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神戸地方裁判所 昭和60年(ワ)1405号 判決

原告

嶋田緑

被告

田中祥雅

主文

一  被告は原告に対し、金一四二万一四六四円及びこれに対する昭和五八年八月九日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告その余の請求を棄却する。

三  訴訟費用は五分し、その一を被告の、その余を原告の各負担とする。

四  この判決の第一項は仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  原告

1  被告は原告に対し、金二四二七万四九〇六円及び内金二三〇七万四九〇六円に対する昭和五八年八月九日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

3  仮執行宣言

二  被告

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

第二当事者の主張

一  請求原因

1  交通事故の発生

原告は、次の交通事故(以下本件事故という)により受傷した。

(1) 日時 昭和五八年八月九日午後七時五〇分ころ

(2) 場所 神戸市東灘区田中町五丁目三番二三号国道二号線交差点

(3) 加害車両 被告運転の自動二輪車(車両番号神戸み八八三三)

(4) 被害車両 原告運転の原動機付自転車(車両番号神戸灘い八六一四)

(5) 事故状況

信号機によつて交通整理の行なわれている前記交差点において、青信号に従つて東進中の被害車両に右折北進してきた加害車両が側面衝突し、原告に後記の傷害を負わせたもの。

2  事故の結果

(一) 傷害の部位、程度

顔面挫創、右大腿・右肘挫創、頭部外傷Ⅰ型、頸肩腫症候群、腰部挫傷

(二) 治療経過

(1) 昭和五八年八月九日西外科胃腸科病院に通院

(2) 右同日から同年九月七日まで神戸市立中央市民病院に通院(実日数七日)

(3) 同年八月二九日から昭和五九年六月二二日まで西外科胃腸科病院に通院(実日数二〇七日)

(4) 昭和五九年八月二一日から昭和六〇年五月二二日まで神吉外科医院に通院(実日数二五八日)

(5) 昭和六〇年五月二二日神吉外科医院にて症状固定

(6) 右症状固定後も右膝関節痛等が続くので、神吉外科医院に通院継続中である。

(三) 後遺障害

頸椎椎間板障害、腰椎椎間板障害、頭部外傷Ⅰ型、左右肩鎖関節損傷、右膝関節損傷、右足関節損傷により頭痛(雨天に著しい)、立ちくらみ、目まい、耳鳴り、頸痛、頸椎神経根刺激症状、腰部坐骨神経放散痛、右膝関節痛等症状が著しく右膝関節運動制限、歩行障害(歩行時に右側に傾く)、立作業が困難(右膝関節不安定のため常時コルセツトの装着を要す)等の障害を残す。

右は自賠法施行令別表後遺障害等級一二級七号、一二号に各該当するので併合一一級相当の障害である。

3  責任原因

被告は、自己のため加害車両を運行の用に供していたものであるから、自賠法三条による責任がある。

4  損害

(一) 治療費

全額自賠責保険および社会保険から支払いを受けた。

(二) 通院交通費 金三二万三八二〇円

〈1〉 昭和五八年八月九日から同年九月二一日までの通院分 金四万四四六〇円

〈2〉 昭和五八年九月二二日以降の西外科通院分 金一九万六八〇〇円

前記のとおり歩行障害があるので往復タクシーを利用した。

四八〇円×二×二〇五日=一九万六八〇〇円

〈3〉 神吉外科通院分 金八万二五六〇円

往復ともバスを利用した。

一六〇円×二×二五八日=八万二五六〇円

(三) 休業損害 金四〇四万三九二四円

原告は、本件事故当時古川産婦人科医院に見習看護婦として勤務していたが、本件事故による傷害のため事故の翌日から休業を余儀なくされ、同年一一月に解雇された。右休業期間中の給料は全額支給を受けなかつた。また、事故前は半年に金二〇万円を下らない賞与の支給を受けていたが、本件事故による休業により、昭和五八年下半期分の賞与の支給を受けなかつた。

