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東京家庭裁判所 平成6年(家)14575号 審判

申立人 後藤理恵子

相手方 米山英夫 外5名

被相続人 米山愛子

主文

1  被相続人米山愛子の遺産を次のとおり分割する。

(1)  別紙遺産目録記載1の土地及び同目録4記載の建物は、申立人、相手方英夫、相手方園子及び相手方章子の共有取得(申立人の共有持分70分の15、相手方英夫の共有持分70分の25、相手方園子の共有持分70分の15、相手方章子の共有持分70分の15)とする。

(2)  同目録記載2の土地(共有持分10000分の587)は、申立人、相手方よし美、相手方園子、相手方章子及び相手方多美江の共有取得(持分各5分の1)とする。

(3)  同目録記載3の土地、同5及び同6の建物、同7の有価証券並びに同8の家庭用財産及び家具類一式は、相手方英夫の単独取得とする。

(4)  同目録記載9の貸金債権は、申立人、相手方よし美、相手方園子、相手方章子及び相手方多美江の共有取得(共有持分各5分の1)とする。

(5)  同目録記載10の預金債権は、これを解約したものから金117万2268円を相手方多美江が取得し、さらにその余の分につき申立人、相手方よし美、相手方園子、相手方章子及び相手方多美江が各5分の1の割合で取得する。

2  本件手続費用は各自の負担とする。

理由

一件記録による当裁判所の事実認定及び法律判断は、以下のとおりである。

1  相続の開始、相続人及び法定相続分

被相続人は、平成2年1月30日死亡し、相続が開始した。

相続人は、被相続人の子である申立人、相手方英夫、相手方よし美、相手方園子及び相手方章子の5名と亡米山直子(被相続人の二女)の子(代襲相続人)である相手方多美江及び同幸浩の7名である。

法定相続分は、申立人、相手方英夫、相手方よし美、相手方園子及び相手方章子がそれぞれ6分の1、相手方多美江及び同幸浩が12分の1である。

2  遺産の範囲

本件遺産分割の対象となる被相続人の遺産については、別紙遺産目録記載のとおりであるとすることにつき相手方幸浩を除く全当事者間で合意(申立人、相手方英夫、同園子及び同章子については本件審判期日における合意がある。これに対し、相手方幸浩は隔地者間の調停成立についてこれを受諾するか否かの意思を表明しないし、審判手続への呼び出しにも応じない。相方よし美及び同多美江については、隔地者間の調停成立についての受諾書面での合意がある。相手方幸浩を除く全当事者間での合意という場合には上記の意味での合意をさす。以下同じ。)があり、この合意と本件記録及び本件に現れた一切の事情を併せて考慮すると遺産の範囲については別紙遺産目録のとおりと認める。

3  分割の前提となる遺言の解釈と申立人、相手方園子及び同章子の遺留分減殺請求

本件記録によれば、被相続人については、別紙のとおりの遺言(以下「本件遺言」という。)が存し、既にその有効であることが判決をもって相続人間で確定されていること、本件遺言によれば相続人である相手方幸浩については具体的に取得すべき遺産は存しないこと、申立人、相手方園子及び同章子は、相手方英夫が本件遺言に基づき遺産を取得することによってその遺留分を侵害されたとして遺留分減殺の請求をしていること、相手方よし美、同幸浩及び同多美江については現在に至るまで相手方英夫に対して遺留分減殺の請求はしていないことが認められる。また本件遺産分割の前提となる本件遺言の解釈としては、下記のとおりとすることにつき、同遺言で取得すべき遺産はないとされた相手方幸浩を除くその余の全当事者間で合意が存し、本件記録及び本件に現れた一切の事情を斟酌すると、この解釈は合理的であると認められる。

(1)  別紙遺産目録記載1及び3の土地、4ないし6の建物並びに7の有価証券は相手方英夫に取得させる。

(2)  同目録記載2の土地、8の家庭用財産及び家具類一式、9の貸金債権及び10の預金債権の総額から117万2268円を差し引いた残額は、申立人、相手方よし美、同園子、同章子及び同多美江が各5分の1の割合で取得する。

4  具体的な遺産分割方法

本件遺産分割については、前記認定の本件遺言の趣旨を踏まえ主文のとおり分割することにつき相手方幸浩を除く全当事者間で合意があり、相手方幸浩については、前記認定のとおり本件遺言により具体的な取得分がないことが明らかであるので、この合意をもって相続人全員の合意と同視できるところ、本件記録及び本件に現れた一切の事情を斟酌するとこの合意自体には合理性が認められるのでこれに沿って主文のとおり分割するのが相当である。

なお、本件においては前記のとおり被相続人の別紙遺言が存するところ、同遺言中には既に具体的遺産を特定の相続人に取得させる旨の文言も存するが、同遺言で遺産に関し具体的な取得分はないとされた相手方幸浩を除くその余の当事者全員が遺言の解釈につき合意したうえ、別紙遺産目録記載の遺産全部をその解釈に基づいて本件遺産分割手続中で分割することに合意しているので、既に遺言中で取得者が定められている物件についても本件遺産分割手続中で分割の対象とすることができると解する。

また、別紙遺産目録記載10の預金のうち金117万2268円については、本件遺産分割手続の中で処理しこれを相手方多美江に取得させることについて、特に異議は述べられていないので、これも遺産分割の対象にする。

また、前記認定のとおり、申立人、相手方園子及び同章子は、相手方英夫に対し遺留分減殺の意思表示をしていることが認められるが、相手方幸浩を除く当事者全員は、その結果も踏まえ遺留分減殺によって取り戻される遺産も含めて主文のとおり分割することに合意しているものであり、この合意にそって審判することが許されると解する。

よって主文のとおり審判する。

(家事審判官 西岡清一郎)

別紙 遺産目録及び別紙遺言書〈省略〉

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