大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和52年(あ)1304号 決定

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人原田香留夫の上告趣意第一点は、憲法三二条、三七条、七六条、七七条、三一条違反をいう。

地方裁判所における審理に判事補の参与を認める規則(以下単に「参与規則」という。)は、裁判所法二六条一項の規定により一人の裁判官で事件を取り扱う場合において、当該事件を取り扱う裁判官が判事(特例判事補を含む。以下同じ。)であるときに、判事補(特例判事補を除く。以下同じ。)を参与させ、その判事補(以下「参与判事補」という。)をして当該事件の審理に立ち会わせたり、事件について意見を述べさせるなどして、将来よき裁判の担い手となるように判事補を指導養成することを目的とするものであるところ、参与判事補は、評決権をもつものでないことはもちろん、訴訟指揮権や発問権を有するものでもなく、その意見は判事に対し法律上も事実上もなんら拘束力を有するものでもないし、また、参与判事補には除斥、忌避及び回避の規定の適用もないうえ、参与判事補の交替は弁論・公判手続の更新とつながるものではないから、参与判事補は、形式的にも実質的にも裁判体の構成員となるものではなく、したがつて、参与規則はいかなる意味においても二人合議制(所論のいう制限された二人合議制を含む。以下同じ。)を採用したものではない。

そうすると、参与規則が二人合議制を採用したものであることを前提とする憲法三二条違反の主張はその前提を欠くまた、参与規則が二人合議制を採用したものでなく、参与判事補の意見は、前示のように判事補養成の一方法として述べさせるものである以上、そのことによつて、偏頗・不公平のおそれのある組織や構成をもつ裁判所による裁判がなされるものでないことは明らかであるから、憲法三七条、七六条違反の主張もその前提を欠く。さらに、参与規則は、二人合議制を採用したものでなく、なんら被告人の重要な利害や刑事訴訟の基本構造に関する事項を規定しているものでないことが明らかであるから、憲法七七条、三一条違反の主張もその前提を欠く。所論は、適法な上告理由にあたらない。

同第二点は、事実誤認の主張であり、同第三点は、量刑不当の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。

よつて、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(木下忠良 大塚喜一郎 栗本一夫 塚本重頼 鹽野宜慶)

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