本件事故による障害のため、現在に至るも再就職がかなわず、本年三月をもつて、被告側からの内払いが中止されて以来週に二回、病院の看護婦見習いのアルバイトをしている程度で、実質的には無収入の状況であるが、一応症状固定日までの分を休業損害として請求する。原告の本件事故前三か月平均の給料月額は金一五万五〇一九円であるので、これに年間賞与額金四〇万円を加算した金額により、事故の翌日から症状固定時までの二一・四七月につき休業損害を算出すると右のとおりである。

155,019円×12月+400,000円×21.47/12=4,043,924円

(四) 逸失利益 金一七五一万五五三〇円

原告は、昭和二一年八月六日生れの本件事故前は健康な女子であり同人の事故前の職種が立作業を伴う看護職であることからすると、前記後遺障害により控え目に見ても四五パーセントの労働能力を喪失した。

なお、原告の障害部位は、身体の荷重がかかる腰部、膝関節部であり、加齢とともに障害の程度が重くなることはあつても、軽快に向うことはありえないので、その労働能力喪失期間は終生である。

よつて、症状固定から就労可能年限である六七歳までの二八年間につき事故前の年収により、ホフマン式にて中間利息を控除して逸失利益を算出すると、次のとおりである。

155,019円×12月+400,000円(賞与)×45%×17.221=17,515,530円

(五) 慰謝料 金五五〇万円

(1) 傷害分 金一五〇万円

(2) 後遺障害分 金四〇〇万円

原告は、母子家庭であり、年少の子供を抱えて入院治療することもできず、被告の契約した任意保険会社から不定期に送金されて来る僅かばかりの内払金を頼りに、生活の不安に怯えつつ、二年近くも通院加療を続けてきたものである。一応症状固定したものの、立作業や長時間の歩行が困難であるうえに、悪天候時に襲つてくる頭痛、めまい等のため、終生の職と予定していた看護婦の職に復帰することが困難であり、半病人を雇つてくれる職場はなく、現在に至るも就職の目途がつかない状況である。

右膝関節部には常時コルセツトを装着していないと関節がぐらついて歩けないし、歩行時に腰から下肢にわたつて走る痛みのため、外出も自由にできず、日常生活面で受ける精神的苦痛も甚大である。原告の受けた傷害の部位、程度、治療経過、後遺障害の態様、程度等からするならば、慰謝料額は、それぞれ、右金員が相当である。

(六) 弁護士費用 金一二〇万円

5  損害の填補 金四三〇万八三六八円

自賠責後遺障害保険金二〇九万円を受領したほか、被告の任意保険から金二二一万八三六八円を受領したので、これを右損害額から控除する。

6  結論

よつて、原告は被告に対し、損害賠償として、金二四二七万四九〇六円および弁護士費用を除く金二三〇七万四九〇六円に対する本件事故発生日である昭和五八年八月九日から支払ずみまで、民事法定利率年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因第1項の事故発生の外形的事実は認める。但し、(5)の事故状況中被害車両が青信号に従つて東進中であつた旨の事実については不知。

2  同第2項については不知。

3  同第3項については認める。

4  同第4項の損害発生の事実は不知。

但し、(二)〈3〉の神吉外科通院費用は、原告住居と近隣のため歩行通院であり、通院交通費は要していない。

5  同第5項の事実は認める。ただし、損害填補額は、それ以上である。

三  被告の主張

1  事故現場は国道二号線住吉川橋上であり、同橋の西詰と東詰にそれぞれ信号機のある交差点が存する変則的で複雑な形状となつている。

被告は対面信号が黄色に変つたことを確認して、原告車も停止するものと考え、右折したところ衝突したものであり、被告車は右折専用車線で右折信号を出していたのであるから、原告も動静に注意すべき義務があり、これに違背したので、相応の過失相殺を求める。

