大判例

20世紀の現憲法下の判例を掲載しています

福島家庭裁判所 昭和46年(少)802号 決定

少年 T・R(昭二九・六・一生)

主文

少年を中等少年院に送致する。

押収にかかる自動車運転免許証一冊(昭和四六年押第三九号の一)は被害者藤原次男に、椅子掛け一個(同押号の二)は被害者氏名不詳にそれぞれ還付する。

少年が昭和四六年一〇月下旬午後一一時三〇分頃、福島市飯坂町○○○○××番地○煙○店付近路上で同所に駐車中の車から、所有者不詳の現金二、〇〇〇円在中の財布一個及び同年一一月三〇日午後六時三〇分頃、同市同町○○○○××番地○竹キ○方前路上で、同所に駐車中の車から、所有者不詳の現金一、二〇〇円を各窃取した点は処分しない。

理由

一  非行事実

少年は、

(1)  昭和四六年四月三日午後七時頃、福島市飯坂町○○○○××番地の×○山○三方前で、同人所有の自転車一台金一〇、〇〇〇円相当を窃取し、

(2)  同年七月初旬頃午後七時三〇分頃、同市同町○○○○××番地の×先路上で、同所に駐車中の車から、所有者不詳所有の椅子掛け一個(昭和四六年押第三九号の二)を窃取し、

(3)  同年八月中旬頃午後七時三〇分頃、同市○○○××番地○竹○知○方裏で、同所に駐車中の車から、○内○助所有の座布団一枚金五〇〇円相当を窃取し、

(4)  同月下旬頃午後七時頃、同市同町○○○○××番地佐○キ○方前で同所に駐車中の車から○竹○美所有の座布団一枚金五〇〇円相当を窃取し、

(5)  同年九月末頃午後一一時三〇分頃、同市同町○○○○○××番地○部○設株式会社車庫前で、同所に駐車中の車から、○場○男所有の人形一個外三点合計金一、二五〇円相当を窃取し、

(6)  同年一〇月中旬頃午後一一時三〇分頃、上記(3)記載の○竹方裏で、同所に駐車中の車から、同人所有の飾りもの一個金二五〇円相当を窃取し、

(7)  同月中旬頃午後一〇時三〇分頃、同市同町○○○○○○×番地○藤○す○方前で、同所に駐車中の車から、同人所有の林檎一籠金五〇〇円相当を窃取し、

(8)  同月下旬頃午後四時三〇分頃、同市同町○○○○○○××番地○部○男方で、同人管理の背広上衣一着金七、〇〇〇円相当を窃取し、

(9)  同月下旬頃午後五時三〇分頃、上記(5)記載の○部○設車庫で、○部○平所有のキーホルダー一個外四点合計金一、九〇〇円相当を窃取し、

(10)  同年一一月四日午後二時三〇分頃、同市同町○○○○○○××番地○村○気○店前で、同所に駐車中の車から、○出○治所有の自動車鍵一個金五〇〇円相当を窃取し、

(11)  同月六日頃午後一一時三〇分頃、同市同町○○○○××番地た○ば○別○前で、○辺○信所有の自転車一台金二〇、〇〇〇円相当を窃取し、

(12)  同月八日午後一一時三〇分頃同市同町○○○××番地○藤○枝方広場で、同所に駐車中の車から、同人所有の飾りもの三個外一点、合計金一、三五〇円相当を窃取し、

(13)  同日午後一一時三〇分頃、同市同町○○○××番地○伴駐車場で、同所に駐車中の車から、○野○助所有の飾りもの四個外二点合計金三、三〇〇円相当を窃取し、

(14)  同月上旬頃午後一一時三〇分頃、同市同町○○○○××番地○田○ツ○ー○ト○飯○店前で、○口○明所有の自転車一台金五、〇〇〇円相当を窃取し、

(15)  同月上旬頃午後七時三〇分頃、同市同町○○○○××番地○野○夫方前で、同所に駐車中の車から、同人所有の飾りもの一個金五〇〇円相当を窃取し、

(16)  同月上旬頃午後五時一〇分頃、同市同町○○○○×番地○野小学校脇で、同所に駐車中の車から○坂○五所有の自動車鍵一個外一点合計金一、三〇〇円相当を窃取し、

(17)  同月一三日午後六時一五分頃、上記(1)記載の○山方前で、同所に駐車中の車から、○山○男所有の現金約三、〇〇〇円在中の財布一個、金一〇〇円相当を窃取し、

(18)  同月中旬頃午後六時頃、同市同町○○○○×番地○野○夫方前で、同所に駐車中の車から、同人所有の現金二、〇〇〇円在中の財布一個金三〇〇円相当を窃取し、

(19)  同月中旬頃午後四時三〇分頃、同市同町○○○○○××番地○上○ン方で、同人所有の現金一〇、〇〇〇円を窃取し、

(20)  同月中旬頃午後二時頃、同市同町○○○○××番地○衆○場○綱○で、○山○ン所有の現金五〇〇円を窃取し、

(21)  同月一九日午後二時頃、上記(1)記載の○山方で同人所有の現金一〇、〇〇〇円を窃取し、

(22)  同月二三日午後一一時三〇分頃、同市同町○○○○××番地の×○野○男方前で、同所に駐車中の車から○達○忠所有のカセットテープレコーダー一台外二点合計金二二、〇〇〇円相当を窃取し、

