大判例

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神戸地方裁判所 昭和44年(ワ)360号 判決

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告は、原告に対し別紙目録記載の自動車を引渡せ。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

3  仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

主文同旨

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  原告は、昭和四三年九月七日原告所有の別紙目録記載の自動車一台(以下本件自動車という)を株式会社国際自動車整備工場(以下国際自動車と略称する)に代金七一一、四二三円、その支払方法は同月一三日に二〇万円、同月三〇日に五一、五二三円、同年一〇月以降昭和四四年六月まで毎月末日限り各五一、一〇〇円宛を分割して支払うことと定めて売渡し、右代金完済まで所有権を原告に留保することを特約した。

2  国際自動車は、昭和四三年一一月末日以降昭和四四年一月末日までの三ヶ月分の月賦金の支払を怠つたので、原告は、国際自動車に対し昭和四四年二月二四日頃到達の書面で書面到達後三日以内にこれを支払うべく、もし右期間内に支払わないときは売買契約を解除する旨の催告ならびに条件付解除の意思表示をした。

3  被告は、所有者である原告に対抗しうべき何らの権限なしに本件自動車を占有使用しているから、被告に対しその引渡を求める。

二  請求原因に対する認否

請求原因1・2の事実は知らない。

三  抗弁

1  被告は、昭和四三年八月三〇日本件自動車を原告から買受け、代金として下取車両二台(価格四二万円と評価)と現金四〇万円を原告に支払つて完済し本件自動車を原告から引渡しをうけた。従つて、原告の請求に応じられない。

2  仮りに、前項の売買の売主が原告でないとしても、原告は自動車のデイーラーであり、国際自動車は原告のサブデイーラーであつて、前項の売買において、実質上少なくとも原告と国際自動車とが一体となつて売主の地位にあつたものである。従つて、原告の請求は失当である。

3  仮りに、1、2の抗弁が理由がなく、かつ、請求原因1、2の事実があつたとしても、次の理由により原告の請求は失当である。

イ 被告は、昭和四三年八月三〇日本件自動車を国際自動車から買受け、抗弁1記載のとおりの代金を国際自動車に完済し本件自動車の引渡をうけた。

ロ 原告は、自動車のデイーラーで、国際自動車は原告のサブデイーラーであるところ、原告は、国際自動車が本件自動車をユーザーである被告に売渡すことを知りながら、国際自動車が原告に対し自動車代金を完済していないこと、および、原告と国際自動車との間では代金の完済まで所有権を原告に留保する特約のあることを被告に告知せず、被告のもとめに応じて被告のため車検手続をなし、自動車税と自動車取得税を被告から受取つて被告の名義で納付の手続をし、或は、被告から強制保険料を受取つて被告名義でこれを保険会社に支払つている。

ハ 右のような事情のもとに、原告が国際自動車との間の所有権留保約款をたてにとつて、被告に対し本件自動車の引渡を請求することは、原告の販売の目的を逸脱し、本来デイーラーである原告が自ら負担すべきサブデイーラーである国際自動車に対する代金回収不能の危険をユーザーである被告に転嫁することになつて、原告の一方的利益のみに偏する結果一般顧客たる被告に酷な結果となる。すなわち、原告が所有権留保の特約にもとづき被告に対してなす本訴請求は正義と信義則に反し権利の濫用にあたるから許されない。

第三  証拠(省略)

別紙

目録

車名     ダットサン

年式     四三

型式     五一〇

車台番号   五一〇―一一四四二三

原動機の型式 L一三

登録番号   神五そ四九五五

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