大判例

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東京高等裁判所 昭和61年(ラ)489号 決定

抗告人(債権者)

東信建材株式会社

右代表者代表取締役

今井功

右訴訟代理人弁護士

斉藤勘造

相手方(債務者)

静和産業株式会社

右代表者代表取締役

水口一夫

第三債務者

株式会社日創

右代表者代表取締役

栂野隆

主文

原決定を取り消す。

抗告人の申立てにより、別紙担保権、被担保債権、請求債権目録記載の請求債権の弁済に充てるため、同目録記載の先取特権(物上代位)に基づき、相手方が第三債務者に対して有する別紙差押債権目録記載の債権を差し押さえる。

相手方は、前項により差し押さえられた債権について、取立てその他の処分をしてはならない。第三債務者は、第二項により差し押さえられた債権について相手方に対し弁済をしてはならない。

抗告人の申立てにより、支払にかえて券面額で第二項により差し押さえられた債権を抗告人に転付する。

理由

一本件抗告の趣旨及び理由は別紙記載のとおりである。

二抗告人提出にかかる各文書、特に抗告人と相手方間の東京地方裁判所昭和六一年(ワ)第二三六号売買代金請求事件につき同年四月四日に言い渡された判決正本、右確定証明書、抗告人及び相手方の作成にかかる各請求書、第三債務者作成の証明書によると、抗告人は相手方に対し別紙担保権、被担保債権、請求債権目録記載のとおり各種生コンクリートを売り渡し、相手方は、右コンクリートを即日第三債務者に転売したこと、右コンクリートは、日立コンクリート株式会社が埼玉中央生コンクリート協同組合に売り渡し、これを抗告人が買い受けたものであり、一方、第三債務者はハザマ興業株式会社に、同社は株式会社間組に転売したため、右関係会社の合意に基づき、日立コンクリト株式会社から株式会社間組の工事現場へ直接引き渡されたこと、右コンクリートはいわゆる生コンクリートであるが、この間これにつき相手方において他のコンクリートと混入混和させたことを認むべき資料もないこと(むしろ、本件資料、とくに運転日報、レデーミクストコンクリート受領書、日立コンクリート株式会社の請求書中の請求明細書等によると、日立コンクリート株式会社から株式会社間組に運送された個々の生コンクリートにつき運送車一台ずつの生コンクリートが運送車ごとに特定され、この特定されたコンクリートの品質及び数量に基づき個別に代金額が算出されているもので、抗告人と相手方間の売買及び相手方と第三債務者間の売買(転売買)の対象物が他のものと識別され、かつ同一であることが認められるので、動産売買の先取特権の物上代位権の行使に必要な特定動産というに妨げない。)、したがつて、右コンクリートは抗告人から相手方に、相手方から第三債務者に売買されるにあたり他の物件と判然と識別できる程度に特定されていること、右により前掲各文書によつて本件申立ての基礎となるべき先取特権が存在していることを証するものということができること、その結果、抗告人は、相手方に対し別紙担保権、被担保債権、請求債権目録記載のとおりの先取特権及び売買代金債権を取得し、かつ、別紙差押債権目録記載の相手方の第三債務者に対する売買代金債権につき物上代位により右先取特権を行使しうる地位にあることが認められる。

三以上の次第で、本件申立ては正当として認容すべきであるから、これを却下した原決定を取り消したうえ右申立てを認容することとし、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官舘 忠彦 裁判官牧山市治 裁判官赤塚信雄)

別紙担保権、被担保債権、請求債権目録

一、担保権

下記二記載の売買契約に基づく動産売買の先取特権(物上代位)。

二、被担保債権及び請求債権

金一三九九万一四七五円

昭和六〇年九月一二日から同年一〇月二九日迄の間に、抗告人が相手方に対して売渡した別紙目録

(1)ないし(3)記載の各種生コンクリートの売買代金債権。

売買商品目録(1)

