大判例

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秋田地方裁判所大館支部 昭和36年(ケ)90号 決定

債権者 秋田ダイハツ販売株式会社

債務者 椿谷良蔵

主文

本件競売申立は、これを却下する。

理由

職権を以て調査するに、本件申立は登録自動車について抵当権の実行を求めるものであるが、申立書に添付された秋田県知事作成の自動車登録原簿謄本によれば、別紙物件目録記載の自動車については、既に滞納処分による差押登録がなされていることが認められるのであつて、登録自動車については滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律(同法律第二条参照)の適用はないと言うべきであるから、このような場合に、更に裁判所が任意競売手続の開始決定をなしうるか否かは理論によつて解決しなければならない訳であるが、強制競売においては、後日先行の滞納処分が解除されたとき債務者の財産処分を防ぎ、後行の強制競売手続を直ちに追行することができて債権者の強制競売の目的が達成されることになるという意味で、先行の滞納処分手続を阻害しない限度で更に強制競売手続を認める必要があるとも言い得ようが、抵当権実行のための任意競売手続においては強制競売におけると同様の必要性があるとは認められない。しかして、登録自動車に対する任意競売手続については、既に滞納処分による手続が開始されているにかゝわらず、更に競売開始決定をなすことを肯認するに足る必要性は認められないから、かゝる場合に重複差押を許す法の規定の存しない現在においては競売開始決定はこれをなし得ないものと言わねばならない。以上の理由で、結局本件申立は不適法であるからこれを却下することゝし、主文のとおり決定する。

(裁判官 山田忠治)

債権目録

一、金二一万〇四七九円也及びこれに対する昭和三五年一二月六日から完済まで日歩九銭の割合による遅延損害金。

右は債権者が債務者に対し昭和三五年八月二四日売渡した小型貨物自動車一台分の代金三二万〇四七九円也の内受取残額で支払方法は契約と同時に内金五万円、昭和三五年一〇月より同年一二月まで毎月五日に各三万円宛同三六年一月より同年三月まで毎月五日に各五〇〇〇円宛同年四月五日に二万円、同年五月より同年九月まで毎月五日に二万五〇〇〇円宛、同年一〇月五日に二万〇四七九円。

但し右月賦金の支払いを一回でも怠つたときは月賦弁済の利益を失い残額一時に支払い且つ日歩九銭の割合による遅延損害金を支払う約定あるもの。

目録

一、車名、型式及形状

車名 ダイハツ号

型式 RKO10T、1958年式

形状 普通型貨物

二、車台番号

58、RKO10T、244562

三、原動機の型式

GOA

四、自動車登録番号

秋6す4287

五、自動車検査証番号

6す4287

六、使用本拠の位置

大館市字二本杉前三九一

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