大判例

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札幌高等裁判所函館支部 昭和33年(う)90号 判決

被告人 江上きく

主文

本件控訴を棄却する。

理由

控訴趣意第一点(法令適用の誤り)。

所論は原判決が被告人に対し昭和三〇年九月から同三三年一月迄の間、二八回に亘り毎月引続いて入場税を逋脱し、かつ同三三年一月二三日には同月一日から同月二三日までの入場税を逋脱しようとした事実を認め右二九回に亘る事実を夫々一個の逋脱罪として各所為につき夫々罰金刑をもつて処断しているけれども、右所為は終始単一の犯意にもとずく継続的犯罪行為であるから、一罪として処断すべきものであつて、この点において原判決には法令適用の誤りがあると主張する。

しかし入場税法第一〇条によれば映画館の経営者は実際に領収した毎月分の入場料金の総額を記載した申告書を翌月一〇日迄に興業場の所在地の所轄税務所長に提出しなければならないし、同法第一二条で入場税は入場料金を領収した日の属する月の翌月末日を納付期限として徴収することになつているから、右経営者が毎月の入場料金の総額を故意に真実に反して過少に記載した申告書をその翌月申告し、その差額分に対する入場税を逋脱し又は逋脱せんとした場合には各月分毎に一個の逋脱が成立するものと解するを正当とする。そして同法第二五条第一項第一号には詐欺その他不正の行為により入場税を免れ又は免れようとした者は五年以下の懲役若くは五〇万円以下の罰金に処すると規定され、同法第二九条には第二五条第一項の罪を犯したものには刑法第四八条第二項の規定を適用しない旨の規定があるのであるから、被告人の右各月分の逋脱行為につき、夫々各独立して科刑がなされるべきことは勿論であつてこの点につき原判決には何等所論のような法令適用の誤りがない。論旨は理由がない。

(その他の判決理由は省略する)

(裁判官 羽生田利朝 磯江秋仲 今村三郎)

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