売買月日 品  名 数量

九月

一二日 Cコンセメント量二一〇キロ 2m3

一四日 Aコンセメント量三一〇キロ 5m3

トクBコン 5m3

一九日 トクBコンスランプ一五 3.5m3

二四日 Aコンスランプ一五 5m3

セメント三〇〇キロ

トクBコンスランプ一五 4m3

二六日 Aコンスランプ一五 9.5m3

二七日 Cコンスランプ一五 92.5m3

一対三モルタル 1m3

二八日 トクBコンスランプ一五 6.5m3

一〇月

二日 トクBコン 1.5m3

三日 一対三モルタル 1m3

Cコンスランプ一五 84m3

Aコン 2.5m3

四日 トクBコンスランプ一五 2.5m3

合 計 225.5m3

売買商品目録(2)

売買月日 品  名 数量

一〇月

九日 Cコンスランプ一二 3m3

一一日 Aコンスランプ一五 4.5m3

Cコンスランプ一五 8m3

一六日 Aコンスランプ一五 754m3

一対三モルタル 1m3

二四日 一対三モルタル 1m3

Aコンスランプ一五 412.5m3

二五日 Aコン 86.5m3

二六日 Aコン 7m3

二八日 Aコン 5.5m3

二九日 Aコン 22.5m3

合 計 1、305.5m3

売買商品目録(3)

売買月日 品  名 数量

一〇月

二一日 強度一〇〇キロ

スランプ一八

人工骨材一五ミリ

比重一・八五のもの 35m3

差押債権目録

金一三九九万一四七五円

ただし、昭和六〇年九月一二日から同年一〇月二九日迄の間に、相手方が第三債務者に売渡した別紙目録(1)ないし(3)記載の各種生コンクリートの売買代金一四、二二六、三七五円から相手方が得る中間利潤金二三四、九〇〇円を控除した金員。

売買商品目録(1)〈省略〉

売買商品目録(2)〈省略〉

売買商品目録(3)〈省略〉

抗告の趣旨

原決定を取り消す。

抗告人(債権者)は債務者に対し、別紙請求債権目録記載の債権を有するが、債務者がその支払いをしないので、別紙担保権目録記載の動産売買の先取特権(物上代位権)に基づき、債務者が第三債務者に対して有する別紙差押債権目録記載の債権の差押命令及び請求債権の支払いに代えて券面額で債権者に転付する旨の命令を求める。

抗告の理由

一、最高裁昭五九・二・二判決は先取特権者につき債務者が破産宣告をうけた場合でも、物上代位権による債権差押えを認めた。従来一般的に否定的に解されていた問題を最高裁が肯定したのは、手続法の規定によって、実体法上の権利が封殺されてはならず、実体法が先取特権を認めている以上は売主にその先取特権の実行による優先弁済の途が確保されていなければならないからである。

二、東京地裁昭六〇・四・一六判決(判時一一七七−六七)は動産売買先取特権についての民執法一九三条一項の担保権の存在を証する文書となる判決を得るために、破産管財人に対し売買代金債権の存在確認を求めた訴えにつき訴の利益をみとめた。

判例時報の同判例コメントによると、同文書についてはかなり厳格な証明を要求されるのが執行裁判所や裁判例の一般的傾向である。そこで、動産売買先取特権の最も確実な証明文書として、債務者との間で動産売買代金債権についての給付または確認判決を得て、その正本を提出することが考えられるとする。

三、本件物件は生コンクリートであり、全て使用され建造物を構成する一部に転化しており、債務者倒産に際し、債権者は債務者と交渉して本件物件を取戻しをすることも、また、本件物件自体に先取特権を行使することも不可能であり、物上代位権を行使する以外に先取特権の実行による優先弁済確保の方法がない。

そこで債権者は最も確実な証明文書を得るために債務者に対し、売買代金請求の訴を提起し、その訴状は通常の方法により債務者に送達され(甲七)、判決正本を取得し(甲八)これは確定した(甲九)。

東京高裁昭六〇・二・五決定(判夕五五六―一四二)はコンクリート混和剤の売買代金債権の差押命令申立却下決定に対する執行抗告事件について、原決定取消・申立認容をしている。中野教授は同判例を評し、債権者が抗告審で提出した債務者との間に成立した和解調書が決め手となっているとする(判夕五八五―一一)。

