大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和33年(オ)878号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人弁護士片岡政雄の上告理由は別紙のとおりである。

上告理由第一点について。

論旨は、原判決が第二目録記載の署名に関し、署名収集委任状に請求代表者の押印がなかつた旨の上告人の主張を認めなかつたのを非難するのであるが、要するに原審の専権に属する証拠の取捨選択、事実認定を非難するに過ぎず、原判決に所論のような違法はない。

同第二点について。

論旨は、原判決が有効とした署名に関し、署名収集委任状には委任者の自署がなく無効であることが明らかであるにかかわらず、原審は職権探知を怠り、これらの委任状によつて集めた署名を有効とした違法がある旨を主張するのである。

しかし、かかる事実は上告人が原審で主張しなかつた事実であり、かつ、行政事件訴訟特例法九条の規定は所論のように裁判所の職権探知義務まで規定しているものではないから論旨は理由がない。

同第三点について。

論旨は、原判決はその主文で橋本勝四郎外七名の署名の効力について判断を示さない違法がある旨を主張するのであるが、原判決の主文と理由とを対照して見ると原判決は結局これらの署名は本件異議申立中に含まれていないことを理由として上告人の主張を排斥したことが明らかであるから、所論のような判断遺脱はない。

なお、論旨は、右の署名について行政事件訴訟特例法二条但書の適用を主張するのであるが、地方自治法七四条の二は署名に関する異議、訴訟の関係について規定しているから、右特例法二条の適用はないものと解すべく論旨は採ることができない。

同第四点について。

論旨は本件解職請求の署名は権利の濫用であるから無効である旨を主張するのであるが、解職請求の理由については法律上制限はないのであつて、請求が理由があるかないかは選挙人が署名または投票に際し判断すべく、裁判所が判断すべきことではないから論旨は理由がない。所論憲法違反の主張は、その前提を欠き、違憲に名を藉りるに過ぎない。

以上説明のとおり本件上告は理由がないからこれを棄却することとし、民訴四〇一条、九五条、八九条を適用し裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)

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