大判例

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東京地方裁判所 昭和62年(特わ)2232号 判決

本店所在地

東京都港区西麻布二丁目一三番一二号

来山興業株式会社

右代表者代表取締役 来山すみ子

本籍

東京都港区南麻布四丁目二八番地一九

住居

同都同区南麻布四丁目七番一二号

会社役員

来山すみ子

大正一五年一月一二日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官井上經敏、門野坂修一出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人来山興産株式会社を罰金二四〇〇万円に処する。

被告人来山すみ子を懲役一年二月に処する。

被告人来山すみ子に対し、この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人来山興産株式会社(以下、被告会社という。)は、東京都港区西麻布二丁目一三番一二号に本店を置き、不動産の売買、賃貸、仲介及び管理業務等を目的とする資本金五〇〇万円の株式会社であり、被告人来山すみ子は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人来山すみ子は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空の土地建物原価及び解約損害金を計上するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  昭和五八年二月一日から昭和五九年一月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億四五〇〇万四〇三三円、課税土地譲渡利益金額が一億〇一一九万円あった(別紙修正損益計算書1及び別紙ほ脱税額計算書1参照)のにかかわらず、昭和五九年三月二九日、東京都港区西麻布三丁目三番五号所在の所轄麻布税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三六六四万四九〇四円で、課税土地譲渡利益金額が八四二万円であり、これに対する法人税額が一三八一万八八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(昭和六二年押第一三八四号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額七七八八万四〇〇〇円と右申告税額との差額六四〇六万五二〇〇円(別紙ほ脱税額計算書1参照)を免れ、

第二  昭和五九年二月一日から昭和六〇年一月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億七五九二万〇三四一円、課税土地譲渡利益金額が一億一二九六万二〇〇〇円あった(別紙修正損益計算書2及び別紙ほ脱税額計算書2参照)のにかかわらず、昭和六〇年三月二九日前記麻布税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一億一〇八五万六五四八円で、課税土地譲渡利益金額が一億〇一六五万九〇〇〇円であり、これに対する法人税額が六四三四万九一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額九四七八万二四〇〇円と右申告税額との差額三〇四三万三三〇〇円(別紙ほ脱税額計算書2参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人来山すみ子の検察官に対する各供述調書(九通)

一  小山登(七通)、野尻兵藏(二丁裏末尾二行、四丁裏四行目から五丁表五行目まで、五丁裏末尾三行目から六丁表九行目まで、一九丁裏末尾四行目から二〇丁裏四行目までを除く。)、瀧山隆、野村香一郎及び早坂淳一の検察官に対する各供述調書

一  検察官(一通)及び検察事務官(昭和六二年九月一六日付及び同年一〇月一四日付)作成の各捜査報告書

一  収税官吏作成の各査察官報告書(二通)

一  芳賀栄寿及び佐藤康昌作成の各申述書

一  収税官吏作成の受取手数料調査書、土地建物原価調査書、水道光熱費調査書、公租公課調査書、受取利息調査書及び解約損害金調査書

判示第一の事実について

一  押収してある法人税確定申告書一袋(昭和六二年押第一三八四号の1)及び法人税修正申告書一袋(同号の3)

判示第二の事実について

一  検察事務官作成の同年一二月一七日付捜査報告書

一  押収してある法人税確定申告書一袋(同号の2)及び法人税修正申告書一袋(同号の4)

(法令の適用)

被告会社

一  判示各所為 法人税法一六四条一項、一五九条一項

一  罰金額 同法一五九条二項

一  併合罪の処理 刑法四五条前段、四八条二項

被告人来山すみ子

一  判示各所為 法人税法一五九条一項

一  刑種の選択 懲役刑を選択

一  併合罪の処理 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重)

一  執行猶予 同法二五条一項

(量刑の理由)

本件は、不動産の売買等を目的とする被告会社において、その代表取締役である被告人来山すみ子が被告会社の業務に関し、二期分で合計九四四九万円余の法人税をほ脱したという事案であるところ、そのほ脱税額は相当高額である上、ほ脱率も昭和五九年一月期においては八二パーセントを超えており、同被告人は、納税意識に乏しいものと言わざるを得ない。

同被告人は、不況に備えて簿外資金を獲得し、また、裏金を支払う方法によって同業者との競争に勝とうとしたことなどから、本件各犯行に及んだもので、動機において酌量すべき余地はなく、また、犯行の手段、態様をみても、架空の契約書、領収書等を作出して、不動産取引や立退き交渉を装うなどしたものであって、悪質な不動産業者による各種の違法行為が社会問題化している今日の情勢にも照らすと、犯情は芳しくなく、被告会社及び同被告人の刑事責任は相応に重い。

しかしながら、同被告人は、捜査、公判を通じて本件各犯行を認めて反省の情を示していること、すでに加算税を含めて関係の税金を完納していること、罰金刑に一回処せられたほか前科前歴がないこと、本件各犯行の報道によって被告会社の業務に支障が生ずるなど社会的制裁を受けていることが認められ、これらの諸事情を総合考慮し、主文のとおり量刑した次第である。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 豊田健)

別紙

修正損益計算書

No.1

自 昭和58年2月1日

至 昭和59年1月31日

〈省略〉

別紙

修正損益計算書

No.2

自 昭和59年2月1日

至 昭和60年1月31日

〈省略〉

別紙

ほ脱税額計算書 1

自 昭和58年2月1日

至 昭和59年1月31日

〈省略〉

別紙

ほ脱税額計算書 1

自 昭和59年2月1日

至 昭和60年1月31日

〈省略〉

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