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神戸地方裁判所 平成6年(ワ)1227号 判決

原告

中村彰

被告

井元博文

ほか一名

主文

一  被告らは、各自、原告に対し、金六二八万三一三四円及び内金五六八万三一三四円に対する昭和六三年九月一一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告のその余の請求をいずれも棄却する。

三  訴訟費用はこれを三分し、その二を原告の負担とし、その余を被告らの負担とする。

四  この判決の第一項は仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

被告らは、各自、原告に対し、二〇〇〇万円及び内金一八五〇万円に対する昭和六三年九月一一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

本件は、原告が、後記の交通事故(以下「本件事故」という。)により損害を受けたとして、被告井元博文(以下「被告井元」という。)に対して民法七〇九条により、被告フアイザー製薬株式会社(以下「被告会社」という。)に対して自賠法三条及び民法七一五条によりそれぞれ損害賠償を求めた事案である。

なお、付帯請求は、弁護士費用を除いた損害金に対する本件事故の翌日である昭和六三年九月一一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金である。

一  争いのない事実等

1  本件事故の発生

(一) 日時 昭和六三年九月一〇日午後五時五五分頃

(二) 場所 神戸市西区押部谷町木津一三二四―二一先T字路交差点(以下「本件交差点」という。)

(三) 加害車 被告井元運転、被告会社所有の普通乗用自動車(以下「被告車」という。)

(四) 被害車 原告運転の軽四貨物自動車(以下「原告車」という。)

(五) 態様 本件交差点を東進中の原告車と北から東へ左折しようとした被告車が衝突した。

2  被告井元の責任

被告井元は、前方注視すべき注意義務があるのに、前方注視を怠つたため本件事故を発生させたものであるから、原告が受けた後記損害を賠償する責任がある。

3  原告の傷害、治療経過及び後遺障害

(一) 原告は、本件事故により、外傷性頸椎捻挫、頸椎骨軟骨症、頸椎椎間板ヘルニアの傷害を受け、次のとおり入通院の治療を受けた(甲二、四ないし一〇、一九ないし二六、乙一ないし三、六、七、一三)。

(1) 昭和六三年九月一〇日から同月一九日まで松森病院に通院(実通院日数七日)

(2) 同年九月一九日から平成元年五月一二日まで岡本医院通院(実通院日数九三日)

(3) 平成元年三月二〇日から平成三年二月一六日まで神戸市立中央市民病院(以下「市民病院」という。)通院(実通院日数二五日)

(4) 平成元年四月一一日から平成三年二月九日までの間に五日間、検査のため甲南病院通院

(5) 平成元年六月二三日から同年七月一日までの九日間及び同年一二月四日から平成二年一月八日までの三六日間それぞれ市民病院入院

(二) 原告は、平成三年二月一六日、症状固定し(甲二)、頸椎変形につき自賠責保険後遺障害等級一一級七号、骨移植による骨盤の変形につき同級一二級五号に該当し、併合一〇級と認定された。

そして、原告は、同年一一月八日、労災保険において、神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるものとして同等級九級七号の二に該当すると認定された。

二  争点

1  本件事故と原告の傷害との因果関係及び後遺障害の程度

被告は、原告の頸椎骨軟骨症及び頸椎椎間板ヘルニアは既往症であつて、本件事故と因果関係がない、仮に、右の因果関係が認められるとしても、限定的な因果関係(寄与率)が認められるにすぎない旨主張する。

2  被告会社の責任

被告会社は、被告井元は、本件事故当時、同被告の自家用車で親睦野球から帰宅中であつたから、被告車の保有者でなく、業務遂行中であつたともいえず、運行供用者及び使用者のいずれの責任もない旨主張する。

3  過失相殺

4  消滅時効

被告は、本件事故発生から三年以上経過しているから、原告の損害賠償請求権は時効消滅しているから、本訴において右時効を援用する旨主張する。

原告は、原告の本件事故よる傷害は、平成三年二月一六日、症状固定しており、同日から時効が進行するが、三年以内の平成六年二月七日に内容証明郵便を出しており、時効中断している旨主張する。

