大判例

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東京高等裁判所 昭和62年(ネ)1735号 判決

控訴人 トニー・セテラこと アンソニー・ジヨセフ・セテラ・ジユニア

被控訴人 株式会社三菱銀行

右代表者代表取締役 伊夫伎一雄

右訴訟代理人弁護士 上野宏

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

理由

一  当裁判所も、控訴人の本訴請求は理由がないものと判断する。その理由は、次のとおり訂正するほか、原判決の理由として説示するところと同一であるから、これを引用する。

1  原判決五枚目裏九行目の冒頭から同六枚目裏二行目の末尾までを「しかし、わが国の銀行預金取引においては、一般に取引主体の同一性の確認は第一次的には印鑑(例外的に署名)の同一性に依拠しており、取引名義そのものは取引主体の同一性を確認する手段として副次的な意味しか持たず、いかなる取引名義を使用するかは原則として取引をする者の自由に決定しうるところと考えられていることは公知の事実である。その結果として、他人名義での取引も生じうることになるが、個々の預金取引がいかなる名義の下に行われているかは一般に公開される事柄ではないから、これによつて直ちに社会生活上格別の不都合を生ずることは考えられない。右に加えて、銀行預金取引が不特定多数人との間に大量かつ反復的に行われるものであることからして、銀行に取引の相手方の氏名の真実性を確認する義務を負わせるならば、取引の迅速簡便を害すること甚だしく、経済活動にとつて大きな障害となるのを免れないと考えられることに照らせば、銀行は、銀行に預金取引に来た者と取引名義人とが同一人であるか否かを調査し、他人名義による預金取引が行われるのを防止する義務を負わないものというべきである。」と改める。

2  同六枚目裏六行目の「主張は」の次に「それ自体において」を加える。

二  以上によれば、控訴人の請求を棄却した原判決は相当である。よつて、本件控訴を棄却する

(裁判長裁判官 丹野達 裁判官 加茂紀久男 平田浩)

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