大判例

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長崎家庭裁判所 昭和46年(少ハ)5号 決定

少年 T・I(昭二六・四・四生)

主文

本件収容継続申請を却下する。

理由

少年は昭和四五年一一月二日当裁判所において銃砲刀剣類所持等取締法違反保護事件により中等少年院送致決定をうけて同月五日人吉農芸学院に収容され、その後同学院院長により少年院法一一条一項但書に基づいて昭和四六年一一月一日まで収容が継続されるに至つたものである。

本件申請の理由は、少年は同年八月一日一級上に進級したが、一級上の期間を三ヶ月半としている関係で出院は同年一一月一六日ころが適当であり、他在院生との均衡上も右措置が妥当であり、小さな刺激で常規を逸し易い傾向が十分矯正されていず、養父母の家庭であることなどから保護観察の期間も必要である、というにある。

本件調査の結果によれば、少年は入院以来これといつた事故もなくて現在に至り、同年六月一八日には六ヶ月間個人無事故賞さえ受けている。ただ一つ目立つのは、成績点不良ということで、同年七月一六日進級保留となつた点である。これは、職員に対してふて腐れた態度をとり、寮内での動作が消極的で動きがにぶく、新しい者にハッタリ的言動がみられたことが原因というにある。しかし、幸本人の自重もあつて半月ほど後の前記八月一日には一級上に昇進し、その後順調にきており、現在は人としやべらず、とけこもうとしなかつた点や、過去に行動が尻軽であつた点を反省し、退院後は、父と一緒に配管工としてまじめに働くことを誓つている。以上よりすれば、満期退院を許さないほど犯罪的傾向が矯正除去されていないとはいえず、他在院者との均衡を理由に、退院を半月延ばすことも妥当とは思われない。

また、保護者は養父母であるとはいえ、少年の退院を大いに待ち望み、手紙のやりとりもちやんとやつている。養父は、同年七月二二日より○○町の○一建設に仕事を変り、少年の雇傭についても同社の了解を得ている。従つて、在院者も退院時には既に約二〇歳と七ヶ月に達していることおよび前記少年の決意等を合せ考えるならば、退院後も家庭による観護と本人の自主性に期待するをもつて十分と思われる。

さすれば、三ヶ月の収容継続を求める本件申請は理由がないものとして却下することとし、主文のとおり決定する。

(裁判官 東条宏)

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