大判例

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東京高等裁判所 昭和33年(ラ)788号 決定

抗告人 鈴木鉄夫

相手方 鈴木一枝

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告の趣旨及び理由は別紙の通りであり、これに対する当裁判所の判断は、次の通りである。

一、抗告人は、「原審判の表示には、抗告人は相手方に対し、昭和三三年九月から一ヶ月二千円、外に毎年二万四千円也を支払つて行かねばならぬことを定めている。然し、これには期間の定めがなく抗告人としては支払が不可能である。」と主張する。そして、その抗告状にいう「支払の期間」とは「支払期日」の意と解される。そこで検討するに、原審判は、主文第二項において、抗告人は相手方に対し、「扶養料として、昭和三三年九月一日から一ヶ月二、〇〇〇円の割合の金員を次項に定める方法で給付すべきものと定める。」とし、その第三項においては、抗告人は相手方に対し「昭和三三年一二月一五日かぎり(ただし、この審判が同日後に確定した場合は、その確定の日かぎりとする。以下これに同じ。)金八、〇〇〇円。その後毎年八月一五日かぎり金一〇、〇〇〇円、九月一五日かぎり金四、〇〇〇円、一一月一五日かぎり金八、〇〇〇円、一二月二七日かぎり金二、〇〇〇円を新潟家庭裁判所(本庁)に寄託して支払をせよ。」と判示している。ところで、右原審判主文の表示は、やや明快を欠くが、その趣旨とするところは、要するに、第一には、本件扶養の始期はこれを昭和三三年九月一日とし、その扶養料の額は一か月二、〇〇〇円の割合とすることを定め、第二には、右の扶養料のうち、昭和三三年中の分(四か月分八、〇〇〇円)は、同年一二月一五日限り支払うこと、昭和三四年以降の分は、毎年八月一五日限り一〇、〇〇〇円(五か月分)、九月一五日限り四、〇〇〇円(二か月分)、一一月一五日限り八、〇〇〇円(四か月分)、一二月二七日限り二、〇〇〇円(一か月分)を、それぞれ支払うことを定め、第三に、原審判が、告知の遅延、抗告の申立などの事情で、右第二に定めた各支払期日までに確定しなかつたならば、右第二によれば既に支払期日の到来している分も、審判確定の日まで、支払が延期されるということ(従つて、例えば、審判が昭和三四年一二月末日に確定するとすれば、右第二によると、既に支払期日の到来している昭和三三年度の四か月分と昭和三四年度の一二か月分は、全部その支払期日は昭和三四年一二月末日となる。)を定めたものと解するに足るから、原審判には所論のように、扶養料支払期日を定めなかつたという瑕疵はない。

二、次に抗告人は、(一)相手方の親権者母渡辺ミイは、昭和三二年一月斎藤正夫と内縁の夫婦になり、相手方は右両名に養育されて不自由なく暮している旨及び(二)抗告人方では、昭和三三年度には、水害のため田約六反歩を流され、その余の耕地も多大の損害をこうむり、負債に悩んでいる旨主張するが、これらの事実はいずれも認めるべき資料がなく、右(一)の事実の如きは、却てそういうことのないことが原審調査の結果によつて認められる。また、抗告人は相手方を引取つて扶養することを希望し、現在その準備中である旨主張するが、原審記録による調査の結果に徴すれば、双方の家庭の事情及び従来の経緯に鑑みても、引取扶養は、相手方の幸福の点から適当でないと認められるので、この主張も採用し難い。

三、以上の次第で、抗告理由はすべて採用することを得ず、その他記録を精査しても、原審判を取消すべき理由を発見し得ない。

よつて、本件抗告は之を棄却すべく、主文の通り決定する。

(裁判長裁判官 内田護文 裁判官 鈴木禎次郎 裁判官 入山実)

(別紙) 抗告の理由

一、抗告人は新潟家庭裁判所昭和三一年(家)第一九六三号の審判を昭和三十三年十一月十八日送達を受けた。

二、原審判の表示には抗告人は相手方に対し昭和三十三年九月から一か月金二千円、外に毎年二万四千円也を支払つていかねばならぬことに定められている。

三、然しこれには期間の定めがなく抗告人としては支払が不可能である。

抗告人が調査するところ

相手方親権者母ミイは

本籍新潟県西蒲原郡赤塚村大字赤塚四、三五四番地

大工業斉藤正夫

を昭和三十二年一月婿に貰つて婚姻生活を為し未だ入籍手続をとつていないだけであり相手方はその膝下に同居しているものである。

四、抗告人としては相手方母渡辺ミイには離婚後二十一万四千八十七円也を忠実に支払履行したが負債を生じた上に昭和三十三年度は耕地の水害に遇い約六反歩を流され残耕地にも多大の被害を受けたので負債の整理に悩んでいるものである。

五、抗告人は相手方未成年者一枝を引取りこれを養育したいと考えており目下手続の準備中である。

仍て右事由により申立趣旨記載のとおり御裁判を求めたく申立に及びし次第であります。

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