大判例

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東京地方裁判所 平成8年(特わ)4399号 判決

本籍

東京都世田谷区北沢二丁目一〇番

住居

東京都世田谷区北沢二丁目一〇番一五-一四〇五号

藤和下北沢ハイタウン

職業

婦人服販売業 福田世紀

昭和一九年六月一二日生

本籍

東京都世田谷区北沢二丁目一〇番

住居

東京都世田谷区北沢二丁目一〇番一五-一四〇五号

藤和下北沢ハイタウン

職業

婦人服販売店従業員 金井徳次郎

昭和一二年一月二九日生

主文

被告人福田世紀を罰金三二〇〇万円に、被告人金井徳次郎を懲役一年六月に処する。

被告人福田世紀において右罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間、同被告人を労役場に留置する。

被告人金井徳次郎に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人福田世紀は、東京都世田谷区北沢二丁目一〇番一五号下北沢ハイタウン・ショッピングフロアー・マルシェ下北沢内において、「パステル福田商店」の名称で婦人服販売業を営むもの、被告人金井徳次郎は、右「パステル福田商店」の経理全般を統括しているものであるが、被告人金井は、被告人福田の業務に関し、その所得税を免れようと企て、架空仕入を計上するなどの方法により、所得を秘匿した上

第一  平成四年分の実際総所得金額が一億二三九二万九一四六円(別紙1の所得金額総括表及び修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成五年三月八日、東京都世田谷区松原六丁目一三番一〇号所轄北沢税務署において、同税務署長に対し、平成四年分の総所得金額が二五五八万六九一七円で、これに対する所得税額が八四四万〇五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(平成九年押第八〇七号の1はその写し)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額五七五七万三五〇〇円と右申告税額との差額四九一三万三〇〇〇円(別紙4(1)のほ脱税額計算書参照)を免れ

第二  平成五年分の実際総所得金額が一億五八八二万二三八六円(別紙2の所得金額総括表及び修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成六年三月一〇日、前記北沢税務署において、同税務署長に対し、平成五年分の総所得金額が二七六六万二二四六円で、これに対する所得税額が九四七万円である旨の虚偽の所得税確定申告書(同押号の2はその写し)を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額七五〇三万七五〇〇円と右申告税額との差額六五五六万七五〇〇円(別紙4(2)のほ脱税額計算書参照)を免れ

第三  平成六年分の実際総所得金額が八〇二五万一七三三円(別紙3の所得金額総括表及び修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成七年三月一三日、前記北沢税務署において、同税務署長に対し、平成六年分の総所得金額が二五五八万九七二二円で、これに対する所得税額が六七二万二四〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(同押号の3はその写し)を提出し、もって、不正の行為により同年分の正規の所得税額三三七三万二〇〇〇円と右申告税額との差額二七〇〇万九六〇〇円(別紙4(3)のほ脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

※ 括弧内の甲乙の番号は証拠等関係カードにおける検察官請求証拠の番号を示す。

判示事実全部について

一  被告人両名の当公判廷における供述

一  被告人福田世紀(乙2ないし4)及び被告人金井徳次郎(乙6ないし9)の検察官に対する各供述調書

一  和田富夫の検察官(甲48)に対する供述調書

一  和田富夫の大蔵事務官に対する質問てん末書(甲49)

一  佐藤貞雄の大蔵事務官に対する質問てん末書(甲50)

一  検察事務官作成の捜査報告書(甲3、9、17、51、61)

一  大蔵事務官作成の売上金額調査書(甲1)、雑収入調査書(甲2)、仕入金額調査書(甲4)、給料賃金調査書(甲6)、外注工賃調査書(甲8)、地代家賃調査書(甲10)、利子割引料調査書(甲12)、運賃調査書(甲14)、光熱水費(水道光熱費)調査書(甲15)、旅費交通費調査書(甲16)、通信費調査書(甲20)、宣伝費調査書(甲22)、交際費調査書(甲24)、修繕・消耗品費調査書(甲26)、事務用品費調査書(甲28)、支払手数料調査書(甲33)、催事経費調査書(甲34)、租税公課調査書(甲39)、雑費調査書(甲40)、社会保険料控除額調査書(甲42)、生命保険料控除額調査書(甲43)、その他の経費の申告金額調査書(甲46)、領置てん末書(甲54)

判示第一、第二の事実について

一  検察事務官作成の捜査報告書(甲5、19、41)

