大判例

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長野地方裁判所 昭和40年(ワ)190号 判決

主文

被告は原告に対し金五〇万円の支払をせよ。

訴訟費用は原告と被告との間に生じた部分は被告の、参加によつて生じた部分は補助参加人の各負担とする。

事実

第一、当事者双方の求める裁判

原告は主文同旨の、被告は「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」

との各判決。

第二、請求原因

原告は須田きみに対し(一)長野簡易裁判所昭和三八年(ハ)第四〇号事件の判決による元金七万五〇〇円および内金五万一七〇〇円に対する昭和三五年六月二五日から昭和三五年七月二五日迄年二割、昭和三五年七月二六日から完済に至る迄年四割の各割合による金員、残金一万八、八〇〇円に対する昭和三五年七月一日から昭和三五年八月一日迄年二割、昭和三五年八月二日から完済に至る迄年四割の各割合による金員の支払請求権、(二)同庁同年(ハ)第一〇九号事件の判決による七万五〇〇円およびこれに対する昭和三五年七月二日から昭和三五年八月二日迄年二割、昭和三五年八月三日から完済に至る迄年四割の各割合による金員の支払請求権、(三)同庁同年(ハ)第一三〇号事件の判決による七万九、九〇〇円およびこれに対する昭和三五年六月二日から昭和三五年七月二日迄年二割、昭和三五年七月三日から完済に至る迄年四割の各割合による金員の支払請求権を執行債権として、昭和四〇年一一月二日長野地方裁判所から右須田の被告に対する長野地方裁判所昭和三四年(ワ)第一一一号事件につき成立した和解による債権額五〇万円、弁済期昭和三八年一二月末日の債権(以下本件債権という)について差押および転付命令(同庁昭和四〇年(ル)第四〇号、同年(ヲ)第四三号以下第二の差押および転付命令という。)の発付を受け、右命令は同月三日右須田および被告に送達された。

よって原告は被告に対し転付命令によつて取得した右五〇万円の支払を求める。

第三、被告の認否ならびに抗弁

請求原因事実をすべて認める。須田きみの被告に対する本件債権は昭和三八年九月一〇日、須田から補助参加人に譲渡された。従つて原告は転付命令により右債権を取得し得ない。

第四、抗弁に対する原告の認否ならびに再抗弁

被告主張の債権譲渡の事実は不知。

仮りに本件債権が補助参加人に譲渡されたとしても、確定日付ある証書を以て通知または承諾がなされていないから、右譲渡は左記転付命令により本件債権を取得した原告に対抗することができない。すなわち原告は、須田きみに対し長野地方法務局所属公証人高井麻太郎作成、昭和三五年第五九六号金銭消費貸借契約公正証書による元金五〇万円およびこれに対する昭和三五年七月一日から完済に至る迄年三割六分の割合による遅延損害金債権を執行債権として、右公正証書の執行力ある正本に基づき、昭和三八年一一月二二日長野地方裁判所から、本件債権に対する差押および転付命令(同庁昭和三八年(ル)第二〇号、同年(ヲ)第三四号以下第一の差押および転付命令という。)の発付を受け、右命令は同月二三日訴外須田および被告に送達され、これにより原告は補助参加人に優先して本件債権の債権者となったのである。尤も原告は、長野地方裁判所昭和三九年(ワ)第九号事件の判決において、右公正証書記載の債権が原告から株式会社共和商事に譲渡されたとの理由で、須田きみに本件債権を譲渡し、被告に対しその譲渡通知をなすべき旨を命じられたが、第一の差押および転付命令が右判決により無効となったものではない。そして原告は、昭和四〇年一一月二日右判決に基づき、本件債権を須田きみに譲渡し、さらに第二の差押および転付命令により再び本件債権を取得したのである。

第五、再抗弁に対する被告および補助参加人の答弁

須田きみから確定日付ある証書を以て本件債権譲渡の通知または承諾がなされていないとの点を否認し、原告主張の公正証書記載の債権を執行債権として第二の差押および転付命令が発せられ、右命令が須田きみと被告に送達されたことを認め、その余を争う。須田きみは昭和三八年一二月五日被告に対し確定日付のある証書を以て、本件債権を補助参加人に譲渡した旨の通知をした。原告は第一の差押および転付命令が発せられた当時、右公正証書記載の債権を有していなかつたものであるから、転付命令により本件債権を取得するいわれがない。仮りに本件債権が右転付命令により原告に移転したとしても、原告は長野地方裁判所昭和三九年(ワ)第九号事件の判決に基づき須田きみに本件債権を譲渡したものであるところ、右須田は前述の如く、本件債権を補助参加人に譲渡し、被告に対し確定日付ある証書をもってその通知をしているから、右通知の効力により、本件債権は原告から須田きみに譲渡されたときに完全に補助参加人に移転したものというべく、その後原告が本件債権につき第二の差押および転付命令を得ても、本件債権が原告に移転しないことは明らかである。

第六、証拠関係(省略)

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