大判例

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青森地方裁判所八戸支部 昭和46年(わ)9号 判決

主文

被告人を懲役六月に処する。

訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は

第一、自動車の運転免許を取得すべく、反復継続して自動車運転の業務に従事している者であるが、昭和四五年一一月二九日夜、青森県八戸市内の歓楽街を演歌師として稼働するうち、遊客からしばしばビール等を振舞われたうえ、翌日帰宅後、妻と清酒を飲んだ末、友人宅に所用を思い出し、その保有の普通乗用車(ダツトサンサニー四五年式、青五は二六五)に妻子を同乗させて赴いたものの、右友人宅で妻と口論に及び、独り右乗用車を運転し南方同市吹揚方面から北方同市八戸駅(旧)方面(両側に各約一・五メートルの歩道を控え、車道幅約七・三メートル)にむけての帰途、同年一一月三〇日午前三時一〇分ころ、同市大字十三日町三九番地の一地先の信号機の設置されている交差点にさしかかつたところ、そのころ自己の対面する信号機は赤色の点滅を表示しており、かつ、折柄同交差点で東方三日町方面から西方荒町方面へ十字形に交差する道路(幅員約一〇メートル)を西進して該交差点に進来する自動車の前照灯を発見した(この東西路の対面信号は、当時黄色の点滅を現示)のであるから、このような場合、自動車運転者は、該交差点の直前で一時停止し、左右の交通の安全を確認のうえ進行し、もつて交通事故の発生を防止すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り、一時停止することなく漫然時速約三〇キロメートルで交差点に進入した過失により、折柄東西路を西進してきた中村俊朗(昭和二三年八月二七日生)運転の普通乗用車(ダツトサン四四年式、青五ぬ九六〇)前部に自車右側面を衝突させ、よつて右中村に対し安静加療約三週間を要する頸椎捻挫、頭部外傷、口内裂創の、いずれも同車に同乗していた老沼泰夫(昭和二〇年七月三〇日生)に対し安静加療約二週間を要する頸椎捻挫、両下腿打撲の、金入愛子(昭和二六年九月二二日生)に対し安静加療約二週間を要する頭部外傷、右肩関節・左大腿各打撲傷の各傷害を負わせ、

第二、公安委員会の運転免許をうけないで、右日時場所で、右乗用車を運転し、

第三、酒に酔い正常な運転ができないおそれがある状態で、前記日時場所で、前記乗用車を運転し

たものである。

(証拠の標目)省略

(法令の適用)

被告人の判示所為中、第一の所為のうち業務上過失傷害の点は各被害者ごとに刑法二一一条前段、罰金等臨時措置法二条、三条に、表示信号不従の点は、道路交通法一一九条一項一号、四条二項、同法施行令二条一項に、第二の所為は道路交通法一一八条一項一号、六四条に、第三の所為は同法一一七条の二の一号、六五条一項に各当該(以上のほか道路交通法違反の所為につき、いずれも罰金等臨時措置法二条をも適用)するところ、第一の所為のうち各業務上過失傷害の点は一個の所為にして数個の罪名に触れる場合であるから、刑法五四条一項前段、一〇条により犯情の最も重い前記中村俊朗に対する罪の刑をもつて処断すべく、以上につきいずれも所定刑中懲役刑を選択し、刑法四五条前段、四七条、一〇条により最も重い右中村に対する業務上過失傷害罪の刑に併合罪の加重をした刑期範囲内で被告人を懲役六月に処し、訴訟費用の負担につき刑訴法一八一条一項本文を適用する。

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