2  原告は、その後遺障害について、膝関節の機能に障害を残すものとしてこれが自賠法施行令第二条別表第一二級七号に該当すると主張する。

しかし、原告の膝関節の運動可能領域は、左足につき「二〇度、一八〇度」、右足につき「五〇度、一八〇度」となつている。右別表第一二級七号にいう「一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの」というのは、関節の運動可能領域が健側の運動可能領域の四分の三以下に制限されているものをいう。原告の場合、健側は左足であり、その運動可能領域は、一八〇度と二〇度の差である一六〇度になるところ、その四分の三は一二〇度になる。障害を残す部位である右足の運動可能領域は、一八〇度と五〇度の差である一三〇度であつて、健側の運動可能領域の四分の三以下にはならず、右別表第一二級七号には該当しないものである。従つて、併合による第一一級にも該当しない。

3  原告に対する損害填補については、次のとおりである。

(1) 治療費 金一七九万四二三一円

(2) 通院費 金四万四四六〇円

(3) 休業補償 金二三九万五七二八円

(4) 自賠保険金 金二〇九万円

合計 金六三二万四四一九円

四  右主張に対する原告の認否

1  右主張第1、2項の事実は争う。

2  同第3項は、自白額以上のものは不知。

第三証拠

本件記録中の証拠関係目録に記載のとおりであるから、これを引用する。

理由

一  本件事故の発生

請求原因第1項の事実中、(5)の事故状況について「被害車両が青信号に従つて東進中であつた」との点を除き、その余の同項記載の事実は当事者間に争いがない(右「 」内については後記過失の項で認定する)。

二  責任事由

被告が加害車両の運行供用者であることは当事者間に争いがないから、被告は、自賠法三条により原告に対し、損害を賠償する義務がある。

三  損害

1  基本事実

(一)  原告の傷害の部位、程度

成立に争いのない甲第一号証、第五号証、第七号証、第九、一〇号証、第一二ないし第一五号証を総合すれば、原告は、本件事故により、顔面挫創、右大腿・右肘挫創、頭部外傷Ⅰ型、頸肩腕症候群、腰部挫傷を受傷し、その治療のため、(1) 昭和五八年八月九日西外科胃腸科病院に通院、(2) 同日から同年九月七日まで神戸市立中央市民病院に通院(実日数七日)、(3) 同年八月二九日から昭和五九年六月二二日まで西外科胃腸科病院に通院(実日数二〇七日)、(4) 同五九年八月二一日から同六〇年五月二二日まで神吉外科医院に通院(実日数二五八日)したことが認められる。

(二)  後遺障害の存在及びその程度

(1) 成立に争いのない甲第一六号証、乙第一号証(甲第一六号証と同一のもの)、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる乙第二号証、証人神吉英雄の証言を総合すれば、原告は、前記受傷により、むち打ち症の定型的な自覚症状である、頭痛、頸部痛、立ちくらみ、めまい、耳鳴りのほか、腰部、坐骨神経の放散痛、両肩関節痛、右膝関節の運動時の疼痛等があること、そして、その他覚的所見としては、頸部上に石灰沈着及び肩の弱化、右膝関節に不安定症状並びに補償の域に達しない運動制限が存在していること、右後遺障害は昭和六〇年五月二二日症状固定したことが認められる。

右認定事実によれば、原告は、本件事故により、頭部、頸部、右膝関節部に頑固な神経症状(昭和六〇年五月二二日固定)を残す後遺障害を残し、同障害は、自賠法施行令別表一二級一二号に該当するものというべきである。

(2) 原告は、右膝関節に機能障害を残していると主張する。

自賠法施行令第二条別表一二級七号所定の「下肢の三大関節の一関節の機能に障害を残すもの」というのは、その患側の関節の運動可能領域が健側の運動可能領域または生理的運動領域につき、その四分の三以下に制限されたものであるところ、正常な膝関節の生理的運動領域が一三五度ないし一四五度(伸展一八〇度、屈曲三五度ないし四五度)であることは公知の事実である。

