大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和41年(オ)1078号 判決

上告人

日特重車輛株式会社

右代表取締役

永田太郎

右訴訟代理人

原田勇

外四名

被上告人

右代表者法務大臣

田中伊三次

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人原田勇、同鈴木巌、同川村幸信、同黒崎辰郎、同秋守勝の上告理由第一点ならびに第三点一および二の(一)、(二)について。

民訴法五七三条の規定により評価をさせるべき鑑定人は、同条の目的に照らして、目的物の評価をなし得るだけの知識経験を有して適当と認めうる者であれば、とくに目的物を平常取り扱つているなどの高度に専門的な知識経験を有する者にかぎられないとする原判決の判断は、当審も正当として是認することができる。そして、原判決がその挙示の証拠により適法に確定した事実関係によれば、執行吏瀬谷行洋が群馬トヨタ自動車株式会社総務部庶務課査業係主任長井紀美雄を本件動産執行の鑑定人に選任し同人が同会社中古車課長天田房夫名義で作成した鑑定書をしんしやくした本件執行手続を違法ということはできない(所論のような奥田福松の鑑定書が提出されていたとしても、前記天田房夫名義の鑑定書を違法といえない以上、この差異についてとくに明らかにしなくても違法といえない。)。

原判決には、所論のような違法があるとはいいがたく、所論は、結局、採用しがたい。

同第二点について。

所論の点の原判決の事実判断は、その挙示の証拠関係に照らし、当審も正当としてこれを肯認しえないわけではない。

原判決には、所論のような違法があるとはいいがたく、所論は、結局、原審の専権に属する証拠の取捨・選択、事実の認定を非難するに帰し、採用しがたい。

同第三点二の(三)について。

所論のうち、奥田福松作成のいわゆる鑑定書は民訴法五七三条所定の鑑定書とはいいがたいから、この点の論旨は前提を欠くものというべく、また、所論の天田房夫作成名義の鑑定書は当該事件の記録につづりこむことは所論のとおりであるとしても、これをつづりこまなかつたとしても、ただちに、所論のような違法を生ずるとはいえない。

所論は、結局、採用しがたい。

同第三点の(四)について。

原判決の認定した事実は、その挙示の証拠により十分認定することができるところ、右の認定した事実、とくに瀬谷執行吏は上告人(債権者)側からの昭和三七年一月二二日午前一〇時の競売期日の立会方希望に対し執行吏役場にくることを指示し、同日午前一〇時すぎまで執行吏役場でまつていたが、競売期日の立会のため到着すると予想される最後の列車の到着時刻をすぎても上告人側が来なかつたので、他の有体動産の差押事件の関係もあつてまず本件機械の保管場所に赴いてこれを競売することにして、本件機械の保管場所に到着するや、ただちにその競売期日を開いて競売をし、結局、谷只雄をして金五〇万一〇〇〇円で競落させたというのであり、同執行吏は上告人側の立会の予告を受けていたから定刻をすぎるまで出発を延期し、できるかぎり便宜の措置をとつたという事実を考えると、本件競売を実施した瀬谷執行吏には所論のような受任者の義務に違背したものがあるとはいえないとした原判決は正当である。

原判決には、所論のような違法はなく、所論は、採用しがたい。

よつて民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(奥野健一 草鹿浅之介 城戸芳彦 石田和外 色川幸太郎)

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