5  原告の損害額

第三争点に対する判断

一  争点1について

1  証拠(甲二ないし一一、一六、一七、一九ないし二六、乙一ないし三、六、七、一一ないし一三、原告及び被告井元各本人、弁論の全趣旨)によると、次の事実が認められる。

(一) 原告は、本件事故後、次のとおりの症状を訴え、自宅で安静にしながら松森病院で診察、治療を受けた。

(1) 本件事故当日である昭和六三年九月一〇日、頸椎捻挫、頭部・腰部・右下腿打撲、右肘打撲切創で約一週間の治療ないしは休業加療を要すると診断された。その症状は、やや頭重感と頸部の屈曲時に違和感があつたり、無かつたりの状態であり、吐き気はなかつた。

(2) 同月一二日、頸部左側の硬直、鈍さ、昨日からの微熱、疲れやすい、右腰・右下腿の痛みを訴えたが、握力は正常であつた。その際、X線及び頭部CT撮影を受け、本件事故以前からあつたと推測される頸椎第五と第六の椎間腔狭窄が認められたが、その他は、格別、異常は認められなかつた。

(3) 同月一三日に頸よりも眼精疲労の方を強く訴え、同月一六日に少しましになつた気がするが後屈すると頸部痛がある旨訴えた。

(二) 原告は、昭和六三年九月一九日から就労することとし、勤務先に近い岡本医院に転院し、次のとおり、診察、治療を受けた。

(1) 同日の初診時に頸椎捻挫、右肘部切創と診断され(なお、右切創は翌日には治癒した)、頸部痛、項部痛を訴え、同月二〇日に前屈六〇度、後屈四〇度で頸の痛みを訴え、その後、腰痛、項部痛を訴えるようになつた。

(2) 同年一〇月一四日に腰痛、両肩甲部、頸の付け根が重いなどを訴え、同日から頸部の牽引治療が実施された。

(3) 同年一一月から右上肢の痺れ感、右手指の違和感など多様な症状を訴えるようになり、平成元年五月一二日までしばしば通院して治療を受けた。

(三) 原告は、次のとおり、市民病院で診察、治療を受けた。

(1) 平成元年三月二〇日、診察を受け、頸椎骨軟骨症、第五頸椎椎間板ヘルニアと診断され、四本柱装具やカラー装着等による治療を続けた。

(2) 同年六月二三日から同年七月一日まで入院のうえ、脊髄造影及びCT検査を受け、その後も同様の治療を受けていた。

(3) その後の症状に変化がないため、同年一二月四日から平成二年一月八日まで入院のうえ、頸椎前方固定術等の手術を受けた。

(四) 原告は、平成三年二月一六日、症状が固定したとの診断を受けた。

そこで、原告は、自賠責保険に対し、後遺障害保険金の請求をし、同年八月、併合一〇級の認定を受け、不服であつたため異議申立をしたが、同年一〇月、右認定を変更しないとの通知を受けた(甲一六の一三頁)。

(五) 原告は、神戸西労働基準監督署長に対し、障害給付の請求をし、同保険後遺障害等級九級に該当するものと認められたが、不服であつたため、審査請求をしたところ、兵庫労働者災害補償保険審査官は、平成四年六月、自賠責保険や任意保険会社に提出した資料を含め、原告及び原処分庁が提出した資料に当審査官が収集した資料(各医師の意見書や原告の聴取書等)を参考にし、兵庫労働者災害補償保険審査参与の意見を求めたうえ、原告に残存する障害は、頸椎の変形障害が右障害等級一一級の五、頭頸部の神経症状が右障害等級九級の七の二に該当し、右頸椎の変形障害は頭頸部の神経症状に含まれるから右障害等級九級に該当する旨判断し、右審査請求を棄却した。

(六) 原告は、市民病院での手術後も、下を向くと痛み、重い物を持つと気持が悪くなる症状が続いたため、平成三年四月、勤務先のサーミツト工業株式会社(以下「サーミツト社」という。)を退職し、その後、コンピユーター会社に勤務したが、頸が痛くて体がしんどく、給与も激減したため、平成五年七月に退職し、現在、無職の状態である。

