大判例

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高松地方裁判所 平成5年(ワ)207号 判決

主文

一  本件訴えを却下する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  高松地方裁判所が同庁平成四年(ケ)第二号不動産競売事件につき作成した配当表のうち被告への各配当額を〇円に変更する。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁(本案前の答弁)

主文第一、二項と同旨。

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  高松地方裁判所は、岸田悦男(以下「岸田」という。)の申立により、三好常三郎(以下「常三郎」という。)の所有であった別紙物件目録一、二記載の各不動産(以下「本件不動産」という。)について、平成四年(ケ)第二号不動産競売事件として不動産競売手続を開始し(平成四年一月一六日申立、同日不動産競売開始決定)、平成五年五月一三日の配当期日において、被告に対する配当額を一三一万四八一六円及び一〇万五三二八円とする旨の配当表(以下「本件配当表」という。)を作成した。

2  原告及び常三郎は、被告に対し、何ら債務を負担していないので、原告は、右配当期日に出頭し本件配当表につき異議の申出をした。

3  よって、原告は、被告に対し、本件配当表のうち被告への各配当額を〇円に変更するよう求める。

二  被告の本案前の主張

平成四年(ケ)第二号不動産競売事件について作成された本件配当表の被告に対する配当額は、滞納町税についての交付要求に基づくものであるが、右滞納町税の滞納者は常三郎であり、また、本件不動産の所有者も同人であったのであるから、原告は、本件配当表の変更を求めるにつき、何らの利害関係も有せず、配当異議の訴えを提起する原告適格を欠いている。

三  被告の本案前の主張に対する原告の反論

原告は、岸田との間で、本件不動産に抵当権を設定する際、競売申立はしない旨の特約をし、常三郎には迷惑がかからないように配慮した上で、常三郎に無断で抵当権設定手続をしたが、岸田が、右特約に反して競売申立をした。また、常三郎に対する被告からの徴税については、従来、被告は常三郎に令書も交付せず、原告が代払いしてきた。したがって、右の経緯からして、滞納町税が競売代金から配当されることになると、本件不動産に抵当権を設定しなければ生じなかった損害が常三郎に生じることになり、原告は常三郎に損害賠償しなければならなくなる。よって、原告は、滞納町税が競売代金から配当されるのを阻止する必要があり、原告には本件訴訟の原告適格がある。

第三  証拠(省略)

理由

一  被告は、原告は滞納町税債務の債務者ではなく、本件不動産の所有者でもないから、本件配当表の変更を求めるにつき何らの利害関係も有せず、原告適格を欠く旨主張するので判断する。

原本の存在及び成立に争いのない乙第一ないし第五号証、成立に争いのない乙第六ないし第八、第一〇、第一一号証によれば、本件不動産は常三郎の各所有であったところ、本件不動産について、高松法務局高松南出張所平成元年一二月二七日受付第五〇五四一号抵当権設定登記(債務者原告、抵当権者岸田)、同出張所平成二年四月一七日受付第一五四四三号根抵当権設定登記(債務者及び根抵当権者は右同)が経由されていたこと、高松地方裁判所は、平成四年一月一六日、岸田が右第一順位の抵当権により同日申立てた不動産競売の申立に基づき、平成四年(ケ)第二号不動産競売事件として競売開始決定をして手続を進め、同裁判所からの債権届出の催告に対し、被告が常三郎の滞納町税債務について交付要求をしたこと、同裁判所は、平成五年五月一三日の配当期日において、被告に対する配当額を、法定納期限昭和六二年五月三一日付から平成元年一〇月三一日付までの町税に関して一三一万四八一六円、法定納期限平成元年一二月三一日付から平成二年一月三一日付までの町税に関して一〇万五三二八円とする旨の本件配当表を別紙のとおり作成したこと、原告は、右配当期日に出頭し、全債権者の債権全額に対しその存否を争う旨異議の申出をしたこと(常三郎は、同期日に出頭したが、異議申出をしていない。)、以上の事実を認めることができる。

右認定の事実によると、原告は、常三郎に対する滞納町税債権に基づく被告への配当について、右債権の債務者ではないし、抵当不動産の所有者でもなく、単に、申立抵当権及び後順位抵当権の被担保債権の債務者に過ぎないのであるから、配当異議の訴えを提起する原告適格は認められないというべきである。

仮に、原告・岸田間において原告主張のような特約が存在し、町税の支払も事実上原告が代払いしていたとしても右判断を左右するものではない。

二  よって、原告の本訴請求は原告適格を欠き不適法であるから、その余の点について判断するまでもなく却下することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条を適用して主文のとおり判決する。

(別紙)

物件目録

一 所在    綾歌郡綾南町大字陶字向原上

地番    四七九弍番

地目    山林

地積    弍〇〇五弐平方メートル

二 所在    綾歌郡綾南町大字陶字向原上

地番    四七九三番

地目    山林

地積    壱三壱九平方メートル

(別紙)

〈省略〉

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