大判例

20世紀の現憲法下の判例を掲載しています

高松高等裁判所 昭和43年(ラ)35号 決定

抗告人 森川つる子(仮名)

相手方 森川照夫(仮名)

主文

本件抗告を棄却する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

一  本件紛争の実情及び経過については、原審判の認定と同一(但し原決定三枚目表一行目に「昭和三六年初め頃」とあるのを「昭和三五年夏頃」と、同二行目に「昭和三六年初頃」とあるのを「昭和三五年八月頃」と、同六行目に「六月一四日」とあるのを「六月一三日」と、夫々訂正する。)であるから、その記載をここに引用する。

二  本件同居の申立について。

法律上の夫婦が一般的抽象的に同居義務を有することは民法第七五二条に定めるところであるが、家事審判法第九条第一項乙類第一号所定の夫婦の同居等に関する処分についての審判は、夫婦間に一般的抽象的同居義務が存在することを前提として、その同居の時期、場所、態様等について具体的内容を形成する処分であるところ、家庭裁判所がその後見的機能として右のような処分をしてみても、婚姻が既に破綻しその段階では円満な同居生活の実現が到底期待できないような場合には、たとえ抽象的には同居義務の存在が認められても、家庭裁判所としては前記法条に基づく審判としてその具体的内容を形成する処分をなすに由がないものと解される。そして、本件の場合も右の見地からその申立を却下するを相当と認めるものであり、その理由は原審判の説示するところと同一であるから、その記載をここに引用する。

三  親権喪失宣告の申立について。

原審判挙示の証拠資料によれば、相手方は法律上の妻があるのに小宮友子と情交関係を持ち、或は雨宮もと子と現に同棲しているのであるから、その行為が不行跡であり道徳的批難を受けるべきこと明らかである。しかし他方未成年者森川里子、同森川薫は雨宮に格別の悪感情を抱くことなく同人から監護、教育を受けており、両名とも学校の成績も良好で明るく素直に育つており、現在相手方の家庭環境が右両名の人格形成に著しく悪影響を及ぼしているとは認めることができない。

そうすると、相手方の前記不行跡を以て直ちに子の監護教育に不適任であるとしてその親権の喪失を宣告することは適当ではないと認められるので、抗告人の親権喪失宣告の申立は理由がないものとして却下すべきである。

四  夫婦の協力扶助に関する申立について。

当裁判所は、右申立部分を分離して高松家庭裁判所の調停に付したところ、右申立部分については調停が成立した。

五  よつて原審判中、抗告人の同居審判の申立及び親権喪失宣告の申立を却下した部分は正当であるから、これに対する本件抗告はこれを棄却することとし、抗告費用の負担につき家事審判法第七条、非訟事件手続法第二五条、民事訴訟法第八九条を適用の上、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 合田得太郎 裁判官 奥村正策 裁判官 林義一)

「大判例」は20世紀で日本国憲法下の裁判例のうち,公刊物に掲載されたものをまとめたインターネット判例集です。原則として公刊されたものをそのまま載せています。

憲法により判決は公開とされており,法曹および法律研究者に利用されているものです。その公共性と平等主義の観点から,送信防止措置または改変には一切応じませんのでご了承ください。

©daihanrei.com