これを本件についてみるに、前記甲第一六号証、乙第一号証、証人神吉英雄の証言によれば、原告の膝関節は、左足(健側)について伸展一八〇度、屈曲二〇度、その運動可能領域は一六〇度、右足(患側)について伸展一八〇度、屈曲五〇度、その運動領域は一三〇度であることが認められる。

そうすると、原告の場合、障害の存する右膝関節の運動可能領域は一三〇度であつて、その数値は、健側である左膝関節の運動可能領域一六〇度の四分の三である一二〇度以下でないことは勿論、前記生理的運動領域(一三五度ないし一四五度)の四分の三である一〇一度ないし一〇八度以下にもならないものであるから、右膝関節の機能に障害を残すものといえず、したがつて、前記別表一二級七号に該当しないものといわなければならない。

なお、原告の右膝関節障害(その運動可能領域は、健側のそれ、または生理的運動領域よりもやや狭い)は、右のとおり補償の域に達しないけれども、右障害に伴う右膝関節の運動時の疼痛は、前記一二級一二号の認定にしんしやくしていること前(1)項説示のとおりである。

(3) 成立に争いのない甲第一六号証、第二五号証、証人神吉英雄の証言によれば、労災の補償上、下肢に動揺関節があつて、固定装具の装着を必要とするものは、その必要性の程度に応じ後遺障害等級がふり分けられる場合のあること、原告の右膝関節に不安定性症状があること、そして、原告には、前記受傷の治療上、腰部にコルセツト、右膝関節にサポーターを着け、かつその装具をする必要のあつたことが認められる(原告本人の供述中には、右膝関節に常時コルセツトを着けている旨の部分があるけれども、証人神吉英雄の証言と対比してみても、また、前(2)認定の障害の程度からみてもその必要性に疑いが生じ、右供述部分を措信しない)。

しかるところ、腰部のコルセツトは、むち打ち症の治療上、頸椎、腰椎を固定するための装具であり、右膝関節のサポーターは固定装具でないものであることは論をまたない。

そうすると、原告の右膝関節に前認定のように不安定性症状があり、動揺関節といわれるものであつたとしても、サポーターの装具でたりるという程度であるから、その装具をもつて同関節の後遺障害等級を認定するに由なきものといわなければならない。

2  個別的損害

(一)  治療費 一七九万四二三一円

成立に争いのない乙第一八ないし第三六号証によれば、前記西外科胃腸科病院、神戸市立中央市民病院、神吉外科医院における治療に頭書金員を要したことが認められる。

(二)  通院交通費 三二万三八二〇円

原告本人尋問の結果、同結果により真正に成立したものと認められる甲第二三号証、成立に争いのない同第二四号証に弁論の全趣旨を総合すれば、原告は、前記病院、医院への交通費として頭書金員を要したことが認められる。

前掲各証拠によれば、右交通費には、タクシー代の含まれていることが明らかであるが、前1の(一)、(二)認定の受傷、後遺障害の程度及び前記甲第二四号証に示された原告自宅と医療機関との距離、交通事情に照せば、右タクシー利用もやむを得なかつたものと認められる。

(三)  休業損害 四〇四万三九二四円

原告本人尋問の結果、同結果によつて真正に成立したものと認められる甲第一七ないし第二二号証を総合すれば、原告(昭和二一年八月六日生)は、本件事故当時、古川産婦人科医院に見習看護婦として勤務し、給料月額一五万五〇一九円、年間賞与四〇万円を受けていたことが認められる。

本件事故の翌日である昭和五八年八月一〇日から症状固定の同六〇年五月二二日までの二一・四七か月は、前記受傷により労務に服せなかつたものと認めるを相当とし、その休業損害を算定すれば、頭書金員となる。

155,019×12+400,000×21.47/12=4,043,924

(四)  逸失利益 一一二万七八五八円

原告の後遺障害は前示のとおり一二級であるから、その労働能力喪失率は一四パーセント、同喪失期間は四年(これに対応するホフマン係数三・五六四三)として、逸失利益を算出すれば、頭書金員となる。

