大判例

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東京地方裁判所 平成10年(ヲ)45号 決定

申立人

植田修介

右代理人弁護士

加藤猛

相手方

日立クレジット株式会社

右代表者代表取締役

花房正義

右代理人弁護士

堤克彦

古江賢

主文

一  本件異議申立を却下する。

二  申立費用は申立人の負担とする。

理由

一  本件異議申立の趣旨は、「相手方が、相手方を債権者、申立人を債務者とする福岡地方裁判所平成一〇年(ヨ)第一二〇号動産仮差押命令申立事件の仮差押決定正本に基づき、東京地方裁判所執行官に申立て、平成一〇年三月四日、エキシマーレーザー治療台、椅子とも一式(以下「本件動産」という)に対してなした仮差押決定(以下「本件執行」という)は、これを許さない。」というものであり、その理由の要旨は次のとおりである。すなわち、申立人は、個人で診療所を開設している眼科医であるが、本件動産は、最も新しい治療技術であるレーシック手術に不可欠の器具であり、民事執行法一三一条六号の差押禁止動産に該当するところ、これを無視して本件動産を仮差押えした本件執行は違法であるというにある。

二  一件記録によれば、申立人は個人で診療所を開設している眼科医であること、申立人は患者にレーシック手術を施していること、右手術を施す医師は申立人の他数名しかいないこと、本件動産は右手術に不可欠の器具であることが認められる。

ところで、民事執行法一三一条六号の制度趣旨は、生業の維持を目的としているが、それは申立人が現状のまま診療所を維持、継続していけるところまで保護した規定とはみるべきではなく、申立人が医師として生活をすることまでの保護を目的とした規定と解するのが相当である。そうだとすると、申立人は、医師免許を有する眼科医であり、本件のような特別の機械を失っても、通常の眼科医としての職業生活を送ること(通常の眼科医として開業医を続けるか、勤務医として働くこと)が可能である。このような観点からは、本件動産は、民事執行法一三一条六号の差押禁止動産に当たらないというべきである。

以上から明らかなとおり、申立人の本件異議は理由がないので主文のとおり決定する。

(裁判官難波孝一)

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