確定判決は和解調書とその重みにおいて差異はあるまい。

原決定は、物件の特定性を欠くという。果たしてそうであろうか。

四、(1) 大阪高裁昭六〇・八・一二決定(判時一一六九―五六)は、民執法一九三条一項の担保権の存在を証する文書とは、必ずしも公文書であることを要せず、私文書をもつて足るし、一通の文書によらず複数の文書によることも許されるが、それによって債務者に対する担保権の存在が高度の蓋然性をもつて証明される文書であることを必要とするとする。そして、

(2) 名古屋高裁昭六〇・五・二四決定(判夕五六二―一一〇)は、同文書について、担保権の存在は疎明でなく証明を要し、かつ、その認定は、債権者側の一方的資料に安易に依拠することのないようにという意味で、慎重になされるべきであるが、結局要は裁判官の自由なる心証にまつべきもので、裁判官が当該提出資料によって充分な心証を得られれば足り、何ら証拠資料を限定するものではないというべきであるとする。

五、(1) 複数文書の総合による認定例は、上記四(1)、(2)決定の外、東京高裁昭六〇・八・四決定(判時一一七三―六六)がある。

そして、対象物件は上記四(1)決定は石膏ボード、同(2)決定はレトルトカーボン、三引用の決定はコンクリート混和剤であり、いずれも不特定物について物上代位権の行使が認容されている。

(2) 以上により、担保権存在の基礎である物件の特定性の証明を例外と解すべき合理的根拠がないから、これもまた複数の文書の総合により、裁判官が自由な心証により充分な心証を得られれば足りることが論証される。

(3) そうすると裁判官が複数の文書の総合により自由な心証に基づいて担保権存在の基礎である物件の特定性の事実を認定する際、経験則が事実判断の法則として用いられ、従って経験則による事実上の推定が適用される。

文書の真正さえ担保されているならば、供述証拠と異なり虚偽の入り込む余地が少なく、裁判官は充分な心証を得られる筈である。そして文書の成立についての真正の証明もまた複数文書の総合により同様に行われる。

六、原決定の却下理由は動産売買の先取特権による物上代位権の行使は、それが特定動産の担保権の行使である以上、売買及び転売の対象物が同一で、且つそれが他の物件と判然と識別できる程度に特定している必要があるところ、本件申立にかかる担保権等目録の商品は生コンクリートで売買月日、種類、重量、数量が記載されるに止まり、上記の趣旨の特定性を欠くものといわなければならない。

申立人の提出にかかる全資料によっても、上記日立コンクリートから間組に運送された個々の生コンクリート(運送車一台づつの生コンクリート)と債権者と債務者間の売買及び債務者と第三者間の売買(転売買)の対象となった個々の生コンクリートとの結び付きについては、これを認めることができない。

これを要するに、本件申立の基礎となる先取特権が存在していることを証する文書の提出がないというにある。

七、(1) ところで、本件において、生コンクリートは生産から九〇分以内に使用しなければ、品質が低下する商品の特質上、メーカーである日立コンクリート株式会社戸田橋工場から、直接ユーザーである株式会社間組新河岸汚水処理場工事現場に運送納入されたことを裏付ける資料が存在し、その運送生コンクリートについては運送車番号、納入時刻、納入場所等(いわば容器)によってその特定がなされていることは運転日報(甲四)によって証明でき、原決定もこれを否定しない。

(2) 流通経路は日立コンクリートから埼玉中央生コンクリート協同組合を通じ債権者に、債権者から債務者に、債務者から第三債務者に、第三債務者からユーザーである間組の商事会社であるハザマ興業株式会社を経て間組に販売されていることは甲三、一三、一四、一、七、八、九、二、一〇、一五、一六、一七、一八、の各号証により証明される。

