大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和44年(オ)316号 判決

上告人

岡山宮地弘商事株式会社

右代表者

宮地敬

右訴訟代理人

小野実雄

被上告人

阪西直晴

被上告人

広島駅弁当株式会社

右代表者

三宅勲

右会社訴訟代理人

鈴木惣三郎

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人小野実雄の上告理由第一点について。

所論は、要するに、上告人(参加人)岡山宮地弘商事株式会社(以下「参加人」という。)と被上告人(被告)広島駅弁当株式会社(以下「被告」という。)との間の訴訟は一審判決どおり確定しているのであつて、該請求が被上告人(原告)阪西直晴(以下「原告」という。)の控訴にもとづく控訴審における審判の対象にはならない、というのである。

しかし、本件は、訴訟の目的が原告、被告および参加人の三者間において合一にのみ確定すべき場合(民訴法七一条、六二条)に当たることが明らかであるから、一審判決中参加人の被告に対する請求を認容した部分は、原告のみの控訴によつても確定を遮断され、かつ、控訴審においては、被告の控訴または附帯控訴の有無にかかわらず、合一確定のため必要な限度で一審判決中前記部分を参加人に不利に変更することができると解するのが相当である(最高裁昭和三九年(オ)第七九七号同四二年九月二七日大法廷判決・民集二一巻七号一九二五頁、最高裁昭和三四年(オ)第二一二号同三六年三月一六日第一小法廷判決・民集一五巻三号五二四頁、最高裁昭和四一年(オ)第二八八号同四三年四月一二日第二小法廷判決・民集二二巻四号八七七頁参照)。原判決に所論の違法はなく、所論は、これと異なる独自の見解にたつものであつて採用するをえない。

同第二点ないし第六点について。

所論に関する原審の事実認定は、原判決の挙示する証拠関係に照らし是認することができ、原判決に所論の違法はない。所論は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものであつて、採用することができない。

同第七点について。

原審は中島利夫が代理人として所論の債権譲渡の承諾をしたものと認定しているものであることは、判文に徴して明らかであるところ、債権譲渡の承諾は、観念の通知であるが、意思表示に関する規定が類推適用されるべきであつて、代理に親しむと解するのが相当である(大審院昭和三年(オ)第九四四号同四年二月二三日判決・民集八巻三三七頁参照)から、原判決に所論の違法はない。引用の判例は、本件に適切でなく、論旨は採用することができない。

同第八点について。

債権譲渡の承諾書が作成された後譲受人がその承諾書に確定日付を得た場合であつても、その確定日付の時から所定の対抗力を生じるものと解するのが相当である(大審院大正三年(オ)第三九一号同四年二月九日判決・民録二一輯九二頁参照)。これと同旨の原審判断は相当で、原判決に所論の違法はない。論旨は採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(村上朝一 岡原昌男 小川信雄 大塚喜一郎 吉田豊)

上告代理人小野実雄の上告理由

〈前略〉

第一点 (第二審判決理由摘示冒頭に於ける所論に対して)本件第一審に於ては、原告阪西直晴は全面的敗訴し、被告広島駅弁当株式会社は、原告には勝訴し参加人岡山宮地弘商事株式会社に対しては一部敗訴したものであつて、参加人岡山宮地弘商事に敗訴した被告広島駅弁当は控訴しなかつたものである。従つて第一審参加人と被告広島駅弁当との間の参加訴訟は第一審判決の通り確定したものである。

左れば、第二審では広島駅弁当は、控訴人阪西直晴との関係で被控訴人であるのみであつて、参加人宮地弘商事との関係で控訴人となる訳のものではない。けだし、叙上の如く第一審被告広島駅弁当は参加人に対し控訴して居ないからである。

然るに、原判決は其理由に於て「参加人との関係では控訴人となることとなる」「参加人の第一審被告に対する請求中勝訴部分が当審の審判の対象となる。第一審被告も控訴人の地位に立つと解す」と摘示して居るけれども、これは違法解釈である兼子条解一八七頁、三ケ月、民訴法二二八頁は、民訴第六二条二項により上訴しない者はいずれも被上訴人になるといつているし、第二審判決が援用した御庁昭和三九年(オ)第七九七号同四二年九月二七日大法廷判決が示した代表的判決の根底には必らずしも一致しない思想があるやに思われるこの判決が民訴法第七一条の参加訴訟について三面訴訟説をとることを明かにしたけれども、具体的な個々の問題については今後の判例の発展にすべて残されて居るといえよう、依つて本件の具体的問題について新判例を求める。〈後略〉

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