大判例

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東京高等裁判所 平成4年(ネ)1693号 判決

東京都千代田区紀尾井町四丁目一番

ホテルニューオータニ 本館二階

控訴人(第一審被告)

ザ リッツ ショップこと

能城律子

右訴訟代理人弁護士

荒木秀一

右輔佐人弁理士

鈴江武彦

小出俊實

白根俊郎

英国

ロンドン ウォータールー プレイス 一七

被控訴人(第一審原告)

ザ リッツ ホテル リミテッド

右代表者

フランク ジェイ クレイン

右訴訟代理人弁護士

松尾和子

折田忠仁

窪田英一郎

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一  当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。

2  被控訴人の請求を棄却する。

3  訴訟費用は第一、第二審を通じ被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文と同旨

第二  当事者の主張

次のとおり訂正付加するほかは原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。

一  原判決事実摘示中、「本件標章」とあるのをいずれも「被控訴人表示」と、「被告標章」とあるのをいずれも「控訴人表示」と各改める。

二  当審における新たな主張

1  控訴人

控訴人は、営業活動の誤認混同を生じさせないための措置として、控訴人店舗において、メインケースの上の見やすい位置に、顧客宛に、「当店は、開店このかた、THE RITZ HOTEL Ltd.その他のグループとは関係がございません。」とその英訳文をも添えて表示しているから、顧客において、控訴人の営業を被控訴人のそれと誤認混同するおそれはない。

2  被控訴人

右主張は争う。

第三  証拠

原審及び当審記録中の書証目録及び証人等目録の記載を引用する。

第四  当裁判所の判断

一  当裁判所も、原審の認容した限度において、被控訴人の請求は理由があるものと判断する。

その理由は、以下のとおり、訂正付加するほか、原判決理由記載のとおりであるから、これを引用する。

二1  原判決一八丁裏六行目の「ホテル関係者」を「ホテルに関係のある業者やこれを利用する一般消費者」と、同二五丁表二行目の「故意又は」を「後記注意義務に反し、少なくとも」と、同丁裏一行目から二行目の「右陳述書の記載部分は必ずしも採用することができないが、」とあるのを「控訴人表示の選択の経緯が」と各改める。

2  同二六丁表一一行目冒頭から同二七丁表三行目末尾までを以下のとおりに改める。

「右認定した事実によれば、控訴人が別紙目録記載の各表示をその営業活動に使用することにより、控訴人店舗の立地条件からして、控訴人の営業が被控訴人の営業活動の一端であるかのような誤認を生じさせ、品質とサービスにおいて世界でも一流であるとの被控訴人の名声や信用が損なわれたものと認められるところ、その損害は、名声、信用等を毀損されたことによる無形の損害であって、これを回復するには、被控訴人表示の有する周知性と社会的評価、被控訴人の営業内容、事業規模、同表示の使用期間、宣伝広告等並びに控訴人の使用する各表示との類似性の程度、控訴人表示の使用状況と使用期間等諸般の事情を考慮すると、金一〇〇万円をもって相当と認める。

また、被控訴人が被控訴人訴訟代理人に本件訴訟の提起、追行を委任したことは、本件記録上明らかであり、いずれも成立につき争いのない甲第六三、第六四号証の各一ないし三、第六五号証の一ないし四、第六六、第六七号証の各一・二及び第六八、第六九号証並びに弁論の全趣旨によれば、被控訴人は、本件訴訟の提起、追行に関し、弁護士報酬、証拠収集費、各種書面提出費用、出廷費用、翻訳費等合計金六三六万四七六〇円の支払いを余儀なくされ、そのうちの大半を被控訴人代理人に支払い済みであることが認められる。

右支出を余儀なくされた金額と、本件訴訟の提起、追行における各種費用の必要性の程度によれば、前記無形損害の認定額との均衡を考慮しても、弁護士費用等の必要経費として、被控訴人が請求する金二〇〇万円は、その全額が本件と相当因果関係にある損害と認められる。

3  同二七丁表九行目末尾に続き、「また、控訴人は、被控訴人表示との誤認、混同を生じさせないために、必要な措置を講じている旨主張し、成立に争いのない乙第三三号証の一ないし三によれば、控訴人は、当審係属後の平成四年八月以降、店舗内のショーケースの上に、「お客様へ 当店は、開店このかた、THE RITZ HOTE」 Ltd.その他のグループとは関係ございません。」との記載を英訳文とともに掲げていることが認められる。しかしながら、前示認定のとおり、被控訴人表示と控訴人が使用する各表示とは、その要部を同一とするから、かかる記載を掲載したからといって、被控訴人表示と要部を同一とする各表示の使用という客観的事実は何ら左右されるものではないから、控訴人の同主張は、それ自体理由がない。」を付加する。

三  以上のとおりであるから、右と結論を同じくする原判決は相当として是認することができ、本件控訴は理由がない。

よって、本件控訴を棄却することとし、控訴費用の負担につき、民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 牧野利秋 裁判官 山下和明 裁判官 三代川俊一郎)

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