大判例

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静岡家庭裁判所 昭和30年(家イ)25号 命令

申立人 大田和子(仮名)

申立人 大田和子法定代理人毋

大田美子(仮名)

相手方 大田正明(仮名)

相手方 大田よね(仮名)

主文

株式会社○○銀行○○支店は、前記調停事件の終了に至る迄同銀行に預金されておる相手方大田正明名義の定期並に普通預金の支払をしてはならない。

(家事審判官 早田福蔵)

正当な理由がなく、前記命令に従わないときは家事審判法第二十八条によつて五千円以下の科料に処することがある。

参照

申立の趣旨

一、相手方等両名は申立人大田よね亡夫一男の死亡に伴い交付(○○株式会社より)された死亡退職金二五万円也を申立人等に返還すること。

一、相手方等両名は申立人大田和子が成年に達するまでの間の扶養料として相当額申立人大田美子に支払うこと。

との調停を求むる。

事件の実情

一、申立人美子は相手方等の長男亡一男の妻で申立人和子は申立人の長女である。

一、申立人の亡夫一男は○○市所在の○○株式会社に十五年間勤務していが、昭和二十七年○○月○○日○○結核で死亡したのである。そのため○○株式会社から同人の死亡に伴う退職金として金二十五万円を同人の葬式の日である昭和二十八年○月○○日同会社重役より自宅において交付され相手方正明がこれを受領したのである。該金品はその配偶者である申立人美子宛交付されたことは申立人美子も承知はしていたが、嫁という立場からそのまま請求もせず同居してきたのであるが、昭和二十八年○月に至り相手方正明より今後の方針として申立人の亡夫一男の妹待子に夫を迎えさせて家を承継させる意向を示めされ、相手方よねよりは出て行けがしの態度をとられたり、一方、妹待子よりは出て行けとまで言われ、これ以上、同居生活に堪えられず止むなく別居生活を決意したのであるが、差し当つての生活費にも困るので前記退職金の支払方を交渉したところ、相手方正明は五万円は渡すがそれ以上はお前等が同居中に食べたではないかといつてこれに応じてくれないのである。

斯様な実情により申立人等は現在、○○郡○○町の実姉の許に身を寄せているが何等の収入もなく生活にも支障をきたしている現状にある。

以上の申立により調停をなすこと二回に及んだが、相手方等は調停の情勢を不利とみて申立人等に分与すべき財産の僅少ならんことを企図して現在株式会社○○銀行○○支店に預金中の前記退職金の費消等の挙に出た。

以上の次第であるから申立人は本件調停成立までの間に相手方において、財産の処分或は隱とくのおそれがあるというので調停前の措置命令の申立をした。よつて調停委員会は調停のために必要であると認めて命令をした。

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