大判例

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東京高等裁判所 昭和61年(行コ)52号 判決

新潟県豊栄市一〇一九番地二一

控訴人

仲田悦司郎

右訴訟代理人弁護士

古川兵衛

竹下重人

新潟県村上市三之町一一番一号

被控訴人

村上税務署長

谷川優二

右指定代理人

高須要子

和栗正栄

高野郁夫

根津正人

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が昭和五六年六月八日付でした控訴人の昭和五四年分所得税の更正のうち課税される総所得金額〇円課税される分離雑所得金額〇円、納付すべき税額マイナス四万八二〇〇円を超える部分(ただし、いずれも異議決定及び審査裁決により一部取り消された後のもの)を取り消す。

3  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文同旨

第二  当事者の主張は、左記のほか、原判決事実摘示と同一であるからこれを引用する(ただし、原判決六枚目裏四行目「消化栓」を「消火栓」と、同九枚目表一二行目「所得」を「所有」とそれぞれ訂正する。)。

(控訴人)

1  同一〇枚目表末尾から同裏一行目までの「〈1〉ないし〈4〉の事実は認め、」とあるのを左記のとおり改める。「〈1〉ないし〈4〉の事実については、外形的事実を認める。

なお、〈3〉については、守太郎が従前地の一部である荒川町所有地を一平方メートル当たり約七四八二円で買い受けたことは事実であるが、これは控訴人らが本件土地の売却準備に取り掛った際、本件土地内に同町所有の旧水路が払下げ洩れとなったまま残っていること(現実にはすでに埋立済みであった)が判ったので、守太郎が町と交渉して現況が水路との想定で払下げを受けたものであるから、右土地の売買価格と本件分譲地の分譲価格とを単純に比較してその高騰率を論ずるのはあたらないし、また従前地のうち国道に接する部分約三〇平方メートルが昭和五四年二月一五日道路拡幅のため買収されたが、その価格は一平方メートル当たり二万三七五〇円であったから、本件土地の整地による値上がり幅は被控訴人の主張するほど大きいものではない。」

(被控訴人)

1  控訴人の右自白の撤回には異議がある。

2  守太郎がその主張する土地を同町から買い受けた昭和五四年一〇月当時、右土地はすでに周囲の土地とともに埋立てられて雑種地の様相を呈していたし、そのうえ右土地に関する売買契約書(乙第三号証)にはその地目が雑種地である旨明記されているから、右土地が雑種地として売買されたことは明らかである。

また、控訴人主張の買収土地は従前地の一部ではなく、これと国道を挟んで東側に所在する宅地であって、その場所的関係からすれば、その買収事例をもって従前地の取引事例とするのは相当ではない。

第三  証拠関係は、本件記録中の書証目録及び証人等目録記載のとおりであるからこれを引用する。

理由

一  当裁判所も控訴人の本訴請求は失当としてこれを棄却すべきものと判断するが、その理由は原判決理由説示のとおりであるから、これを引用する。(ただし、原判決一五枚目表九行目「3018245」を「3068245」と訂正し、同一八枚目裏八行目「当事者間に争いがない」を「叙上認定の事実から明らかである」と改める。)。

二  控訴人は、当審において、事実摘示欄第二(当事者の主張)三(被控訴人の主張)2(本件更正の適法性)(一)(1)の〈1〉ないし〈4〉の事実について、これをすべて認めるとした従前の認否を改めて、その外形的事実のみを認め、右外形的事実に基づく被控訴人の事実上の推論ないし評価を争う旨付陳し、被控訴人はこれを自白の撤回にあたるとして異議を述べているが、本件においては、右〈1〉ないし〈4〉の事実はいずれも主要事実を推認させる間接事実にすぎないので、自白の拘束力は問題にならないし、いわんや間接事実に基づく被控訴人の事実上の推論ないし評価についてまで自白が成立するものではない。

本件について判断するためには、右〈1〉ないし〈4〉の外形的事実が当事者間に争いがないことで、必要にして充分である。

ところで、右〈3〉の事実について、控訴人は、守太郎が荒川町から買い受けた土地(旧水路)は、現況水路との想定で廉価に払下げを受けた旨主張する。しかし、仮に右土地が従前水路であったとしても現況水路と想定してその売買がなされたとの事実については何らの証拠はなく、かえって弁論の全趣旨によって成立の認められる乙第三号証によれば、守太郎は荒川町から右土地の地目を雑種地として買い受けたことが認められるから、右の売買価格が破格の安値のもので、従前地の分譲直前の実勢価格とかけ離れたものとみることはできない。

また控訴人は、昭和五四年二月に従前の一部が道路拡幅のため買収された旨主張するが、弁論の全趣旨により成立の認められる乙第四号証、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認められるから真正な公文書と推定される乙第五号証によれば、控訴人主張の頃道路拡幅のため買収された土地は従前地の一部ではなく、これと国道を挟んだ東側に所在し、しかも県道と国道が交差する角地に位置する宅地であることが認められるから、右の買収事例をもって従前地の取引事例として採用するのは相当ではない。

三  よって、原判決は相当で本件訴訟は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 西山俊彦 裁判官 藤井正雄 裁判官 武藤冬士己)

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