大判例

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浦和地方裁判所越谷支部 平成9年(ワ)118号 判決

主文

一  被告が篠崎将男に対する東京簡易裁判所平成八年(ハ)第一九八〇号事件の判決の執行力ある正本に基いて、平成九年一月二一日別紙物件目録記載の不動産に対してした強制執行は許さない。

二  訴訟費用は、被告の負担とする。

三  本件について当裁判所が平成九年三月七日にした強制執行停止決定は、これを認可する。

四  前項に限り仮に執行することができる。

事実及び理由

一  請求

主文と同旨

二  事案

1  原告の主張

(一)  被告は、篠崎将男に対する東京簡易裁判所平成八年(ハ)第一九八〇号事件の判決の執行力ある正本に基いて強制執行をし、平成九年一月二一日別紙物件目録記載の不動産(以下、「本件不動産」という。)を差し押さえた。

(二)  しかし、本件不動産は、原告が所有するものである。

すなわち、本件不動産は、もと篠崎清一が所有していたが、清一は生前、本件不動産を原告に相続させる旨の公正証書遺言をし、その後の平成八年八月一〇日死亡した。

(三)  よって、原告は、所有権に基き、被告が本件不動産に対してした強制執行の排除を求める。

2  被告の主張等

(一)  原告の主張(一)の事実は認め、同(二)の事実は不知。

(二)  公正証書遺言が有効であるとしても、被告は将男に対し、三〇万円の貸付債権があり、他方、将男は清一の三男であって二〇分の一の遺留分を有するところ、被告は、将男に代位して原告に対し遺留分減殺請求権を行使したのであるから、被告にはなお二〇分の一の持分に対して強制執行をする権利がある。

三  当裁判所の判断

1  原告の主張(一)の事実は当事者間において争いがなく、同(二)の事実は証拠(甲一ないし三)及び弁論の全趣旨によりこれを認めることができる。

そうすると、原告は、右公正証書遺言の効力発生によって本件不動産の所有権を取得したものということができる。

2  被告の主張等(二)について検討すると、弁論の全趣旨により、将男が清一の三男であり、二〇分の一の遺留分を有することが認められるが、将男が原告に対し遺留分の減殺請求権を行使したと認めるに足りる証拠はなく、また、遺留分減殺請求権はその性質上債権者がこれを代位行使することはできないものと解される。

3  これによれば、被告にはなお二〇分の一の持分に対して強制執行をする権利があるということはできない。

以上によれば、原告の請求は理由がある。

(別紙)

物件目録

所在   北葛飾郡杉戸町大字才羽

地番   七九五番

地目   宅地

地積   八九二・五六平方メートル

ただし、篠崎将男持分一〇分の一

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