一  大蔵事務官作成の出張費調査書(甲18)

判示第一、第三の事実について

一  検察事務官作成の捜査報告書(甲11)

一  大蔵事務官作成のレンタカー代調査書(甲32)

判示第一の事実について

一  検察事務官作成の捜査報告書(甲23、29、35、47、63)

一  大蔵事務官作成の会費調査書(甲30)

一  所得税の確定申告書写(福田世紀の平成四年分)一袋(平成九年押第八〇七号の1)、平成四年分収支内訳書写(福田世紀)一袋(同押号の4)

判示第二、第三の事実について

一  検察事務官作成の捜査報告書(甲25)

一  大蔵事務官作成のクリーニング代調査書(甲36)、損害保険料調査書(甲37)、損害保険料控除額調査書(甲44)

判示第二の事実について

一  検察事務官作成の捜査報告書(甲7、21、38)

一  所得税の確定申告書写(福田世紀の平成五年分)一袋(平成九年押第八〇七号の2)、平成五年分収支内訳書写(福田世紀)一袋(同押号の5)

判示第三の事実について

一  検察事務官作成の捜査報告書(甲27、62)

一  大蔵事務官作成の減価償却費調査書(甲13)、賃借料調査書(甲31)、特別減税額調査書(甲45)

一  所得税の確定申告書写(福田世紀の平成六年分)一袋(平成九年押第八〇七号の3)、平成六年分収支内訳書写(福田世紀)一袋(同押号の6)

(法令の適用)

※ 以下の「刑法」は、平成七年法律第九一号による改正前のものである。

罰条

被告人福田につき 判示各事実につき、いずれも所得税法二三八条一項、二項(情状による)、二四四条一項

被告人金井につき 判示各事実につき、いずれも所得税法二三八条一項、二四四条一項

刑種の選択 被告人金井につき 懲役刑

併合罪の処理

被告人福田につき 刑法四五条前段、四八条二項

被告人金井につき 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重)

労役場留置 被告人福田につき 刑法一八条

刑の執行猶予 被告人金井につき 刑法二五条一項

(量刑の理由)

本件は、被告人福田の経営する婦人服販売業に関し、その内縁の夫で経理全般を統括する被告人金井が、売上の一部を除外し、仕入や給料賃金等について架空経費を計上するなどして合計約一億四一七一万円あまりをほ脱したという虚偽過少申告ほ脱犯の事案であり、ほ脱額は多額で、ほ脱率も約八五・二パーセントと高率である。その手口も、税務調査を受けずに済むようにするため、粗利益率や所得率が前年並みになるように経理内容を操作するなど、巧妙かつ計画的なものである。そして、被告人福田については、納税義務者でありながら、経理処理を被告人金井に任せきりにし、確定申告に際して申告書を見ることすらしていなかったもので、被告人金井に対する監督懈怠の責任は重大である。また、被告人金井については、自己及び被告人福田の将来の生活費の蓄積といった格別斟酌するに値しない動機で本件に及んでおり、本件全体を計画・実行した責任は重大である。これらの点からすると、被告人両名の刑事責任はいずれも重い。

しかし、本件後に修正申告がなされ、本税については全額納付済みで、延滞税等についても今後分割納付される見込みであること、税理士が記帳その他の経理処理を行い、被告人金井は金銭出納の事務のみを行うこととなり、経理の適正化が図られていること、被告人福田は、被告人金井から本件の虚偽過少申告の事実について知らされていなかったこと、被告人両名には前科がなく、いずれも本件犯行を認め反省の態度を示していることなど、被告人両名のために酌むべき事情も存するので、これらの諸事情を総合考慮し、主文の刑が相当と認めた(求刑-被告人福田・罰金四〇〇〇万円、被告人金井・懲役一年六月)。(検察官福垣内進、被告人福田の私選弁護人寺本吉男、被告人金井の私選弁護人金田英一、大森恒太各出席)

(裁判官 保坂直樹)

別紙1

所得金額総括表

〈省略〉

修正損益計算書

〈省略〉

別紙2

所得金額総括表

〈省略〉

修正損益計算書

〈省略〉

別紙3

所得金額総括表

〈省略〉

修正損益計算書

〈省略〉

別紙4

ほ脱税額計算書

(1) 平成4年分

〈省略〉

(2) 平成5年分

〈省略〉

(3) 平成6年分

〈省略〉

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