155,019×12+400,000×0.14×3.5643=1,127,858

(五)  慰謝料 三五九万円

内訳

通院 一五〇万円

後遺障害 二〇九万円

原告は、これら慰謝料に関し、るる主張するけれども、その主張事実を考慮しても、前示一二級後遺症認定の下においては、右の慰謝料額をもつて相当と認める。

(六)  以上(一)ないし(五)の合計は一〇八七万九八三三円となる。

四  過失相殺

1  請求原因第1項の事実中、当事者間に争いがない事実、成立に争いのない乙第五ないし第七号証、原告、被告本人尋問の結果を総合すれば、(一) 本件事故現場は国道二号線住吉川橋上であり、同橋の東詰と西詰とにそれぞれ信号機の設置された交差点があること、(二) 被告は、本件事故当時、加害車両(自動二輪車)を運転して右国道二号線を東から西進し、前記東詰交差点で右折すべく、同交差点に入るまでは右折車線を進行していたこと、(三) そして、被告は、同交差点手前にきたとき、東西の信号が青色であつたので、右折の合図をして同交差点に右折北進し、同交差点内で西から東に向う何台かの車両の通過待ちのため一時停止をしたこと、(四) 被告は、一団の車両が通過したとき、東西の信号が黄色に変つたことを知り、発進を開始したが、その際、左方の安全を確認せず、すなわち、左方約二〇メートルの発見可能地点内に原告運転の被害車両(原動機付自転車)が東進してきているのにかかわらず、これに気づかず、漫然、時速約一〇キロメートルないし一二キロメートルで右折を継続し、衝突地点直近で被害車両の接近に気づくも、時おそく、同車両に加害車両左側部を衝突させて原告を路上に転倒させたこと、(五) 一方、原告は、本件事故当時、被害車両を運転して時速約二五キロメートルで前記国道二号線を東進し、前記西詰交差点で対面信号が青色であつたのでそのまま進行したこと、(六) そして、原告は、同交差点通過後、間もなく右斜め前方二〇メートルの地点内において、前(三)のとおり右折の加害車両が一時停止しているのに、これに気づかず、しかも、東詰交差点手前まで進行したとき、同交差点の対面信号が黄色に変つたのを知りながら、漫然、前記速度のまま同交差点を直進し、被告と同様、衝突地点直近になつて加害車両に気づき、同車と衝突してしまつたこと、以上の事実が認められ、これに反する証拠はない。

2  前記各認定事実を総合すれば、本件事故は、被告において、東詰交差点内で黄信号により右折をした際、原告においては西詰交差点を通過中及び黄信号で東詰交差点を進入した際、いずれも、原、被告双方の前方不注視、左右の安全確認を怠つた過失により発生したものであることが明らかであり、その過失割合は、被告七〇パーセント、原告三〇パーセントと認定するのが相当である。

3  前三の(四)項認定の損害額から原告の右過失割合を控除すると、残損害は七六一万五八八三円となる。

10,879,833×0.7=7,615,883

五  損害てん補

原告が自賠責保険から二〇九万円を受領したことは当事者間に争いがない。

成立に争いがない乙第三七ないし第五八号証によれば、被告は、本件事故につき、治療費一七九万四二三一円、通院費四万四四六〇円、休業補償費二三九万五七二八円を支払つたことが認められる。

被告側の以上述べた損害のてん補額合計は六三二万四四一九円となり、前四項の残損害額から右てん補額を控除すれば、残損害は一二九万一四六四円となる。

六  弁護士費用 一三万円

五項の残損害との合計は一四二万一四六四円となる。

七  むすび

以上の次第で、原告の本訴請求中、損害賠償金一四二万一四六四円及びこれに対する昭和五八年八月九日から完済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で正当として認容すべきも、その余は失当として棄却を免れない。

よつて、訴訟費用の負担について民訴法八九条、九二条を、仮執行の宣言について同法一九六条を各適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 広岡保)

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