生コンクリートの納入及び流通経路は単一で他者の参入及び他商品の混入の余地はない。

その実体は、メーカーである日立コンクリートがユーザーである間組に直接生コンを販売できない仕組になっていることから、日立コンクリートの特約代理店である債権者では間組の上記現場から電話注文をうけとると直ちに生コン台帳の納入日頁に注文日、納入時刻、品名、数量、工場名を記載した(甲一二)うえ、日立コンクリート戸田橋工場に注文し、納入日の翌日上記工場に直接納入したか否かの実績を確認のうえ、社内の納品伝票に記載し、コンピュウーターに請求明細をインプットすると同時に、債務者に納入実績が確認された旨の電話連絡をする。債務者から第三債務者に対しても、その先の中間業者間も電話又はファックスにより納入実績の確認をする。

(3) この確認は、日立コンクリートが間組の上記現場で担当者印をもらってきた商品の受領証(甲三)のとおりのものである。

商品受領証には納入の場所、年月日、時刻、運搬車番号、商品名、数量の記載がある(甲三)。そして、その記載内容は運転日報の内容と符合する(甲四)。実績の確認に納入時刻、運搬車番号を含めないのは、取引上その必要がないからである。

各請求書の記載内容はこの実績確認のとおりである。

従って、各請求書の納入年月日、品名、数量が各商品受領書と合致し、さらに各運転日報の内容と合致するから、運転車両番号、納入時刻、納入場所等は各運転日報の記載のとおりのものであると推定される。

債務者の第三債務者に対する請求書(甲二)の請求漏れも他の文書の総合により債権者から債務者に対する請求書の記載が正しいと推定される。

八 従って、各文書の総合により認定される、以上の事実によれば、日立コンクリートから間組に運送された個々の生コンクリート(運送車一台づつの生コンクリート)と、債権者と債務者間の売買及び債務者と第三債務者間の売買(転売買)の対象となった個々の生コンクリートとの結びつき及び同一性(いわば容器による特定)は事実上推定される。

従つて、債権者は本件申立の基礎となる先取特権が存在していることを証する文書を提出したというべきである。

以上により、原決定には上記の点で経験則に違反した事実誤認があり、理由不備の違法があるだけではなく、民事執行法一九三条一項及び同法二〇条、民事訴訟法一八五条の解釈適用を誤り、また、上記三項、四項(1)、(2)、五項(1)記載の判例違反の違法があることが明白である。

よって、速やかに抗告の趣旨のとおり決定されたい。

抗告の理由の追加

御庁昭和六一年(ソラ)第一二〇号事件について次のとおり抗告の理由を追加する。

一、(1) 先取特権は当事者の意思に関係なく成立する法定担保物権であり、不動産先取特権を除き公示を要せず、またその優先順位は他の物権(質権等)との関係を含めて法定されており成立の順序によらないものでいわば排他性のない担保物権である。

動産売買の先取物権は目的物が一定の物に特定するが、売却された場合追及力を有しないから特定性もまた失われるとみるべきである。

(2) 動産売買の先取特権は売却による目的物に代わるものとして売買代金に対して行使できる。

民法三〇四条一項但書によると物上代位権行使の要件として「先取特権者ハ其払渡又ハ引渡前ニ差押ヲ為スコトヲ要ス」と定める。

物権の目的物は特定したものでなくてはならないからひとたび価値代表物たる金銭が払渡又は引渡によつて債務者の財産中に混入した後までも先取特権者の追及を許すことは、法律関係の紛料を招きまた他の債権者の利益を害し易い。

法が差押を命じているのは、あたかもこの混入を防止するためで、即ち、払渡又は引渡前の状態において、債務者が第三債務者に対して有する払渡又は引渡請求権を差し押えることによって、代位目的物の特定性を維持しようとする趣旨である(柚木、高木 担保物権法 新版四七−八)。

そして(1)、(2)のように解するのが実態に適合し、また一般債権者との利害関係を合理的に調整するものだから、、最も合理的な解釈である。

(3) 以上のとおり民法は物件の転買代金支払前に価値代表物である売買代金債権を差押えることに特定性の維持を認めているのであり、原決定が失われた過去の物件自体の特定性を要件とすること自体論理的矛盾があり民法三〇四条一項に違反する。