2  右認定によると、原告の後遺障害が自賠責保険及び労災保険のいずれも本件事故に基づく後遺障害であると認定されているなど、本件事故と原告の受傷及び後遺障害との間に相当因果関係があるというべきである。

そこで、原告の後遺障害の内容、程度であるが、原告の本件事故前後の状況、特に原告が本件事故後間もなく仕事に復帰し、症状が悪かつたにせよ相当期間、仕事を継続していたこと等に照らすと、労災保険認定の頭頸部の神経症状が右障害等級九級の七の二に該当するとの判断には疑問の余地がなくもないが、前記認定のとおり、右労災認定は、自賠責保険の認定及びその前後の資料を十分に検討し、医師その他の専門家の意見も参考にし、審査請求を経たうえでの判断であるから、当裁判所も労災認定の後遺障害等級九級の判断を採用することとする。

3  次に、被告らの主張の寄与率につき検討する。

前記のとおり、原告は、本件事故後、六日間安静にして欠勤した後は、残業はできなかつたものの、通院しながら仕事を続けており、当初、自賠責保険後遺障害等級併合一〇級ないしは労災保険後遺障害等級九級とかの後遺障害が残ることは予想されなかつたというべきであり、その後遺障害の一因と考えられる頸椎第五と第六の椎間腔狭窄は、本件事故以前からあつたと推測され、それと本件事故とが相まつて発症し、右後遺障害が残つたと推認されるから、後記の人的損害のすべてを本件事故によるものと評価することは、損害の公平な負担の理念に照らし相当ではない。従つて、被告らの主張は理由がある。

そこで、その他の諸般の事情をも考慮のうえ、後記人的損害の算定に当たつては寄与度を考慮し、その三分の一を減額するのが相当である。

二  争点2について

被告井元が、本件事故当時、前方注視義務を怠つたため、本件事故が発生したことは前記のとおりである。

証拠(甲一三、一八、原告及び被告井元各本人)によると、被告井元は、本件事故当時、被告会社の社員であつたこと、被告井元は、本件事故当日、休日であつたが、被告会社の同好会である野球部の親善野球試合に参加し、その帰りであつたこと、被告井元及び被告会社の木下業務管理部長は、昭和六三年一〇月、原告に対し、それぞれ本件事故が業務上の事故であることを認め、誠意をもつて示談に対処することを誓約していることが認められる。

従つて、被告井元は、民法七〇九条により、被告会社は、民法七一五条により、本件事故により原告が受けた後記損害を賠償する責任がある。

三  争点3について

1  証拠(甲一四、一五、一七、四一、四二、四五、乙八、九、検乙一ないし六、原告及び被告井元各本人)によると、次の事実が認められる。

(一) 原告は、本件事故当時、制限速度である時速五〇キロメートル程度の速度で原告車を運転して東進し、本件交差点にさしかかり、左方道路からの右折待ちの自動車があつたため、時速四五キロメートル程度に減速して進行を続けたところ、同交差点を通過しかけた辺りで被告車に衝突された。

被告車の前部が原告車の左側後部に衝突したことにより、原告車は一八〇度向きを変え、横転した。原告は、右衝突まで被告車に気づかなかつた。

(二) 被告井元は、本件事故当時、被告車を運転して、南進し、本件交差点手前の一時停止の標識に従い、一時停止をし、時速一〇キロメートルの速度で進行し、その後は一時停止することなく、左折を続けたところ、原告車と衝突した。同被告も、右衝突まで原告車に気づかなかつた。

(三) 本件事故当時、雨が少し降つていた。また、本件事故により、被告井元は、業務上過失傷害罪により、略式起訴され、罰金六万円に処せられた。

2  被告らは、原告が、本件事故直前、高速で、左方からの右折車を避けるため、対向車線に出て、走行車線に戻つてきたため、被告井元は原告車の発見ができなかつた旨主張し、乙八の記載及び被告井元の供述中には右にそう部分があるけれども、原告が、雨の中、高速で被告らの主張のような運転をすることはまず不可能であることに原告の供述に照らすと、右部分をにわかに採用しがたい。他に右主張を認めるに足りる証拠はない。

