大判例

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福岡高等裁判所 昭和25年(う)741号 判決

被告人

平山芳夫

主文

本件控訴を棄却する。

当審における未決勾留日数中、四拾日を本刑に算入する。

理由

弁護人下尾栄の控訴趣意第一点について。

刑法第二百四十六條第二項の不法利得罪は、犯人のした欺罔行為の結果債権者をして債務支拂の免除、或は支拂延期の承諾の意思を表示させる等、財産上の処分を為さしめることによつて外見的に法律上の利益を得た場合は勿論、欺罔の手段を施し、因つて債権者を錯誤に陥れた結果、事実上当然受くべき支拂請求を一時にもせよ免かれた場合をも包含するものと解するのを相当とする。

所論原判示第四の事実は措辞簡略でその意をつくさない憾みがあるけれども、右の事実をその挙示した証拠についてみると、被告人は判示日時、判示自転車商の池上博三郎方に行き、確たる代金支拂の見込みがないのに同人から二十六吋朝日号自転車一台を附属品とも代金二万円として一回五千円拂の四ケ月割賦拂契約で買い受けることとし、昭和二十四年十二月二十一日第一回割賦金五千円を支拂つて右自転車一台を買い受けたがその後、右池上から残金支拂の請求をうくるや被告人において愈々代金完済の見込みもたたず且つ支拂能力もないのに、恰もこれあるもののように装つてただその支拂の猶予を乞い、同人をしてその旨誤信させて残代金の支拂をしないうち、昭和二十五年一月十七日遂にその所在をくらませて因つて一時、残代金一万五千円の支拂を免かれ以つて、右金額相当の財産上不法の利益を得たものであるとの事実を肯認することができるし、原判決も亦その趣旨を判示したものであることが明らかであるから被告人の右所為は前段説示したところにより刑法に所謂詐欺利得罪を構成するものといわねばならない。

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