大判例

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長崎家庭裁判所 昭和46年(少ハ)6号 決定

少年 Z・A(昭二六・一一・八生)

主文

本件収容継続申請を却下する。

理由

少年は昭和四五年一〇月二七日当裁判所において窃盗保護事件により中等少年院送致決定をうけて同月三〇日人吉農芸学院に収容されて現在に至り、昭和四六年一一月八日には満二〇歳に達するものである。

本件申請の理由は要するに、満期退院のときは一級上の教育期間が三ヶ月半に満たず、集団処遇上他院生との均衡がとれず、また本人は自律性が乏しいため即行性、雷同性からの失敗が予想されるほか、若干の保護観察の期間も必要である、というにある。

本件調査の結果によれば、同年一月一五日ころに他三人の少年と逃走計画を話し合つて同月二〇日に一五日の護慎処分を受けたため昇進が遅れ、同年八月一六日に一級上に進級し、最近は退院間近のためか少し気がゆるんで職員からしばしば注意を受けているとの事実がうかがわれる。

しかし、右逃走計画は他の少年が計画しているのを知つて追ずいしたにすぎず、計画も話し合つただけで実行に着手しないまま本人が予科から本科に編入したこともあつて立消えとなつており、処分もすんで本人も深く反省しているし、同年四月一日より建設機械科に編入され、同年七月五日大型特殊免許を取得し、同月二三日これにより技能賞を受賞し、現在、同室者とは仲が良く、週四回の実習もまじめに受け、これといつた事故も見当らず、これまでの院生活から主体性も加わつたように思われ、満期日退院を妨げる理由はとくにないというべきである。(一級上の期間も一率に三ヶ月半としなければならない理由は必ずしもなく少年自身の犯罪的傾向が矯正されたか否かを中心に考えるべきである)

次に、保護観察の必要性についてであるが、本件申請の審判時、実父自ら出頭して少年を励ますとともに、出院後自己の勤める○○産業入社の話もつけてきているし、少年も父の意にそつてブルドーザーの運転手として働くことを誓い、保護司の世話にならずやれると述べ、雑役夫をしている母親も少年の更生に関心をよせて同年六月少年に面会に来ていることが認められ、これよりすれば、退院後も家庭の観護と本人の自主性に期待するをもつて十分と思われる。

以上よりすれば、本件申請の理由はいずれも疏明あるとはいえず、他に収容を継続する理由を見出すことはできない。

よつて、四ヶ月間の収容継続を求める本件申請を却下することとし、主文のとおり決定する。

(裁判官 東条宏)

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