大判例

20世紀の現憲法下の判例を掲載しています

浦和家庭裁判所 昭和36年(家)2416号 審判

本籍 朝鮮黄海道安岳郡 住所 埼玉県

申立人 丸田君子(仮名)

本籍 申立人に同じ 住所 申立人に同じ

事件本人 柳川利明(仮名)

主文

本籍 埼玉県北足立郡新座町大字西堀○○○番地

住所 右に同じ

丸田ツヤを事件本人の後見人に選任する。

理由

本件申立の要旨は、申立人は事件本人の実母であるが、申立人と事件本人の父当時朝鮮黄海道安岳郡大杏面生芹里○○○番地柳川礼化とは昭和十九年十月婚姻し東京都に居住したが、間もなくともに渡鮮し、夫の本籍地に帰住し同地に於いて昭和二十一年十月○○日事件本人を出生したが、父柳川礼化は同年十二月頃より申立人および事件本人を残して所在不明となつた。申立人は止を得ず事件本人と共に昭和二十三年七月四日朝鮮元山港から宗谷丸に乗船同年同月六日舞鶴に上陸し以後埼玉県北足立郡新座町大字西堀○○○番地申立人の実母丸田ツヤ方において事件本人を養育して来たところ、申立人は夫柳川礼化に対し東京地方裁判所へ離婚の訴(東京地方裁判所昭和三五年(タ)第三四一号)を提起し、昭和三十六年六月十二日離婚の判決を得た。夫柳川礼化は所在不明で事件本人の親権を行使することが出来ない状態にあるため後見人の選任を求めるため、本件申立に及んだと云うのである。

よつて按ずるに記録添付の除籍謄本、戸籍謄本各一通判決正本一通、引揚者名簿記載事項証明書一通、家庭裁判所調査官補荒井澄作成の後見人選任事件調査票の記載および申立人審問の結果を綜合すると申立人の主張事実を認めることが出来る。

法令第二三条によると後見は被後見人の本国法による旨規定しているが被後見人である事件本人の属する朝鮮民主主義共和国政府の法律を知ることが出来ないので、かかる場合は条理に従う外なく、事件本人のために後見人を選任することは条理に反せず、むしろ事件本人のために利益であると認められるから本件申立は理由がある、よつて主文のとおり審判する。

(家事審判官 岡咲恕一)

「大判例」は20世紀で日本国憲法下の裁判例のうち,公刊物に掲載されたものをまとめたインターネット判例集です。原則として公刊されたものをそのまま載せています。

憲法により判決は公開とされており,法曹および法律研究者に利用されているものです。その公共性と平等主義の観点から,送信防止措置または改変には一切応じませんのでご了承ください。

©daihanrei.com