3  右認定によると、原告は、前方左右の注視をすべきところ、被告車が低速で本件交差点に進入して来るのに気づかなかつたのであるから、右注視義務を怠つたといわざるをえず、ある程度の過失があるというべきである。

他方、被告井元は、本件交差点手前の一時停止の標識に従い、一時停止したものの、同標識設置の趣旨等を考慮すると、特に前方左右の確認を十分にすべきところ、前方左右の注視を十分にしないで左折し、衝突するまで原告車に全く気付かなかつたのであるから、その過失は相当大きいというべきである。

そこで、その他諸般の事情を斟酌のうえ、原告と被告井元の過失を対比すると、原告が三割で被告井元が七割とみるのが相当である。

四  争点4について

本件事故による原告の傷害の症状が平成三年二月一六日固定したことは前記のとおりであるところ、証拠(甲一二、二九ないし三四、四三、原告本人、弁論の全趣旨)によると、被告ら訴訟代理人は、平成四年三月頃まで、本件事故につき、原告との示談交渉をしており、平成二年五月には、原告に対し、四六万三八五〇円の支払債務を認める旨の連絡書を送付していること、原告は、平成六年二月七日、被告らに対し、本件事故による損害賠償請求権につき時効中断をする旨の内容証明郵便(甲一二)を出し、その半年以内である同年七月五日に本訴を提起したことが認められる。

右認定によると、原告主張のとおり、時効期間内に時効の中断がなされたことが明らかであり、被告らの時効消滅の主張は採用できない。

五  争点5について

1  医療費(請求及び認容額・九四八〇円)

証拠(甲三九の一ないし五、原告本人)によると、原告は、本件事故により甲南病院でMRI検査等を受け、合計九四八〇円の医療費を支払つたことが認められる。右認定によると、右支出は相当な損害というべきである。

2  入院雑費(請求及び認容額・五万一六〇〇円)

原告の本件事故による入院が合計四三日間であることは前記のとおりであるところ、一日当たりの入院雑費は一二〇〇円が相当であるから、原告主張の入院雑費は相当である。

3  雑費(請求額・一〇万〇五八二円) 五万円

証拠(甲三七の一ないし六四、三八の一ないし五四、原告本人、弁論の全趣旨)によると、原告は、本件事故により、診断書、コピー代、タクシー代及びその他の雑費として原告主張の一〇万〇五八二円を支出したことが認められる。

右認定に前記の原告の傷害の内容、程度を考慮すると、入院雑費以外の相当な雑費としては五万円程度とみるのが相当である。

4  付添看護費(請求及び認容額・一九万三五〇〇円)

証拠(原告本人、弁論の全趣旨)によると、原告は、本件事故による合計四三日間の入院期間中、妻の付添看護を受けたことが認められる。

一日当たりの近親者の付添看護費は、付添人に生じた交通費その他の諸経費を含めて四五〇〇円が相当であるから、原告主張の付添看護費は相当である。

5  付添通院費(請求額・四万一七〇〇円) 〇円

特別の事情がない限り、付添看護費の他に付添人に生じた交通費その他の諸経費を相当な損害と認めることができないところ、右特別の事情を認めるに足りる的確な証拠はない。

6  通院交通費(請求及び認容額・一〇万八九七〇円)

証拠(甲三八の五五の一・二、原告本人、弁論の全趣旨)によると、原告は、本件事故により松森病院、岡本医院、中央市民病院及び甲南病院に通院し、電車等を利用し、合計一〇万八九七〇円の通院交通費を要したことが認められる。右認定によると、右支出は相当な損害と認めることができる。

