大判例

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東京地方裁判所 昭和60年(特わ)3049号 判決

主文

被告人を懲役三年六月及び拘留二五日に処する。

未決勾留日数中一〇〇日を右懲役刑に算入する。

東京地方検察庁で保管中のドライバー一本、かじや一丁及びペンライト一個を没収する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、

第一  昭和五三年六月一三日中野簡易裁判所において窃盗罪等により懲役一年四月に、昭和五六年一月二七日渋谷簡易裁判所において窃盗罪等により懲役一年八月に、昭和五八年一月二六日東京地方裁判所において常習累犯窃盗罪により懲役二年六月に各処せられ、いずれもそのころ右各刑の執行を受けたものであるが、更に常習として、別紙犯罪事実一覧表記載のとおり、前後四回にわたって他人の財物を窃取したほか、昭和六〇年八月一六日、東京都新宿区北新宿二丁目二番一〇号深山荘一号松波イシ方居室において、同人所有の現金等を窃取する目的でたんす引き出しをひき出すなどして物色したが、現金等を発見するに至らずその目的を遂げなかった

第二  正当な理由がないのに、同月二二日午後八時一三分ころ、同区西新宿六丁目一番一号警視庁新宿警察署において、他人の邸宅又は建物に侵入するのに使用されるような器具であるドライバー一本及びかじや一丁を手提紙袋内に、ペンライト一個をズボンの左ポケット内にそれぞれ隠して携帯していた

ものである。

(証拠の標目)《省略》

(累犯前科)

被告人は、(1)昭和五一年一一月一二日中野簡易裁判所で窃盗罪により懲役一年(四年間保護観察付執行猶予、昭和五三年七月一二日右猶予取消)に処せられ、昭和五五年七月二四日右刑の執行を受け終わり、(2)その後犯した窃盗罪等により昭和五六年一月二七日渋谷簡易裁判所で懲役一年八月に処せられ、昭和五七年七月二七日右刑の執行を受け終わり、(3)その後犯した常習累犯窃盗罪により昭和五八年一月二六日東京地方裁判所で懲役二年六月に処せられ、昭和六〇年七月五日右刑の執行を受け終わったものであって、右事実は検察事務官作成の前科調書及び右各(1)、(2)の調書判決謄本及び(3)の判決書謄本によってこれを認める。

(法令の適用)

一  罰条

判示第一の各所為

盗犯等の防止及び処分に関する法律三条、二条、刑法二三五条(本文の所為について、更に刑法二四三条)

判示第二の所為

軽犯罪法一条三号(拘留刑選択)

一  累犯加重(判示第一の罪について)刑法五九条、五六条一項、五七条、一四条

一  併合罪の処理 刑法四五条前段、五三条一項本文

一  未決勾留日数の算入 刑法二一条

一  没収 刑法一九条一項一号、二項本文

一  訴訟費用の処理 刑事訴訟法一八一条一項但書

なお、本件の罪数について検討するに、判示第二の軽犯罪法一条三号(侵入具携帯)は、住居侵入、窃盗等の犯罪を未然に防止するため、これに発展する危険性のある行為を独立して処罰するための規定であるところ、盗犯等の防止及び処分に関する法律三条の内容、立法理由等を勘案しても、同法が右のような行為までも一罪としてこれを処罰する趣旨のものとは解せられないから、判示第二の罪は判示第一の罪とは別罪をなすことが明らかであり、刑法五三条一項本文により、懲役と拘留を併科することとした。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 若原正樹)

〈以下省略〉

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