大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和35年(オ)1297号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人大橋光雄の上告理由第一点について。

原審の認定によれば、訴外西山静夫は、訴外石川俊彦より本件小切手を窃取したか、しからずとするも、これを窃取した者から情を知つて取得したものと推認され、従つて、右西川は本件小切手の正当な所持人ではなかつたというのであり、そして、後に判示するように、上告人は、右西川から呈示期間経過後に本件小切手を取得したものであつて、小切手法二一条の保護を受けえないのであるから、結局、本件小切手上の権利を取得するに由なく、その正当の所持人とはいえないのである。所論は、上告人が本件小切手の正当な所持人であることを前提とする議論であつて、採用するをえない。

同第二点、同補充上告理由について。

小切手の文言が変造された場合において、変造前の署名者は原文言に従つて責任を負うものであることは小切手法五〇条の明定するところであるから、被上告人は本件小切手の変造前の文言、すなわち、昭和二八年一一月一四日振出日附の小切手の振出人としての責任を負うものであるところ、小切手が呈示期間経過後引渡により譲渡された場合は、呈示期間経過後の裏書の場合と同様、指名債権譲渡の効力のみを有し、小切手の善意取得に関する小切手法二一条の適用がないと解するのが相当であつて、銀行振出の自己宛小切手についてもこれと別異に解すべき理由はなく、また、呈示期間に関する所論商慣習法の存在も認められないから、上告人は、悪意または重大なる過失なくして本件小切手を取得したとしても、呈示期間経過後引渡によりこれを取得したものとして、小切手法二一条により本件小切手上の権利を取得しうるものではない。所論は、独自の見解に依拠するものであつて、採用しえない。

同第三点について。

所論は、ひつきよう、前記各上告理由の繰返しの範囲を出るものでなく、その理由のないことは既に説示のとおりであつて、採用しえない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 奥野健一 裁判官 山田作之助 裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外)

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