大判例

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東京高等裁判所 昭和49年(ラ)461号 決定

抗告人 学校法人 愛国学園

右代表者理事 織田淑子

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告の趣旨及び理由は別紙のとおりである。

所論は要するに、抗告人が違反したという本件緊急命令は、抗告人学園の教員であった深谷静雄、洞井浩、遠藤明、平瀬誠一を原職に復帰させるべき旨命令しているが、教育の本質からみて右の「原職復帰」が授業を担任させることまでも含んでいるとは到底考えられないから、抗告人がそれらの者に授業を担任させないとしても、右緊急命令に違反するところはなく、本件過料決定は不当であるから取消を求めるというのである。

しかし、右のいわゆる緊急命令(労働組合法二七条八項)の対象である労働委員会の救済命令(同条四項、六項)は、労働者が使用者の不当労働行為によって蒙っている不利益な事実状態を回復、是正させるための事実上の措置であって、「原職復帰」の命令もその一つに外ならない。そして、その原職復帰は当該労働者が解雇、出勤停止等の不利益処遇によって排斥された元の職場において従前と同一の職務に就かせることを意味し、職場の立入りのみを認めて職務に就かせない原職復帰は考えられない。(もっとも、その職務は、救済命令が発せられるまでの時間的経過によって職場環境、人的構成、配置に変動がある場合は、その変動をも勘案して社会通念上同視しうるものであれば足りると解される。)

前記深谷ら四名はいずれも教員であるから、その主なる職務である授業を担任させないで原職復帰の命令が履行されたということはできず、所論のように教育にたずさわる教職員であるが故にその点を他の労働者の場合と異別に解すべき理由は全くない。

従って、本件過料の決定に何らの違法はなく、本件抗告は理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 浅賀栄 裁判官 小木曽競 深田源次)

〈以下省略〉

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