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福岡地方裁判所大牟田支部 昭和60年(ワ)124号 判決

原告(反訴被告)

田中一行

被告(反訴原告)

小林進

被告

小林光代

主文

1  被告ら(被告小林進は反訴原告)はそれぞれ原告(反訴被告)に対し五五万〇四六七円宛およびこれに対する昭和五九年一〇月一八日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

2  原告(反訴被告)は被告(反訴原告)小林進に対し三七万〇三八五円およびこれに対する昭和五九年一〇月一八日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

3  原告(反訴被告)のその余の本訴請求および被告(反訴原告)小林進のその余の反訴請求をいずれも棄却する。

4  訴訟費用中、本訴について生じたものはこれを三分し、その一を原告(反訴被告)の、その二を被告ら(被告小林進は反訴原告)の各負担とし、反訴について生じたものはこれを三分し、その二を原告(反訴被告)の、その一を被告(反訴原告)小林進の各負担とする。

事実

一  申立

原告(反訴被告、以下原告という)は本訴につき「被告ら(被告進は反訴原告、以下被告らあるいは被告進等という)は原告に対し一六八万九九〇〇円およびこれに対する昭和五九年一〇月一八日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は被告らの負担とする。」との判決および仮執行の宣言を求め、反訴につき「被告進の請求を棄却する。訴訟費用は被告進の負担とする。」との判決を求め、

被告らは本訴につき「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を求め、被告進は反訴につき「原告は被告進に対し五三万一九七九円およびこれに対する昭和五九年一〇月一八日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決および仮執行の宣言を求めた。

二  原告の主張

1  小林泰輔は昭和五九年一〇月一八日午前五時一〇分ころ、普通乗用自動車(佐五六す九九三五)を運転して佐賀県三養基郡中原町大字原古賀字東寒水七一一七番地先交差点に差しかかつた際、進行方向の信号が赤であつたにもかかわらずこれを無視して猛スピードで右交差点に突入し、折から同交差点を進行中の原告運転の大型貨物自動車(久留米一一や二一一)に衝突した。

原告は右事故により少なくとも次の損害を蒙つた。

(一)  修理代 六七万五〇〇〇円

(二)  ダンプチヤーター料等 八六万四九〇〇円

(三)  弁護士費用 一五万円

右の合計は一六八万九九〇〇円となる。

小林泰輔は右事故により右同日死亡した。

被告進は泰輔の父、被告光代は泰輔の母であり、被告らは泰輔の権利義務を承継した。

よつて原告は被告らに対し不法行為による損害賠償請求権に基づき右の損害額一六八万九九〇〇円およびこれに対する本件事故の日の昭和五九年一〇月一八日から支払ずみまで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

2  本件事故は、黄色の点滅信号と赤色の点滅信号で規制されている交差点での出合頭の衝突事故であるが、泰輔運転車両の進行方向の信号は赤色の点滅信号であつたのであるから一時停止して左右の安全を確認して通過しなければならない注意義務があるのにこれを怠つて本件事故を惹起したものであり、原告の過失は二割に過ぎない。

被告進が泰輔運転車両の所有者であることは認めるが、原告には同被告の損害を賠償すべき義務はない。

三  被告らの主張

原告主張の事実中、泰輔が原告主張のころ、その主張の自動車を運転してその主張の交差点に差しかかつたこと、泰輔が本件事故により事故当日死亡したこと、被告進が泰輔の父であり、被告光代が泰輔の母であることは認め、その余の点は争う。

原告は泰輔運転車両が原告運転車両に衝突したかのように主張するが、それはむしろ逆で原告運転車両が泰輔運転車両に衝突してきたものである。

被告進は本件事故により同被告所有の普通乗用自動車(佐五六す九九三五)につき後記損害を蒙つた。

原告は本件事故現場交差点に進入するにあたり、左方(東方)より泰輔運転車両が同交差点に進入しようとしている点の確認を怠り、かつ徐行義務にも違反したまま漫然と同交差点に進入した過失により本件事故を惹起したものである。

特に原告運転車両のような大型貨物自動車については、普通乗用自動車と異なり危険性が大であるため、より大きな注意義務がある。泰輔にも過失がないとはいえないが、それとて五〇%と考えられる。

被告進は本件事故によりその所有する前記普通乗用自動車の車両等に関し次の損害を蒙つた。

(一)  車両全損分 八一万四九五八円

(二)  カーコンポステレオ全損分 一四万九〇〇〇円

右の合計は九六万三九五八円となるが、泰輔にも五〇%の過失があるので原告が負担すべき額は四八万一九七九円となる。

本件において原告が負担すべき弁護士費用は五万円とするのが相当である。

よつて被告進は原告に対し反訴として不法行為による損害賠償請求権に基づき右の合計五三万一九七九円およびこれに対する本件事故の日の昭和五九年一〇月一八日から支払ずみまで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

