大判例

20世紀の現憲法下の判例を掲載しています

東京高等裁判所 昭和42年(ラ)870号 決定

抗告人 株式会社三恵殖産 外二名

主文

本件抗告はいずれもこれを棄却する。

理由

抗告人らは「原決定を取消す、本件競落を許可する」との裁判を求め、その理由は追って書面で提出するとしながら今日まで理由書の提出がないので詳細は知り得ないが本件記録によると、債権者から債務者稲垣葉子所有に係る土地二筆とその地上に所在する建物一棟について競売の申立があり、原裁判所は右物件について競売開始決定をし、所属執行吏宮本虎三郎に右各物件の評価を命じたところ、同鑑定人は各物件毎に価額を評価したがその評価額は右各物件が個別競売に付された場合に建物に法定地上権が発生することを考慮していないものであること、原裁判所は右鑑定人の評価に基づいて各物件の最低競売価額を定め、これを一括競売に付することなく公告したところ、抗告人らが建物のみを競落したこと、および右各物件が個別競売で建物のみ、又は土地のみが競落された場合には建物には法定地上権が発生する事案であつて、個別競売に付すると建物に法定地上権を伴う場合とそうでない場合とでは建物および土地の各物件についてそれぞれ相当大幅な価額の相異が生ずるであろうことは充分予測し得ることが認められる。そうすると本件各物件の評価は個別競売により建物に法定地上権が発生する場合の評価としては正当なものとは言い得ず、個別競売の公告に当つて右の評価額を最低競売価額と定めて公告したことは、正当な最低競売価額の公告をしなかつたものというべきである。従つて、抗告人らの競落は競売法第三二条第二九条、民事訴訟法第六七四条第六七二条第四号により許されないものであり、これと同一の理由で本件競落を許さないとした原決定は正当である。

よつて抗告人らの本件抗告は理由がないので棄却することとし、主文のとおり決定する。

(裁判官 福島逸雄 武藤英一 岡田潤)

「大判例」は20世紀で日本国憲法下の裁判例のうち,公刊物に掲載されたものをまとめたインターネット判例集です。原則として公刊されたものをそのまま載せています。

憲法により判決は公開とされており,法曹および法律研究者に利用されているものです。その公共性と平等主義の観点から,送信防止措置または改変には一切応じませんのでご了承ください。

©daihanrei.com