大判例

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東京地方裁判所 昭和45年(ワ)70879号 判決

原告 後藤ヒデ子

訴訟代理人弁護士 真木洋

被告 株式会社山田屋

代表者代表取締役 山田淳三

訴訟代理人弁護士 北野昭式

主文

原被告間の当庁昭和四五年(手ワ)第三〇三二号約束手形金請求事件の手形判決を全部認可する。

異議申立後の訴訟費用は被告の負担とする。

事実

一  当事者双方の求める裁判および原告の請求原因事実は主文掲記の手形判決の事実摘示記載と同一であるからこれを引用する。

二  請求原因に対する答弁

(一)  本件手形は裏書の連続を欠く。すなわち、本件約束手形受取人は「有限会社栄華飯店」で、第一裏書人は「有限会社栄華飯店」と表示した下に「呂煥栄」の署名捺印があるのみで、右会社代表資格の表示がない。

(二)  その余の点は認める。

三  抗弁

被告は本件手形を訴外申根林に詐取されたものであるが、原告は右事情を知りながら本件手形を取得したものである。

四  抗弁に対する答弁

原告の悪意取得の点は否認、その余の点は不知。

理由

まず本件手形の裏書の連続の点について考えるに、≪証拠省略≫によれば本件手形の受取人および第一裏書人の記載は被告の指摘するとおりである。しかし受取人「有限会社栄華飯店」と第一裏書人「有限会社栄華飯店呂煥栄(印影の文字は呂煥栄)」との間には裏書の連続ありと解すべきである。けだし、法人の代表者としての手形上の署名の方式としては本来代表資格を表示すべきではあるが、裏書の連続の有無の問題としては、受取人(もしくは被裏書人)と次の裏書人の表示を対比して、両者に社会通念上同一性が認められれば連続ありと解すべきところ、本件のように両者に同一法人名が表示されており、単に裏書人の代表資格の表示のみが欠けている場合には、いまだ右の意味での同一性を失わないと解するのが相当であるからである。

請求原因事実中その余の点は当事者間に争いがない。抗弁事実はこれを認むべき証拠がない。

右事実によれば原告の本訴請求は正当である。

よって民訴法四五七条一項、四五八条一項、八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 白石悦穂)

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