7  休業損害(請求額・三一二万四九四〇円) 二九〇万四五四六円

証拠(甲二七の一ないし三、二八の一・二、原告本人、弁論の全趣旨)によると、原告は、本件事故当時、サーミツト社に勤務していたが、本件事故により昭和六三年九月一二日から同月一七日まで六日間欠勤し、その間給与の支給を全く受けなかつたこと、その間の給与は残業を含め五万八一七九円であつたこと、その後、原告は、入院した期間を除いて、勤務したが、本件事故による傷害のため、ほとんど残業を行うことができなかつたこと、原告は、平成一、二年当時、年収として三〇〇万円強を得ていたが、欠勤期間、給与の支給を受けることができず、残業ができなかつたため、その残業手当及び皆勤手当の支給を受けられなかつたこと、昭和六三年九月一八日から平成三年一月までの間のそれらの喪失合計額が二八四万六三六七円であつたことが認められる。

右認定によると、原告の休業損害合計額は、二九〇万四五四六円となる。

8  逸失利益(請求額・三九九〇万八八五二円) 二二一四万一二四四円

証拠(原告本人、弁論の全趣旨)によると、原告は、昭和三〇年二月一三日生まれであるが、本件事故による後遺障害の影響により、思うように働けないため、平成三年四月、サーミツト社を退職し、その後、コンピユーター会社に勤務したが、頸が痛くて体がしんどく、給与も激減したため、平成五年七月に退職し、現在、無職の状態であること、原告は、将来、コンピユーター関係の仕事をするつもりであることが認められる。

右及び前記認定によると、原告は、サーミツト社に勤務当時、年収の三〇〇万円強に喪失していた残業等の手当を加えると、少なくとも原告主張の年収三九二万四五〇〇円を得ていたものと推認することができる。

そして、原告の後遺障害の内容、程度、原告の将来の仕事内容等を総合考慮すると、原告は、サーミツト社退職後、六七歳に達するまでの三二年間、三〇パーセント程度の労働能力を喪失するとみるのが相当である。

すると、原告の逸失利益は、次のとおり二二一四万一二四四円(円未満切捨、以下同)となる。

3,924,500×0.3×18.806=22,141,244

9  慰謝料(請求額・合計八五三万一〇〇〇円) 六五〇万円

原告の傷害の内容、程度、入、通院期間及び後遺障害の内容、程度その他本件に現れた一切の諸事情を総合考慮すると、原告が本件事故によつて受けた精神的慰謝料は六五〇万円をもつて相当とする。

10  物損(請求額・二〇万五〇〇〇円) 二〇万円

証拠(甲一六〔六頁〕、原告本人、弁論の全趣旨)によると、本件事故により、原告車は大破し、使用不能となつたこと、当時の同車の時価は二〇万五〇〇〇円程度であり、その現存価格が五〇〇〇円であつたことが認められる。

右認定によると、相当な物損は、二〇万円とみるのが相当である。

11  寄与及び過失相殺による減額

(一) 前記のとおり、本件人的損害に当たつては三分の一の寄与度減額をすべきであるから、右1ないし9の人的損害合計三一九五万九三四〇円につき同減額を行うと、その残額は二一三〇万六二二六円となる。

(二) 前記のとおり、本件全損害に当たつては三割の過失相殺をすべきであるから、右(一)の残額と10の物損の合計額二一五〇万六二二六円につきその過失相殺をすると、その後に原告が請求できる損害金額は一五〇五万四三五八円となる。

12  損害の填補

原告が本件事故により損害の填補として自賠責保険及び労災保険から合計九三七万一二二四円の支払を受けたことは、原告の自認するところである。

右損害の填補額を控除後に原告の請求できる損害金額は、五六八万三一三四円となる。

13  弁護士費用(請求額・一五〇万円) 六〇万円

本件事案の内容、審理経過及び認容額その他諸般の事情を考慮すると、本件事故と相当因果関係のある弁護士費用は、六〇万円が相当である。

第四結論

以上によると、原告の請求は、主文一項の限度で理由があるからこれを認容し、その余の請求は理由がないから棄却することとする。

(裁判官 横田勝年)

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