大判例

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東京高等裁判所 昭和34年(く)4号 決定

少年 G(生年月日不明)

主文

本件各抗告を棄却する。

理由

保護者Hの抗告の要旨は少年は、昭和三十三年十月十三日夜同村の滝沢光雄及び宮崎義雄らと共にI子を強姦しようとした(少年本人は未遂)事件により、長野家庭裁判所において中等少年院送致決定を受けたのであるが、右滝沢宮崎の両名は成年者なので、長野地方裁判所で審理を受け、昭和三十四年一月七日滝沢に対しては懲役三年、執行猶予五年、宮崎に対しては懲役二年、執行猶予三年の判決言渡があつた、保護者は昭和三十三年十一月二十七日被害者宅を訪問して謝罪し、被害者との間に示談が成立しているのであるが、今後少年の身柄は保護者が引き受け、本人の実母や、兄姉と共に協力して本人の改善に努力し、中学校時代の教師K氏の援助も得て本人本来の志望である海員学校に入学できるよう勉強させ、本人の更生に全力を尽したいと考えているから、少年を中等少年院に送致する原決定を取り消し、保護観察所の観察に付する旨の決定を受けたく抗告の申立をしたというのであつて、少年本人の抗告については、その理由の申述がないが、右保護者の申立理由と同趣旨によるものと認める。

そこで関係記録を調査するに、少年は申立人のいう強姦事件だけでなく他に傷害事件もあつて、それらを併せて原決定の保護処分を受けたのであるが、なおその他にも幾多の非行歴があり、この事実と鑑別の結果明らかな少年の知能、性格、家庭における生活態度、保護者らの監護の実状等を総合して考えると、少年の健全な育成、改善のためには、家庭に復帰させて両親、兄姉の監護に委ねてもその効果は殆んど期待し難いから、むしろこの際、適当な保護施設に収容して積極的に矯正教育を施すのが最良の方法と思料される。従つて原決定の保護処分は至当であつて、本件抗告は理由ないものである。

よつて少年法第三十三条第一項により主文のとおり決定する。

(裁判長判事 滝沢太助 判事 久永正勝 同 八田卯一郎)

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