大判例

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東京高等裁判所 昭和31年(ネ)1413号 判決

駿河銀行

事実

被控訴人株式会社駿河銀行は、昭和二十七年十二月十二日、訴外株式会社山清商店代表取締役山田源策連帯保証のもとに、右訴外会社と元本極度額を壱千万円とし、手形金の債務遅滞したときは元金百円につき一日金四銭の割合を以て損害金を支払うことを定めた手形取引契約を締結し、右契約に基き被控訴人は昭和二十八年八月二十日訴外会社山清商店より同会社の裏書並に支払拒絶証書作成義務免除を受けた控訴人柴山秀雄振出、山清商店宛額面十七万六千四百円の約束手形三通を取得し、現に右手形の所持人であるが、右手形を期日に支払場所に呈示して支払を得られなかつたので、控訴人に対し右手形金並に完済まで年六分の割合による金員の支払を求めると述べた。

控訴人柴山秀雄は、被控訴人主張の約束手形の振出は認めるが、右各手形は控訴人が訴外株式会社山清商店の店員等から、同商店の信用の裏付の見せ手形として貸して貰いたい旨の懇請を受け、何らの対価関係もなく支払義務なき手形として右山清商店に振出交付したものであり、被控訴人は右事情を知悉して右手形を取得したものであるから、控訴人は本件手形金支払の義務はないと述べた。

理由

控訴人柴山秀雄が昭和二十八年八月五日、訴外株式会社山清商店に宛て、金額十七万六千四百円の約束手形三通を振り出したことは当事者間に争がなく、証拠を綜合すれば、昭和二十八年八月二十日被控訴人株式会社駿河銀行が受取人である訴外株式会社山清商店から右三通の手形の各裏書譲渡を受けてその所持人となつたこと、そして右手形を満期日に支払場所に呈示して支払を拒絶された事実を認めることができる。

そこで控訴人の抗弁について審按するに、証拠によれば、控訴人は訴外山清商店とは別に商取引はなかつたのであるが、前に同会社に勤務していたことがあつてその幹部と知合であつた関係上、右訴外会社から他の債権者に対する信用裏付のため控訴人振出の手形を貸与して貰いたい旨懇請されて、本件各約束手形を振り出すに至つたものであつて、控訴人としては何等の対価を得ることなく、また右各手形については訴外会社山清商店において責任を以て決済すべく、控訴人には決して迷惑を及ぼさぬという約束であつたことを認めることができるけれども、右は控訴人と受取人たる前示訴外社社との間の約束に過ぎず、被控訴銀行が当該手形の債務者を害することを知つて右各手形を取得したという事実については、これを認めるに足る証拠はなく、却つて右訴外会社が本件各手形を被控訴銀行に裏書譲渡するに際しては、前示事情を告知した事跡のないことが窺われるから、控訴人の右抗弁は採用することはできない。この被控訴人の請求を認容した原判決は相当であるとして、本件控訴はこれを棄却した。

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