(23)  同月二七日午後九時頃、同市同町○○○○××番地の×アパート入口で、同所に駐車中の車から、○友○孝所有のガソリン約四リットル金二二〇円相当を窃取し、

(24)  同月下旬頃午後五時三〇分頃、上記(5)記載の阿○建○車庫で、○藤○治所有の自動車鍵一個外一点合計金八〇〇円相当を窃取し、

(25)  同月下旬頃午後五時三〇分頃、同市同町○○○○○××番地の×○野○屋駐車場で、刀○谷○雄所有の自動車鍵一個金五〇〇円相当を窃取し、

(26)  同月下旬頃午後二時頃、上記(20)記載の○山方で、同人所有の現金、金五〇〇円を窃取し、

(27)  同月下旬頃午後四時三〇分頃、上記(19)記載の○上方で、同人所有の現金五、〇〇〇円を窃取し、

(28)  同月下旬頃午後五時頃、同市同町○○○○×番地の×号駐車場で、○月○太郎所有のドライバー一本金二〇〇円相当を窃取し、

(29)  同月下旬頃午後六時頃、同市同町○○○○○○○○○○○○で、同所に駐車中の車から、○村○所有のガソリン約二リットル金一一〇円相当を窃取し、

(30)  同年一二月一日午後二時頃、上記(1)記載の○山方で、同人所有の現金四、〇〇〇〇円を窃取し、

(31)  同月五日午後六時頃、上記(23)記載のアパート入口で、同所に駐車中の車から、○友○孝所有のガソリン約四リットル金二二〇円相当を窃取し、

(32)  同月上旬頃午後零時三〇分頃、同行同町○○○○○○××番地○沼○郎方で、カセットテープ二巻合計金一、一三〇円相当を窃取し、

(33)  同月一〇日頃午後四時三〇分頃、同市同町○○○○○○×番地内で同所に駐車中の車から○平○雄所有のみかん五個合計金一〇〇円相当を窃取し、

(34)  同月一一日午後四時三〇分頃、同市同町○○○○○○×番地○井○方で同人所有の背広上下一着金三五、〇〇〇円相当を窃取し、

(35)  同月一一日午後四時三〇分頃、同市同町○○○○○○×番地○木○し○方で、同人所有の現金約五、〇〇〇円を窃取し、

(36)  同月一四日午後八時三〇分頃、同市同町○○○○○○×番地○坂○泉○場前で、同所に駐車中の車から、○藤○尾所有の現金約七、五〇〇円在中の財布一個外一点合計金一、〇〇〇円相当を窃取し、

(37)  同月一五日午後九時頃、同市同町○○○××番地○人○呂○衣○で○原○男所有の現金約二、五〇〇円及び自動車運転免許証一通(昭和四六年押第三九号の一)を窃取し、

(38)  同月二日午後二時頃、故なく、上記(1)記載の○山方居宅に侵入したものである。

2 法令の適用

窃盗につき刑法第二三五条

住居侵入につき刑法第一三〇条罰金等臨時措置法第二条第三条

3 処遇の理由

少年は、先に、窃盗、強姦未遂、軽犯罪法違反、道路交通法違反等保護事件で、不処分四回、保護観察一回の決定を受けているものであるところ、更に、本件非行に及んだものであるが、意思欠如性と即行性とを中核とした未成熟性格で、行動に一貫性を欠き、軽佻浮薄で、規範意識がなく、自分の行動の結果についても無関心の上、中学二年頃から窃盗の非行をなすなど、非行性が根深く、生活態度も依存的、無気力で、小遣銭に窮したり、興味本位から、本件の如く短日時内に多数の非行を繰り返したりして、全く稼働意識がみられず、保護観察中の成績も悪く、家庭環境も、父の女性問題で、両親が離婚したため、母の保護下にあるが、母も有職のこともあつて、少年の善導に持て余し気味なので、この際、中等少年院に送致し、上記性格を矯正し、社会適応能力を涵養して社会に復帰させるのが相当である。

よつて、中等少年院送致につき、少年法第二四条第一項第三号少年審判規則第三七条第一項、被害者還付につき刑事訴訟法第三四七条第一項を適用し、主文の通り決定した。

4 尚、少年が(1)昭和四六年一〇月下旬午後一一時三〇分頃、福島市飯坂町○○○○××番地○煙○店付近路上で、同所に駐車中の車から、所有者不詳の現金二、〇〇〇円在中の財布一個、(2)同年一一月三〇日午後六時三〇分頃、同市同町○○○○××番地○竹○ミ方前路上で、同所に駐車中の車から、所有者不詳の現金一、二〇〇円を各窃取した点については、少年の当審判廷における供述と少年の司法警察員に対する供述調書の外これを認めるに足る補強証拠がない。

然るところ、少年法においては、非行事実の認定につき、補強証拠を必要とする旨の規定がないが、刑事事件において、自白の真実性の担保と誤犯防止の目的で補強証拠を必要とする理由は、少年保護事件においても、非行事実を認定し、少年の要保護性に応じたその肉体的、精神的拘束を内容とする保護処分をなすものである以上、刑事事件におけると同様に、少年保護事件においても必要とし、従つて、補強証拠を必要とする理念は少年法にも当然適用されるのが相当であると解すべきである。

従つて、上記所有者不詳から窃取した点は、犯罪の証明がないことになるので、この点につき、少年法第二三条第二項に則つて不処分にすべきものとする。

よつて、主文の通り決定した。

(裁判官 早坂弘)

「大判例」は20世紀で日本国憲法下の裁判例のうち,公刊物に掲載されたものをまとめたインターネット判例集です。原則として公刊されたものをそのまま載せています。

憲法により判決は公開とされており,法曹および法律研究者に利用されているものです。その公共性と平等主義の観点から,送信防止措置または改変には一切応じませんのでご了承ください。

©daihanrei.com