否定する事実誤認の主張を出でないものであり、その余の論旨は憲法三九条のいわゆる二重処罰禁止違反をいうにあると解されるが、検察官が一旦不起訴にした犯罪を後日になって起訴しても同条に違反するものでないことは、当裁判所の判例の趣旨に照して明らかである。(昭和二五年(あ)第二一〇六号、同二六年一二月五日大法廷判決、集五巻一三号二四七一頁)

同第三について。

本件事案が複雑で関係人も回数も多いことその他諸般の事情よりすれば、所論自白を以て不当に長く拘禁された後の自白ということのできないことは当裁判所判例の各趣旨に徴し明らかであり(昭和二二年(れ)第二七一号、同二三年六月三〇日大法廷判決、集二巻七号七一五頁、昭和二二年(れ)第三〇号、同二三年二月六日大法廷判決、集二巻二号一七頁)、なお被告人の右自白が司法警察員の誘導勧説等にもとづくものと認むべき証跡はないから、所論違憲の主張は採るを得ない。

その余の論旨について。

所論は単なる訴訟法違反、事実誤認の主張に帰し、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(判例違反をいうが、その判例を具体的に示していないから不適法である)

弁護人坂本三次郎の上告趣意について。

所論は審理不尽、事実誤認、法律適用の誤りを主張するに過ぎず、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 池田克 裁判官 河村大助)

「大判例」は20世紀で日本国憲法下の裁判例のうち,公刊物に掲載されたものをまとめたインターネット判例集です。原則として公刊されたものをそのまま載せています。

憲法により判決は公開とされており,法曹および法律研究者に利用されているものです。その公共性と平等主義の観点から,送信防止措置または改変には一切応じませんのでご了承ください。

©daihanrei.com