大判例

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東京地方裁判所 昭和28年(行)44号 判決

東京都墨田区太平町一丁目十八番地

原告

木村隆之助

同都同区寺島町四丁目六十六番地

原告

森俊義

右両名訴訟代理人弁護士

金綱正已

同都同区墨田町一丁目十二番地の一

被告

墨田税務署長

中村平次

右指定代理人大蔵事務官

国吉良雄

篠原文雄

中里恒曠

右訴訟代理人弁護士

松宮隆

右当事者間の昭和二十八年(行)第四四号課税処分取消請求事件について、次のとおり判決する。

主文

原告等の訴を却下する。

訴訟費用は原告等の負担とする。

事実

原告両名訴訟代理人は「被告が昭和二十七年五月十五日原告木村隆之助に対し、昭和二十六年度分所得税の総所得金額を金二十四万六千三百円と更正した決定のうち、金二十万円を超える部分を取り消す。被告が昭和二十七年五月十五日原告森俊義に対し、昭和二十六年度分所得税の総所得金額を金五十九万五千二百円と更正した決定のうち、金三十四万円を超える部分を取り消す。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求め、請求の原因として次のとおり述べた。

昭和二十六年度分の所得税について、被告墨田税務署長に対し、原告木村は総所得金額を金二十万円、原告森は同三十四万円とする確定申告書を提出したところ、被告は昭和二十七年五月十五日それぞれ請求の主旨に掲げたとおりの金額に更正する旨の決定をし、これを原告等に通知した。そこで原告等は被告に対し、法定期間内に再調査の請求をしたが、原告木村は請求を却下され、原告森は請求を棄却された。原告等は更に東京国税局長に対し法定期間内に審査の請求をしたが、原告木村は昭和二十八年二月二日附決定を以て、原告森は同年一月二十一日附決定を以て、いずれも請求を棄却され、原告木村は同年三月十日、原告森は同年二月二十八日、右棄却決定の通知を受けた。

しかし原告等の前記確定申告書に記載した金額にはいずれも誤がないのであるから、被告のした前記更正決定及びこれを維持した東京国税局長の審査決定は違法である。よつて被告のした更正決定のうち、それそれ原告等の申告額を超える部分の取消を求める。

かように述べ、「乙号各証が直正にできたことを認める。」と述べた。

被告代理人は、まず、本案前の答弁として、主文同旨の判決を求め、その理由として「東京国税局長の審査決定の通知が到達したのは、原告木村に対しては昭和二十八年二月三日、原告森に対しては同年一月二十四日である。しかるに原告等が本訴を提起したのは昭和二十八年五月二十二日であつて、所得税法第五十一条の三カ月の出訴期間を従過しているのであるから、原告等の訴はいづれも不適法として却下さるべきである。」と述べ、次に本案について「原告等の請求を棄却する。訴訟費用は原告等の負担とする。」との判決を求め、「原告等主張の昭和二十六年度分所得税の確定申告に対し原告等主張のとおり更正決定、再調査の請求、これに対する決定、審査の請求及びこれに対する決定があつたことは認めるが、被告墨田税務署長がした右更正決定及び東京国税局長がした審査決定が違法であるということは否認する。」と答え、立証として乙第二十三、二十四号証の各一ないし三を提出した。

理由

乙第二十三、二十四号証の各一ないし三(いずれも真正にできたことに争いがない)を合せ考えると、東京国税局長は、原告木村に対する昭和二十八年二月二日附本件審査決定通知書を同日書留郵便で発送し、右郵便は翌二月三日原告木村の許に配達されたこと、原告森に対する昭和二十八年一月二十一日附本件審査決定通知書を同月二十三日書留郵便で発送し、右郵便は翌一月二十四日原告森の許に配達されたことを認めることができる。他に右認定を動かすに足りる証拠はない。

してみると、原告等は、被告墨田税務署長のした本件更正決定の取消を求めるためには、それそれ右認定の審査決定の通知を受けた日から三カ月の期間内に出訴すべきであつた(所得税法五十一条二項)にかかわらず、原告等が本訴を提起したのは昭和二十八年五月二十二日(記録上明らかである)であるから、原告等の本件訴はいずれも右出訴期間を徒過したものであつて、不適法であるといわなければならない。

よつて被告の本案前の答弁を理由ありと認め、訴訟費用の負担について行政事件訴訟特例法第一条、民事訴訟法第八十九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 新村義広 裁判官 入山実 裁判官 石沢健)

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