四  証拠

記録中の書証目録、証人等目録記載のとおりであるからこれを引用する。

理由

小林泰輔が昭和五九年一〇月一八日午前五時一〇分ころ、被告進所有の普通乗用自動車(佐五六す九九三五)を運転して佐賀県三養基郡中原町大字原古賀字東寒水七一一七番地先交差点に差しかかつたことは当事者間に争いがない。

右争いのない事実と成立に争いのない甲第二号証の一ないし一四、原告本人、被告進本人の各供述、弁論の全趣旨を総合すると、泰輔は昭和五九年一〇月一八日午前五時一〇分ころ被告進所有の普通乗用自動車(佐五六す九九三五)を運転して佐賀県三養基郡中原町大字原古賀字東寒水七一一七番地先交差点に東側から西側に向かつて差しかかつたこと、同時刻ころ原告が同交差点に原告所有の大型貨物自動車(久留米一一や二一一)を運転して北側から南側に向かつて差しかかつたこと、泰輔運転車両の進行方向は赤色の点滅信号であり、原告運転車両の進行方向は黄色の点滅信号であつたが、泰輔は一時停止することなく同交差点を通過しようとし、原告は徐行することなく同交差点を通過しようとしてそれぞれ同交差点に進入したため、両車両は同交差点内において衝突し、原告所有の大型貨物自動車は大破し、被告進所有の普通乗用自動車は全損の状態となり、同車に積載された被告進所有のカーコンポステレオも全損の状態となつたことを認めることができる。

右認定の事実によれば、本件事故の発生につき原告および泰輔の双方に過失があり、その過失割合は原告三五%、泰輔六五%とするのが相当である。

従つて原告と泰輔とはそれぞれ相手方が蒙つた損害を賠償すべき義務があることになる。

泰輔が昭和五九年一〇月一八日本件事故により死亡したこと、被告両名がその父母であることは当事者間に争いがないから、被告両名は原告が本件事故により蒙つた損害を賠償すべき義務がある。

原告が蒙つた損害について検討する。

(一)  修理代 六七万五〇〇〇円

原告本人の供述、同供述により真正に成立したものと認められる甲第四号証の一・二によると、原告はその所有する大型貨物自動車の修理代として合計六七万五〇〇〇円を要し同額の損害を蒙つたことを認めることができる。

(二)  ダンプチヤーター料等 八六万四九〇〇円

証人田中安子の供述、同供述により真正に成立したものと認められる甲第一五号証の五、第一六号証の三、第二〇号証の二、原告本人の供述、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる甲第一五号証の七、第一七号証の二・四、第一九号証の二を総合すると、原告はその所有する大型貨物自動車が大破したため昭和五九年一〇月一九日から同年一二月二〇日までの間その代車を必要とし、その費用として合計八六万四九〇〇円を要したことを認めることができる。

原告が蒙つた損害は右のとおり合計一五三万九九〇〇円となるところ、前記のとおり原告にも過失があるので被告らが負担すべき額は一〇〇万〇九三五円となる。

本件において被告らが負担すべき弁護士費用は一〇万円とするのが相当である。

従つて被告らはそれぞれ原告に対し本件損害賠償として五五万〇四六七円宛およびこれに対する昭和五九年一〇月一八日から支払ずみまで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金を支払うべき義務があることになる。

被告進が蒙つた損害について検討する。

(一)  車両全損分 八一万四九五八円

成立に争いのない乙第一号証の一ないし三、被告進本人の供述によると、同被告所有の普通乗用自動車が全損したことにより同被告は八一万四九五八円の損害を蒙つたことが認められる。

(二)  カーコンポステレオ全損分 一四万九〇〇〇円

成立に争いのない乙第二号証、被告進本人の供述によると、同被告は前記普通乗用自動車に積載していたカーコンポステレオが全損したことにより一四万九〇〇〇円の損害を蒙つたことが認められる。

被告進が蒙つた損害は右のとおり合計九六万三九五八円となるところ、前記のとおり泰輔にも過失があるので原告が負担すべき額は三三万七三八五円となる。

本件において原告が負担すべき弁護士費用は三万三〇〇〇円とするのが相当である。

従つて原告は被告進に対し本件損害賠償として三七万〇三八五円およびこれに対する昭和五九年一〇月一八日から支払ずみまで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金を支払うべき義務があることになる。

よつて原告の本訴請求中前記の限度で正当として認容し、その余は失当として棄却し、被告進の反訴請求中前記の限度で正当として認容し、その余は失当として棄却し、民訴法九二条、九三条を適用し、仮執行宣言は付さないこととし、主文のとおり判決する。

(裁判官 糟谷邦彦)

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