大判例

20世紀の現憲法下の判例を掲載しています

高松家庭裁判所 昭和38年(家)592号 審判

申立人 山川義男(仮名)

事件本人 山川敏和(仮名) 昭和二二年八月一八日生

主文

本件申立を却下する。

理由

本件申立の要旨は

申立人は未成年者を養子とすることの許可を求め、申立人は幼少のころ小児麻痺を患い、左手、左足が不自由となり、したがつて職に就くことができず無職無収入で現在まで独身生活をしているが、申立人の実父である山川次郎が申立人の将来を心配して、申立人の実弟の子である事件本人を申立人の養子として申立人の世話をさせるのがよいと言つているので、本申立におよんだというのである。

よつて案ずるに

当庁家庭裁判所調査官小杉豊作成にかかる調査報告書ならびに当事者等の戸籍謄本を綜合してみると、申立人は幼時小児麻痺を患つたため左手左足が不自由となり、独りで食事をすることも困難な状況のため今日まで独身生活をして、申立人の実父山川次郎、実弟で事件本人の父である山川勇、同人の妻テル子および事件本人等が同居して申立人を扶助し、同人等は申立人を世話し扶けることが家庭生活を平和、円満に過ごしてゆく所以と心得、申立人の扶助を中心として家庭生活が営まれており同人等は申立人の将来を考えると事件本人を養子としておけば事件本人が婚姻してもその妻は夫の養父として申立人を馬鹿にすることなく大切に世話するであろうと考え協議のうえ本申立におよんだことが認められる。

さて、民法第七九八条は未成年者を養子とする家庭裁判所の許可を要するものとしているが、その法意は家のためや養親となる者のために行なわれる養子縁組を排斥して養子となる者の福祉を主眼としてのみ認容することをねらいとしているものと考えられている。

本件申立は右の法意に反するものと認めざるを得ない。そこで法の趣旨に則つて主文の通り審判する。

(家事審判官 佐藤信一郎)

「大判例」は20世紀で日本国憲法下の裁判例のうち,公刊物に掲載されたものをまとめたインターネット判例集です。原則として公刊されたものをそのまま載せています。

憲法により判決は公開とされており,法曹および法律研究者に利用されているものです。その公共性と平等主義の観点から,送信防止措置または改変には一切応じませんのでご了承ください。

©daihanrei.com