大判例

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札幌地方裁判所 昭和46年(ヨ)394号 決定

債権者

国鉄労働組古合札幌地方本部

右代表者

羽根田二郎

右訴訟代理人

佐藤文彦

外五名

債務者

日本国有鉄道

右代表者

磯崎叡

右指定代理人

伊藤幸二郎

外四名

主文

債務者は、その職員として、債権者組合苗穂工場支部組合員に対し、同組合員が債権者組合を脱退するよう指示説得してはならない。

仮処分命令申請書

申請の趣旨

債務者は債権者組合苗穂工場支部組合員に対し、苗穂工場幹部をして債権者組合を自ら脱退し、又他の組合員を脱退させるようにはたらきかけるなどして債権者の組織に介入してはならない。

との裁判を求める。

申請の理由

一、債務者は日本国有鉄道法に基づき設立された鉄道事業等を営む公共企業体であり、債権者は債務者の職員をもつて組織する労働組合で、下部組織として苗穂工場支部他一一支部がある。組織人員は組合全体で一二、三三〇名、苗穂工場支部は一、四四三名であ

二、債務者の管理者は債権者苗穂工場支部組合員に対し、次のとおり、債権者組合を脱退するようはたらきかけた。

(1) 昭和四六年八月三〇日国鉄本社調査役高橋登は苗穂工場指導掛、工作掛神蔵正次外一九名(いずれも組合員のみ)を同工場内本場会議室に集め、国鉄労働組合の運動方針を批判し、債権者組合を自ら脱退し或いは他の組合員を脱退させる行動をとるよう呼びかけた。

(2) 同年九月四日同工場部品職場長光俣弘雄、同職場助役吉根清司は同工場工作指導掛池田睦男、同大沼弘志(いずれも組合員)に対し、「職場長会議の決定である」旨告げて、「国労は運動方針で違法なストライキを行なうよう決定しているので国鉄のため障害となつている、国労をやめてもらいたい」旨脱退を強要した。

(3) 右同日同工場製缶職場長高野定春、同主席助役上村寿、同助役上城宏は同工場機関車職場打合せ室に同工場指導掛石藤唯雄他九名(いずれも組合員)を集め、国労は斗争至上主義であるなど同労組の方針を誹謗し、「他の職場では指導掛は全部といつてよい程国労を脱退した模様である、従つて、皆さんはこの際脱国労になつてもらいたい」と申し向け一人一人名前を呼んで脱退するよう強要した。

右管理者らの働きかけにより、同年九月九日現在同支部において九〇名の組合員が脱退した。

三、右のような当局の組織破壊工作は、合理化による要員削減、生産性向上運動による組織破壊に直面して組織を防衛せんとしている債権者組合にとつて死命を制する事態である。

そこで債権者は団結権妨害禁止の本訴を提起すべく準備中であるが、本案判決の確定をまつては、回復しがたい損害を被る。

よつて申請に及ぶ。

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