大判例

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福岡高等裁判所 平成8年(ラ)204号 決定

②事件

抗告人(債権者)

株式会社シティズ

代表者代表取締役

谷﨑眞一

相手方(債務者)

丸山末男

第三債務者

株式会社木村建設運輸

代表者代表取締役

木村修一

主文

本件抗告を棄却する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

1  本件抗告の趣旨および理由

抗告人は、「原決定中、抗告人の申立てを却下した部分を取り消す。原決定主文第一項中、『別紙請求債権目録一』とあるのを『別紙請求債権目録二』と、『別紙差押債権目録一』とあるのを『別紙差押債権目録二』とそれぞれ変更する。」との裁判を求め、その理由として、別紙のとおり主張する。

2  当裁判所の判断

(一)  一件記録によれば、抗告人は、相手方に対する福岡簡易裁判所平成八年(ハ)第四〇七五号貸金請求事件の判決の執行力のある正本に基づき、原決定添付の別紙請求債権目録二記載の債権を請求債権、相手方の第三債務者に対する同差押債権目録二記載の債権を差押債権として債権の差押えを申し立てたが、原審は、同請求債権目録一記載の債権(すなわち、同請求債権目録二記載の債権のうち元金及び執行費用のほか、元金に対する原決定発令日までの損害金合計二一五万六〇八八円)の限度で差押命令を発付し、その余の申立てを却下したことが認められる。

(二)  当裁判所も上記の限度で差押命令を発付すべきものと判断するが、その理由は、次のとおり訂正するほかは、原決定の理由と同一であるから、これを引用する。

(1)  原決定の別紙理由中の「第二当裁判所の判断」の欄の一項を「民事執行法三〇条一項によると、請求が確定期限の到来に係る場合においては、強制執行は、その期限の到来後に限り開始することができることとされている。もっとも、不動産執行や、継続的給付に係らない金銭債権の執行については、基本的には、一回の配当によりこれが完了するところから、基本とる請求債権について履行期が到来している以上、これに附帯する遅延損害金債権等については、右強制執行開始時においてその履行期が到来していなくとも、配当時に履行期が到来するものについてこれを執行債権に含めるのが合理的である」に改める。

(2)  同三項を「ただ、このように解しても、後に、債権者が、先の差押命令発令日後に履行期の到来する附帯請求債権について、別途、これを請求債権(執行債権)として強制執行を申し立てることを妨げるものではなく、この場合、先の執行により受領済みの配当金は、法定充当の方法により、元本に優先して後の差押命令発令日までの附帯請求債権に充当されることとなるため、前にされた充当計算を改める必要が生じることになるが、その計算は、第一次的には、債権者が後の強制執行の申立てに際して行なうべきものである。このように解すれば、債権者にとって実体上の権利の完全な実現が可能となる一方、第三債務者としても複雑な計算関係から解放されることになり、公平にも合致することとなる。」に改める。

3  よって、本件抗告は理由がないから棄却することとし、民事執行法二〇条、民事訴訟法四一四条、三八四条、九五条、八九条の各規定を適用して、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 山口忍 裁判官 宮良允道 裁判官 西謙二)

別紙〈省略〉

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