大判例

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東京高等裁判所 平成5年(ラ)325号 決定

主文

本件抗告を棄却する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

一  抗告の趣旨及び理由

抗告の趣旨は、「原決定中抗告人に関する部分を取り消す、相手方の抗告人に対する本件売却のための保全処分の申立てを却下する。」というのであり、その理由は、「抗告人は、東京都世田谷区奥沢<番地略>宅地一三〇六・〇一平方メートルの土地(以下「本件土地」という。)について、相手方に対抗することができる賃借権を有するから、原決定は違法である。」というのである。

二  当裁判所の判断

1  一件記録によれば、原決定が認定した事実(理由2掲記の事実)のほか、抗告人は、暴力団甲田組の資金源といわれており、いわゆる債務整理事件に介入する事件屋であること、抗告人の代表者には、不動産がらみの逮捕歴があることが認められる。

2  右事実によれば、抗告人が仮にその主張のような賃借権を有していたとしても、右賃借権は、執行妨害を目的とした濫用的なそれと推認され、執行手続においてその効力を認めるに由ないものというべきである。そうだとすると、抗告人はいわゆる占有侵奪者と同視することができるから、抗告人に対して民事執行法五五条二項に基づき本件保全処分を命じた原決定に違法はない。

3  よつて、本件抗告は理由がないから棄却し、抗告費用の負担について、民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 並木 茂 裁判官 高柳輝雄 裁判官 中村直文)

《当事者》

抗告人 甲山株式会社

右代表者代表取締役 乙川太郎

相手方 丙本株式会社

右代表者代表取締役 丁野春夫

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