大判例

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鳥取家庭裁判所 昭和41年(家)117号 審判

申立人 田中よし子(仮名)

相手方 阿部政男(仮名)

主文

相手方は申立人に対し財産分与として別紙目録記載の家屋の所有権を移転せよ。

理由

第一、本件申立の要旨

申立人と相手方とは、昭和一九年一〇月二日婚姻し、双方間に六人の子女をもうけているが、相手方は深酒を好み、無軌道な生活をくりかえしていたので、昭和四〇年七月二一日、双方協議の上離婚をなし、右子女六人の親権者を申立人(母)と定めた。よつて申立人は相手方より離婚にもとづく財産分与として相当額の支払を求めたい。

第二、当裁判所の判断

本件記録添付の戸籍謄本及び調査の結果によるとつぎのような事実を認めることができる。

申立人と相手方とは、昭和一八年頃から同棲生活を始め、昭和一九年一〇月二日婚姻届を了え、当初、双方間は円満で、戦後、右両名はともに雑役などして稼働していたものであるが、昭和二五年頃、両名の勤務先及び当時の住居であつた工員住宅が焼失したので申立人の生家に起居するようになり、昭和二六年頃、申立人の生家から若干の材木をもらつて別紙目録記載の家屋(以下本件家屋という)を建築し、これを相手方の所有とした。その頃から相手方の収入のみによつて家計を維持しなければならなくなり、生活も苦しくなつたが、相手方は職場に落着くことがなく、加えて酒好きで家の物品を持出してまでこれを酒代になし、申立人が忠言すると同人に暴力を振うような有様で、申立人はその生家の援助を得たり、自ら日雇人夫、農家手伝などをしてようやく家計を維持してきた。相手方は、昭和三八、九年頃、屑鉄取扱業者とともに仕事をするようになつたが、深酒、暴行の度は以前より増し、家庭を全くかえりみなくなり、昭和四〇年七月一日、双方協議の上、離婚するに至つた。この間双方の間に、子女七人をもうけ、うち一名は既に死亡し、長女は他に世帯をもつて独立し、二女は他に住込稼働中で、申立人はうち未成年者の子女五人の親権者となり、現在、二男(一八才、自動車修理工として通勤、月収九、〇〇〇円乃至一〇、〇〇〇円)、三男(中学二年)、四男(小学五年)、三女(同三年)とともに本件家屋に居住しているが、自らは、心臓病、更年期症状のため通院治療をなし、稼働不能にして生活扶助月額八、五〇〇円を受けてきわめて貧しい生活(その所有財産としてはタンス一、水屋一、子供の勉強机二、自転車一台、ラジオ一台があるのみである)を送つている。一方、相手方は、離婚後は前記屑鉄取扱業者方に起居していたが、昭和四一年二月一〇日頃、他に出たままその所在は現に不明である。

以上認定事実に明らかなとおり、申立人と相手方との夫婦共同生活中の稼働状況と本件家屋取得の模様、申立人と相手方とが離婚するに至つた事情、右両名の財産状況並びに離婚後の申立人の生活についての扶養の必要度等その他諸般の事情を勘案すると相手方から申立人に対し、離婚に基づく財産分与として本件家屋の所有権を移転させるを以て相当と認める。

よつて主文のとおり審判する。

(家事審判官 中村捷三)

別紙〈省略〉

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