従って、抗告状抗告理由七項以下は、かりに失われた過去の物件自体の特定性が要件となるとしてもということが前提となる。

二、判例から民事執行法一九三条一項の担保権の存在を証する文書であるための要件を抽出すると、

(1) 債務者作成関与文書であることを要件とするものとして、

東京高決昭五八・三・二九(判時一〇七八−八六)・東京高決昭五九・九・七(判夕五四五−一三七)・東京高決昭五九・一一・一五(判夕五八四−一五四)・大阪高決昭六〇・八・一二(判時一一六九−五六)・東京高決昭六〇・六・二八(判夕五六六−一四九)・東京高決昭六〇・一〇・八(判時一一七三−六六)があり、これに代わるものとして、

(2) 債務者に対する確認あるいは給付の確定判決又は支払命令ないし確定判決と同一の効力を有する和解調停調書の謄本であることを要件とするものとして、

東京高決昭五九・七・三(判時一一二六−四〇)があり、債権者・債務者間で成立した裁判上の和解調書を特にあげるものとして東京高決昭六〇・二・五(判夕五五六−一四二)がある。

(3) 抗告状抗告理由四及び五に引用のものがある。

中野教授によると担保執行では債務名義を要求しないので、差押命令に対して債務者は執行抗告を提起して、担保権の不存在、消滅を争うことができ、抗告審で提出する証拠にもなんら制限はないのであるから、担保執行の開始にさいし、債務者の作成した、あるいは債務者の関与のもとに作成された文書があるかないかによって差押命令の可否を左右する理由は全くない(判夕五八五−一四)。そして、同教授が抗告状抗告理由四(2)説をとる根拠としても、誤認による債務者のリスクは差押命令に対する実体抗告により債務者のイニシアティブにより排除すべきであるからとする(同一六)。

三、(1) 本件において、債権者は債務者に対し、本件物件の売買代金請求の訴を提起し、訴状等は通常方法により送達されたが債務者は答弁書を提出せず債務者の第一回期日の欠席により確定判決を得た。

塩崎判事によると、事前に期日変更の申立もしないで第一回期日に欠席するというのは被告側で原告の請求を排除するだけの理由のない事案であることが多く、そのような事案にあつては民訴法一三八条、一四〇条三項を適用して弁論を早期に終結すべきであるとする(新実務民訴講座一−三〇四)。

(2) そこで、原決定は二(2)引用の判例に違反するだけでなく、債務者は売買代金請求の訴において訴状の通常送達をうけたのであるから、売買が架空のものである等争うだけの理由があれば当然争った筈であるところ、争っていないことからみて、請求を排除する理由がなかったとみなすべきであり、また以上の経緯により取得した確定判決は債務者関与文書あるというべきだから、二(1)の判例に違反する。

中野教授のいう債務者の実体抗告の問題も実質上クリアされているというべきである。

(3) 債権者は本件物件の転売代金債権を特定して主張しているだけでなく、転売の事実を証明する文書として第三債務者の証明書(甲一〇)、上申書二通(甲一一、一八)及び債務者から第三債務者にたいする請求書(甲二)等を提出しており、転売の事実も明らかに証明ずみである。

(4) 該手続においては、債務者及び第三者債務者の事前審尋は許されないことに由来する危険性、即ち一連の取引の架空、仮装性の排除に重点を置くべきである。

これは、原決定を取消し、自ら差押命令、転付命令を発した東京高裁昭六〇・八・一四決定(判時一一七三−六六)が理由において、これら一連の取引が仮装であることをうかがわしめることもできないと明示するところである。

また、一連の取引に第三者の介在の可能性(東京高決昭五八・三・二九判時一〇七三−八六)及び他商品の混入の可能性も排除しなければならない。

(5) ところで、本件においては各文書の総合により判断すると一連の取引は架空、仮装のものでないこと、及び本件物件の納入ならびに販売の経路は単一であり、第三者の介在、及び他商品の混入の余地のないことは明白である。

よって、原却下決定は全く理由がない。

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