大判例

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東京高等裁判所 平成4年(ネ)2567号 判決

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

一  当事者の求めた判決

1  控訴人

原判決を取り消す。

被控訴人の請求を棄却する。

訴訟費用は第一、二審を通じて被控訴人の負担とする。

2  被控訴人

主文同旨

二  本件事案の概要は原判決「第二事案の概要」記載のとおりであり、証拠の関係は原審及び当審の証拠関係目録記載のとおりであるから、いずれもこれを引用する。

三  当裁判所も被控訴人の本訴請求は理由があるものと判断する。その理由は、原判決二九頁六行目冒頭から七行目までを「右事実に照らせば、この点に関する控訴人の主張事実を考慮に入れても、いまだ、」と改め、三〇頁五行目末尾に続き、行を改めて次のとおり加えるほか、原判決「第三 争点についての判断」のとおりであるから、これを引用する。

「けだし、不正競争防止法一条一項二号によって保護されるべきいわゆる周知の営業表示とは、「本法施行ノ地域内ニ於テ広ク認識セラルル」営業表示を意味するところ、このように「広ク認識セラルル」状態は、その状態の形成が不法不当な手段で行われた場合を除き、もっぱら客観的に観察されるべき事柄であるから、営業主体が特定の営業表示を周知にするよう特段の努力をした結果、その営業表示が広く認識されるに至った場合のみならず、ある表示が自然発生的に特定の営業主体の営業を示す表示として広く認識されるに至った場合を当然含むものと解するのが相当であるからである。

これを本件についてみると、前示一1(一)に認定の事実と弁論の全趣旨によれば、控訴人が控訴人表示及び控訴人商号の使用を開始する前である昭和五四年末までには、被控訴人の商号の一部であるアメリカン・エキスプレスの名称は、被控訴人もその一員であるところの旅行関連サービスを含む総合的金融サービス事業を世界的に展開するアメリカン・エキスプレス企業グループの営業を示す表示として、わが国においても周知であったことが推認され、この事実と、前示三2に認定の事実から明らかなように、「アメックス」の語が、被控訴人名の英語表記に由来する略称であることに照らせば、被控訴人が自社を指す名称として被控訴人表示を使用して広告をするようになった以前の昭和五四年当時、既に、「アメックス」の語は、自然発生的に被控訴人の営業を示す表示として、わが国において広く認識されていたと認められ、それだからこそ、前示三1に認定した各記事において、特段の説明を加えることなく、「アメックス」の名称が被控訴人を指す名称として使用されたものと認められる。

以上のとおり、控訴人が控訴人表示及び控訴人商号の使用を開始した昭和五五年一月九日当時、既に、被控訴人表示は、被控訴人の営業表示として、わが国において周知であったのであるから、控訴人主張の抗弁は、控訴人表示及び控訴人商号を採用した理由について立証させるまでもなく、失当である。」

四  よって、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

東京高等裁判所第一三民事部

(裁判長裁判官 牧野利秋 裁判官 山下和明 裁判官 木本洋子

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