大判例

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東京高等裁判所 平成5年(ネ)3742号 判決

主文

1  本件控訴をいずれも棄却する。

2  控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実及び理由

第一  当事者の求めた裁判

一  控訴人ら

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人田中トキは控訴人らに対し、それぞれ、原判決別紙物件目録一及び二記載の各土地につき、第一次的には昭和三〇年一〇月三日の交換を、第二次的には同日の時効取得を、第三次的には昭和四二年四月末日の時効取得を原因とする二〇万分の五万二二一七の持分移転登記の手続をせよ。

3  被控訴人田中忠男は控訴人らに対し、それぞれ、原判決別紙物件目録一及び二記載の各土地につき、第一次的には昭和三〇年一〇月三日の交換を、第二次的には同日の時効取得を、第三次的には昭和四二年四月末日の時効取得を原因とする二〇万分の四万七七八三の持分移転登記の手続をせよ。

4  訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人らの負担とする。

二  被控訴人ら

主文と同旨

第二  当事者双方の主張は、原判決の事実摘示(「第二 事案の概要」)に記載のとおりであるから、これを引用する。

第三  当裁判所の判断は、次のとおり付加訂正するほかは、原判決の「第三 争点に対する判断」に記載のとおりであるから、これを引用する。当審における証拠調べの結果によってもこれを動かすに足りない。

一  交換契約の成立について

原判決九丁裏五行目から同一〇行裏四行目までを次のとおり改める。

「3 右2イの五八九番の土地を含む五筆の土地の売買の事実が認められるとすれば、五八九番の土地と本件土地との交換契約の成立を主張する控訴人らの立論は根拠を失うことになるけれども、右売買には、移転登記手続が登記済証でなく保証書によってなされていること、右不動産売渡証書は亀吉の代理人である司法書士が作成したもので亀吉が自ら作成した契約書がないこと、右売買代金が極めて低額であること等の疑問点があり、亀吉が謹一との間で五八九番の土地を含む五筆の土地の売買をしたと認めることに疑いを差し挟む余地がないわけではない。

しかしながら、他方、前掲関係証拠によれば、当時困窮していた亀吉が本家の謹一に対して低額な金銭と引換えに土地を手放すことも考えられること、謹一がいわばその代償として本件土地を亀吉一家の居住のために無償で貸与したこともありうること、更に、亀吉はこの使用貸借上の地位をもって五八九番の土地との交換と理解していた可能性もあること等の事情が認められ、右事情を考慮すると、右五筆の土地の売買契約に対する前記の疑問点は説明が可能で、右売買契約を認めることに特段の不合理な点はないということができる。

そして、控訴人らの交換契約の成立の主張は、これに沿う契約書、登記簿の記載等の外形的、客観的証拠を欠くのみならず、登記簿の記載との不一致の理由を説明する証拠をも欠くものである。」

二  取得時効について

控訴人らは、亀吉及び控訴人らに「所有の意思」があり自主占有が認められると主張するけれども、亀吉の占有の開始が本件交換契約により所有権を取得したと認識した上のものであるとは認めるに足りず、また、控訴人らの占有の開始が贈与契約により所有権を取得したと認識した上のものであると認めるに足りないことは、原判決の認定するとおりであるし、亀吉ないし控訴人らは、本件土地の上の建物の建築、移築、増築の際に本件土地の所有名義が亀吉に移転していないことを知りながら、その移転登記を求めることなく長期間放置していたこと、本件土地の固定資産税は謹一側で負担し亀吉ないし控訴人らは全く負担していないこと等の亀吉ないし控訴人らが所有者として取るべき当然の措置を取っていない事実を総合して考慮にすれば、亀吉ないし控訴人らには「所有の意思」がないと認めるのが相当である。

三  結論

よって、控訴人らの本件請求はいずれも理由がなく棄却すべきであるから、これと同旨の原判決は相当であり、本件控訴はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき民訴法九五条、八九条、九三条を適用して、主文のとおり判決する。

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